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不動産の相続 そのとき心すべき4つのポイント
公開日:2020年9月7日
最終更新日:2021年7月20日
ただでさえ慌ただしく、「わからないこと」も多いのが相続です。現金を分けるだけならまだしも、被相続人(亡くなった人)が不動産を持っていた場合には、要注意。煩雑な手続きが必要なうえに、分割をめぐってトラブルになりやすいからです。今回は、不動産の相続で留意すべきポイントをまとめました。
遺言書があるのと無いのでは、相続は大違い!
ポイント1:遺言書の有無を確かめ、相続人を確定する
不動産に限らず、相続の遺産分割でまず重要になるのが、「被相続人の遺言書が残されているかどうか」です。
①遺言書で「〇〇の不動産は長男に譲る」といった意思が明示されていれば、相続は基本的にその通りに行わなくてはなりません(「遺産分割協議」=相続人全員の話し合いで同意すれば、その内容を変更することはできます)。
遺言書がない場合には、
②遺産分割協議で決めるか、
③民法が定めた法定相続分(例えば相続人が配偶者と子ども2人ならば、配偶者が1/2、子どもが1/4ずつ)に従って分けるのか、
ということになるでしょう。
②、③のケースで気をつけなくてはならないのは、「相続人は誰か」ということです。
例えば、被相続人と暮らしていた家族の知らない隠し子も、立派な法定相続人です。そうした“漏れ”を防ぐため、遺言書によらない不動産の相続においては「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」を取る必要があるのです。
ポイント2:相続登記に必要な書類をチェックする
不動産を相続するためには、法務局で「相続登記」(不動産の名義変更)を行わなくてはなりません。そのときに必要になる主な書類は、以下の通りです。
①遺言により法定相続人が相続登記する場合
- 遺言書
- 被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生時まで遡る必要なし)
- 被相続人の住民票の除票(※)
- 遺言により相続する相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降のもの)
- 遺言により相続する相続人の住民票
- 不動産の固定資産評価証明書
②遺産分割協議で登記する場合
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降のもの)
- 相続人全員の印鑑証明
- 不動産を相続する相続人の住民票
- 遺産分割協議書
- 不動産の固定資産評価証明書
③法定相続分で登記する場合
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降のもの)
- 相続人全員の住民票
- 不動産の固定資産評価証明書
遺言書の準備がカギとなる
被相続人が転居を繰り返していたような場合、出生からの戸籍謄本を集めるのは、時間もかかります。遺言書があればそういった労力はかなり省けますが、逆に言うと遺産分割協議で1から相続を始める場合には、けっこう骨の折れる作業を覚悟する必要があるということになるわけです。
そのまま分けるか、「換金」するか?
ポイント3:不動産の相続の方法には4つある
例えば、ある相続人には不動産、別の人には現金と有価証券…といった相続ならば、問題はないでしょう。
しかし現実には、不動産の評価額に対して他の財産が少ない、すなわち不動産を誰か1人に丸々相続させると、相続人の間に大きな不公平が生じてしまう、というケースが多いのです。
そうした場合には、何らかのかたちで不動産を「分割」する必要が生まれます。その方法には、主として次の4つがあることを押さえておきましょう。
(1)現物分割
文字通り、不動産を複数の相続人が分け合って相続します。
わかりやすくフェアではあるのですが、肝心の不動産が「分けても意味がある」ものでないと、難しいスキームと言えるでしょう。狭い土地に家が建っているといった状況では、非現実的です。
(2)代償分割
1人(一部)の相続人が不動産をもらい、他の相続人に「もらい過ぎた分」を現金で支払う(補填する)というやり方です。
誰かが自宅を相続するといった場合に、よく用いられています。
(3)換価分割
相続した不動産を売却して、その代金を分け合います。
その土地を利用する予定がないこと、買い手があることなどが前提になりますが、現金化することで分割は容易になります。
(4)共有
正確には分けるのではないのですが、不動産は、複数の相続人の共有名義で相続登記することもできます。
これも公平さは保てるのですが、売却などには他の名義人全員の同意が必要、といった制限が課せられることには注意が必要です。
不動産相続にかかるコストは?
ポイント4:相続税の節税を考える
相続で気になるのは税金(相続税)です。
相続税には、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という「基礎控除額」があり、遺産総額からこの金額を除いた分に課税される仕組みになっています(遺産が基礎控除額の範囲内なら、課税は0)。
不動産は「値が張る」だけに、節税策(評価額の引き下げ)の巧拙によって、支払う税金に大きな差の出ることがあります。例えば、自宅の相続には、被相続人と同居していたなど一定の条件を満たせば、その評価額を8割も下げられる「小規模宅地等の特例」があります。専門家とも相談しながら、有効な手立てを講じるべきでしょう。
なお、不動産の相続においては、相続税のほかに
- 登録免許税
- 戸籍謄本など書類の取得費用
- 弁護士、税理士、司法書士などへの報酬(依頼した場合)
といったコストが生じます。
相続で税理士への依頼を検討中の方へ
不動産の相続(登記)には、さまざまな書類も必要になります。準備は早めに行いましょう。
必要に応じて、相続に詳しい税理士などの専門家の力を借りるようにしましょう。