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税理士と行政書士の違いは?どんな時に頼むべき?

税理士と行政書士の違いは?どんな時に頼むべき?

公開日:2019年9月10日  
最終更新日:2024年9月5日

この記事の監修者
白兼公認会計士・税理士事務所
代表 白兼道夫(公認会計士・税理士・行政書士)

国家資格である税理士と行政書士は、それぞれ彼らにしかできない「独占業務」を持っています。扱うジャンルは違いますが、特に個人、法人に限らず、事業を行ううえでは頼れる専門家。
では、どんな時に何が頼めるのでしょうか? それぞれの仕事の中身について、解説します。

税理士は税金、行政書士は書類作成の専門家

税理士行政書士、それぞれの違いをまとめました。

項目 税理士 行政書士
業務内容 税金・税務に関する業務
(税務書類の作成、税務相談など)
書類作成・提出に関する業務
(許認可の手続き、契約書の作成代理など)
依頼・相談できる内容 税務代理(納税者の代わりに税金の申告を行う)
税務書類の作成
税務相談
許認可に関わる書類の作成
権利義務に関する書類の作成
事実証明に関する書類の作成

税理士は「税金のプロ」

税理士法で定める税理士の独占業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです。確定申告書や相続税申告書、各種納付書をはじめ、主として税務署に提出する書類を作成したり、個人や企業に納税や節税についてのアドバイスを行ったりと、ある意味シンプルと言えるかもしれません。

とはいえ、「アドバイス」を受けなかったために、払う必要のない税金を支払わされたり、反対に「正しくない申告」で税務調査(※)を受けてさんざんな目に遭ったりすることもあるわけですから、その役割は大きなものがあります。

なお、最近は税務以外でも、「数字に強い」という切り口から、経営コンサルタント的な業務を行う税理士さんも増えましたから、必要に応じて、そうした面でのサポートを受けることもできます。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。
記事監修者からのワンポイントアドバイス
税金に関する個人や法人の具体的な相談は「税務相談」に該当し、無料であっても税理士以外は対応できません。そのため、税金の相談は税理士に依頼しましょう。
白兼公認会計士・税理士事務所 代表 白兼道夫(公認会計士・税理士・行政書士)

行政書士は「書類作成のプロ」

一方、法が定める行政書士の仕事は、

  • (1)官公署に提出する書類の作成
  • (2)権利義務又は事実証明に関する書類の作成

となっています。
これだけ読むと、やはりシンプルにも思えますが、実態はそうともいえません。受け持つ仕事は幅広く、税理士であれば「税金」、弁護士であれば「裁判」、司法書士であれば「登記」といった“キーワード”が見つけにくい士業なのです。

(1)官公署に提出する書類の作成

「官公署に提出する書類」とは、具体的には許認可に関わる書類のことで、次の5つについて行政書士が申請の代行を行うことができます。

  • 届け出

    行政機関に届け出ることで営業可能になる。理美容業など。

  • 登録

    行政機関に届け出て、決められた名簿に登録されることで営業が許可される。旅行業、ガソリンスタンドなど。

  • 認可

    行政機関に届け出て、定められた要件を満たすことで営業が許可される。保育所など。

  • 許可

    行政機関に届け出て、その審査に合格することで営業が許可される。建設業、飲食業など。

  • 免許

    資格を持っている者が行政機関に届け出て、定められた要件を満たすことで営業が許可される。不動産業など。

当然のことながら、こうした許認可は、事業者に課せられた義務です。これを行わずに営業したりすれば、刑事罰の対象にもなりかねません。対象業種で起業しようという場合には、行政書士の力を借りる必要があるでしょう。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
「官公署」とは、各省庁、都道府県庁、市区役所、町村役場、警察署などのことを指します。これらの行政機関に提出する書類の作成や代理提出、相談などで、税金が関係しない場合は行政書士に依頼しましょう。
白兼公認会計士・税理士事務所 代表 白兼道夫(公認会計士・税理士・行政書士)
(2)権利義務又は事実証明に関する書類の作成

実は幅広いのは「権利義務又は事実証明に関する書類の作成」のほうで、作成する書類はなんと数千種類!とも言われているのです。
具体的には、「権利義務に関する書類」には、遺産分割協議書、各種の契約書、法人設立の必要書類などが、また「事実証明に関する書類」には、実地調査に基づく各種書面(位置図、現況測量図など)、各種証明書(会社業歴書、自動車登録事項証明書など)、会計書類などがあります。

一見しただけで、手掛けているのが「専門知識を必要とする、ミスの許されない書類」であるのがわかるはず。行政書士は、そこに携わる「書類作成のプロ」なのです。素人の手に負えないものは、プロの手を借りるしかありません。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
当事者間で争いがある場合の契約書や協議書の作成、相談業務、裁判手続に関する業務は、行政書士が行うことはできず、弁護士の独占業務となります。
白兼公認会計士・税理士事務所 代表 白兼道夫(公認会計士・税理士・行政書士)

ダブルライセンスの先生もいる

税理士と行政書士が「協働」することもあります。例えば、許認可事業を立ち上げる場合に、税理士が税務を含む起業支援を行い、必要な届け出などを行政書士が担当する、といったパターンです。

相続でも、それはあり得ます。行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼し、税理士には相続税の申告などをしてもらうわけです。ただ、この場合には注意点が1つ。相続税の減免のためには、遺産をどう分けるかが大事なポイントになります。税の知識のない行政書士が、あらかじめ遺産分割協議書を作成してしまうと、それが考慮されないリスクが生じるのです。

相続税対策が必要だったら、まずは税理士に相談すべきでしょう。遺産分割協議書の作成を行政書士に任せたければ、その税理士に紹介してもらう方法もあります。また、「行政書士資格を持つ税理士」もいます。心配ならば、初めからそういう先生に依頼するという方法もあるでしょう。

記事監修者 白兼税理士からのワンポイントアドバイス

各士業が取り扱う業務範囲は、重なる部分もあれば明確に分かれていることもあります。そのため、依頼者にとってどの専門家に依頼すべきかが分かりにくい場合があります。
例えば、相続手続では税理士、司法書士、行政書士など複数の士業が関与しますが、業務範囲が異なるため、依頼先によっては手続きが不完全になることもあります。また、税理士や行政書士の中にも、得意・不得意分野が存在します。
専門家に依頼する際は、まずその専門家が該当業務を取り扱っているかをホームページなどで確認するか、最初の問い合わせ時に依頼内容と状況を詳しく伝えて、対応可能か確認しましょう。

税理士・行政書士をお探しの方へ

税理士は「税金のプロ」、行政書士は「書類作成のプロ」。その仕事の中身を理解して、賢く使いましょう。

この記事の監修者
白兼公認会計士・税理士事務所 代表 白兼道夫(公認会計士・税理士・行政書士)
大手監査法人、会計事務所、民間経理での勤務経験を経て独立。税務顧問、法人設立支援だけではなく、節税対策、補助金・事業計画書の作成支援や会計ソフト導入支援まで、幅広く経営者をサポートする。公認会計士・税理士である代表がお客様を直接担当している、相談がしやすい「かかりつけの税理士」。
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この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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