そもそも「固定資産税評価額」って?
不動産に課税される固定資産税は、固定資産税評価額という指標に基づいて算出されます。
具体的には、毎年1月1日時点で不動産を登記している人に対して、基本的に「固定資産税評価額×1.4%」が課税されるのです。
また、不動産取得時に課税される「不動産取得税」、都市計画法に基づく市街化区域内に不動産を持つ人に課税される「都市計画税」、不動産登記の際の「登録免許税」も、この固定資産税評価額によって計算されます。
固定資産税評価額は誰が決める?
では、誰がその評価を決めているのでしょうか?
固定資産税は「地方税」です。固定資産税評価額は、土地と家屋それぞれについてどのように評価すべきなのかを定めた「固定資産評価基準」に基づいて、市区町村の担当者が1軒ごとに調べて決定します。
評価を左右するのは、土地については、「市街地なのかそうでないのか」「面積や形状はどうか」「道路の接し方はどうか」といったファクターです。一般的には時価(後述)の70%が目安とされています。一方、家屋は、新築ならば請負工事金額の50~60%が目安とされますが、建物の規模や構造(例えば一戸建てかマンションか)、築年数などによって評価額は変動します。
[固定資産税評価額の調べ方]すでに不動産を持っている場合
不動産を所有している場合には、自治体から毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されている「課税明細書」に記載があります(「価格」という欄に記載されています)。
ただし、注意点が1つあります。明細書には別に「課税標準額」という欄があり、そこにも金額が記載されています。ややこしいのですが、実際に支払う税額は、この課税標準額の1.4%と覚えてください。
通常、家屋の価格(固定資産税評価額)と課税標準額はイコールです。しかし、土地については、住宅用地に対する特例措置などが反映される結果、課税標準額のほうが低くなっています。
[固定資産税評価額の調べ方]これから不動産を入手する場合
現実には、固定資産税評価額を知りたいというニーズは、これから家を建てたりマンションを買ったりする予定の人に強いはず。不動産にどのくらいの税金がかかるのかは、将来的な生活設計に影響するからです。
ただ、新築物件の場合には、建ててからでないと建物の正確な評価額は算出できません。事前に知りたい場合には同種のモデルハウスなどで尋ねることができますが、あくまでも参考と考えてください。
一方中古物件に関しては、固定資産税評価額はすでに算出されています。担当する不動産仲介業者に聞けば答えてもらえるでしょう。
なお、毎年4月1日から固定資産税の最初の納期限までの間、自分の土地や家屋だけでなく、他の納税者が所有する不動産の固定資産税評価額を見ることができます。
「縦覧制度」といって、市区町村が備える固定資産課税台帳で確認できるのですが、仮に同じエリアの他の土地や家屋と比較して、評価額があまりにも高額だといった疑義が生じたときには、審査の申し出をすることも可能です。
「土地の価格」には、固定資産税評価額の他にも4種類ある
実は土地の価格には、説明してきた固定資産税評価額のほかにも4つの「決め方」があり、それぞれに活用されています。最後にその違いを押さえておきましょう。
時価(実勢価格)
その名の通り、実際に取引された価格、ないし過去の周辺の取引事例などから推定した価格のことです。国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」で閲覧可能です。
公示価格(公示地価)
毎年1月1日時点の標準地(全国約3万ヵ所)を評価し、3月下旬に国土交通省が公示する地価です。評価は不動産鑑定士によって実施され、公共事業の用地買収などはこの価格を基準に行われます。これについても、上記の国交省のサイトで閲覧できます。
基準地価
地方自治体が調査主体となって、毎年7月1日時点の全国2万ヵ所以上の基準地を対象に評価し発表します。
路線価
国税庁が選んだ標準地の道路の値段に基づいて算出されます。相続税、贈与税の課税基準となる地価です(相続税路線価)。
まとめ
固定資産税などのベースとなる個別不動産の固定資産税評価額は、土地と建物それぞれに定められた評価基準に基づき、市区町村の担当者によって決められています。評価額は、固定資産税の課税明細書で確認できるほか、「縦覧制度」を活用して調べることもできます。
参考文献・URL