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1からわかる「相続」のこと 「相続人」って誰なの?財産の分け方は?詳しく解説

1からわかる「相続」のこと 「相続人」って誰なの?財産の分け方は?詳しく解説

公開日:2020年9月10日  
最終更新日:2021年7月20日

あなたは、相続を他人ごとだと思っていませんか? しかし、それは「必ず」やってきます。親の遺産を受け継ぐケースだけではありません。自分が死ねば、誰かに財産を分ける必要が生じるのです。準備も知識もなしにいきなり相続を迎えるのは、想定外の争いや、余分な税金が発生する原因にもなります。今回は、「これだけは知っておきたい相続のこと」をまとめました。

相続の基礎知識。相続とは・遺産とは・相続の方法とは・相続税とは

まず、相続の基本について押さえておきましょう。

そもそも相続とは何か?

「相続」とは、ある人が死亡したときに、その人の財産を親族などの特定の人が譲り受けること(制度)をいいます。
亡くなった人を「被相続人」、財産をもらう人を「相続人」と呼びます。

相続は、被相続人が亡くなった時点から始まります。ここからは、遺産は、法律的には相続人全員で共有という扱いになり、相続人の誰かが勝手に故人の預金を引き出したりすることは、許されません。

遺産になるのは?

被相続人の財産(相続財産、遺産)は、その人が持っていたすべての権利・義務を含み、次のようなものが該当します。

  • 現金、預貯金
  • 自動車、貴金属などの動産
  • 土地、建物などの不動産
  • 株式、債券などの有価証券
  • 賃借権、特許権、著作権などの権利
  • 借金などの債務

債務も相続財産に含まれることには、注意が必要です。プラスの財産を負債が上回る場合などには、「相続放棄」を行うことができます。

相続の方法は?

【1】遺言書がある場合

被相続人の「遺言書」があれば、その内容に従って遺産を分けます。
遺言書で指定されていれば、法定相続人でなくても(例えば愛人、血縁関係のない知人でも)遺産をもらうことができるのです。その人のことを受遺者といいます。

一方、法定相続人には、遺言書の内容に関わらず、遺留分(法定相続分の半分)をもらう権利があります。

【2】遺言書が無い場合

遺言書が無いときには、民法が定めた人(法定相続人)が、定められた割合(法定相続分)に従って、遺産を相続します(後述)。
遺産をもらえるのは、この法定相続人か、受遺者ということになります。

【3】遺産分割協議による同意

③相続に当たっては、相続人全員による遺産分割協議が行われ、遺産分割協議書が作成されます。この話し合いで全員が同意すれば、【1】や【2】に従わない遺産分割を行うことも可能です。

法定相続人とは?

それでは、法定相続人とは誰のことを指すのでしょうか?
実はこの法定相続には順位が決められていて、前の順位の人が生存している場合には、後の順位の人が法定相続人になることはできません。

簡単に言うと、被相続人から見て次の人たちが、それぞれの順位の対象者〈法定相続分〉となります(配偶者は必ず法定相続人となり、正確には順位の枠外です)。

第1順位 配偶者〈1/2〉:子ども〈合わせて1/2〉
第2順位 配偶者〈2/3〉:両親〈合わせて1/3〉
第3順位 配偶者〈3/4〉:兄弟姉妹〈合わせて1/4〉

ただし、第1順位と第3順位では「代襲相続」といって、相続人が亡くなっていた場合には、その子どもが代わりに相続人になることになっています。つまり、被相続人から見て孫や甥、姪が法定相続人となることもあるわけです。また、第2順位では、両親がともに亡くなっている場合には、祖父母が法定相続人になります。
法定相続は、説明した第3順位までで「打ち止め」です。

相続税とは?

相続税とは、遺産を受け継ぐ際に、遺産総額の金額が大きいとかかる税金のことです。

相続税はどれくらいかかる?

相続税には、「基礎控除」があります。計算式は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、
例えば法定相続人が妻と子ども2人の計3人だったら、4,800万円。

3,000万円+600万円×3=4,800万円

遺産総額がこの範囲であれば、相続税はかかりません。遺産が基礎控除額を超えた場合には、その越えた分に相続税が課税されることになります。

相続の流れとは。相続税の申告・納付は10ヵ月以内に!

以上を踏まえたうえで、実際の相続の流れを見てみましょう。

相続の流れを確認してみよう

ここでまず意識すべきなのは、「相続発生から10ヵ月以内」という、相続税の申告・納付期限です。
「遺産は相続税がかからない額だから」という場合にも、注意すべきことがあります。例えば、要件を満たせば自宅の評価額を8割減額できる「小規模宅地等の特例」。これを使った結果として、遺産総額がさきほど説明した基礎控除の範囲内に収まった、といったケースも珍しくありません。しかし、この場合はやはり申告が必要で、それをしないと「特例」自体を使うことができない=減額はされないことになってしまうのです。

10ヵ月以内に遺産分割協議が整わなかった場合は?

なお、この期間内に遺産分割協議が整わない場合には、期限までにいったん相続税を支払った後、話し合いを継続していくことになります。協議がまとまらない限り、今お話しした小規模宅地等の特例も使うことはできません。

ということで、相続においては、この10ヵ月にゴールを置いて、そこから逆算してやるべきことを片づけていくべきでしょう。

相続のポイントとは?

特にポイントになるのは、次のような点です。

遺言書の有無の確認

説明したように、被相続人の意思が示された遺言書があるかないかによって、遺産分割協議の中味はガラリと変わります。

法定相続人の調査・確認

例えば、被相続人の愛人は法定相続人ではありません。しかし、その人との間に子どもがいたら、立派にその権利を持っています。突然、見ず知らずの人間が相続人に名乗りを上げる、というドラマのようなことが実際に起こっています。円滑な相続を進めるために、予断なく調べる必要があるでしょう。

遺産分割協議書の作成

被相続人の遺言書がある場合、内容に特段問題がなければ、その意に沿った遺産分割が行われます。一方、遺言書がなかった場合には、相続人による遺産分割協議が行われ、全員の合意の下に「遺産分割協議書」が作成されます。被相続人の預貯金の払戻しや、不動産の名義変更には、この「協議書」が必要になります。

相続で税理士への依頼を検討中の方へ

相続の概要を説明しました。相続をスムーズに、できるだけ税の負担を少なく進めるためには、知識を持つだけでなく、実は事前の準備が大切です。
「何をどうすべきか」わからないときには、相続に詳しい税理士に相談してみるのもいいでしょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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