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不動産を「買う・もらう」「持つ」「売る」 それぞれに関連する税金を解説
公開日:2020年9月3日
最終更新日:2021年7月20日
土地や建物などの不動産を買ったり売ったりするのにも、税金が関わってきます。課税されることもあれば、控除される(税金が差し引かれる)ことも。しかも、税の種類もさまざまで、事前に知っておかないと想定外の出費を迫られるかもしれません。不動産の「取得」「保有」「譲渡」というそれぞれのシーンで、どのような税金が関わってくるのか、まとめました。
不動産取得時の税金(1)家を買った・新築した場合
<a>所得税(控除)
個人が住宅の購入、新築もしくは増改築などをして、返済期間10年以上の住宅ローンがあり、その他一定の要件を満たすときは、その居住の年から10年間、年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定額を所得税額から控除できます(「住宅ローン控除」)。なお、この住宅ローン控除は、2021年12月31日までに入居した場合に適用されます。
<b>住民税(控除)
同じく、「住宅ローン控除」が適用されます。
<c>登録免許税
土地や建物を建築したり購入したりしたときは、所有権保存登記や移転登記などが必要になりますが、この登記をする際に課税されます。
<d>不動産取得税
売買や贈与で不動産を取得したとき、また家を新築・増築したときに、都道府県が課税する地方税です。
<e>印紙税
印紙税法で定められた「課税文書」に対しては印紙税が課税されます。不動産取引では、不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書、土地賃貸借契約書、ローン借入れのための金銭消費貸借契約書などがこれに該当し、契約書の記載金額によって税額が決まります。
<f>固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税(後者は、都市計画法に基づく「市街化区域」内に不動産を持つ人に課税される税)は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人が納税義務者となります。この税金は、固定資産税評価額をベースに計算されますが、住宅や住宅用地については、税額などの軽減措置があります。
<g>贈与税
贈与によって財産を受け取った人に課税されるのが、贈与税です。不動産購入資金を贈与されたときには、この税金がかかります。
不動産取得時の税金(2)不動産の贈与を受けた場合
<c>登録免許税
贈与で不動産を取得した場合にも、登記の際にこの税金がかかります。
<d>不動産取得税
贈与で不動産を取得した場合にも、この税金がかかります。
<g>贈与税
不動産を無償で譲り受けた場合にも、贈与税がかかることに注意しましょう。
不動産取得時の税金(3)不動産を相続した場合
<c>登録免許税
相続で不動産を取得した場合にも、登記の際にこの税金がかかります。
<h>相続税
相続で不動産を取得した場合には、相続税が課税されます。被相続人(亡くなった人)が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に所轄税務署に申告し、納税することになっています。
なお、相続による取得の場合には、不動産取得税はかかりません。
不動産を保有している場合
<a>所得税=不動産を賃貸している場合
不動産を賃貸している場合には、その賃貸料収入は「不動産所得」として所得税の課税対象となります。その年の所得税額は、不動産所得に給与所得など他の所得を合算して総合課税されます。
<b>住民税=不動産を賃貸している場合
賃貸料収入を得ている場合には、所得税のほか住民税が課税されます。
<f>固定資産税・都市計画税
不動産を保有している間は、毎年課税されます。
不動産を売却(譲渡)した場合
<a>所得税
不動産を売却したことによって生じた所得を「譲渡所得」といいます。譲渡所得に対しては、他の所得と分離して所得税が課税されます(分離課税)。なお、譲渡所得がマイナスの場合には、課税されることはありません。
<b>住民税
同じく、分離課税で住民税が課税されます。
<e>印紙税
購入時と同様に、売買契約書などの「課税文書」に印紙税がかかります。
不動産取引と消費税
最後に、不動産取引に関わる消費税についてまとめておきましょう。消費税は、課税事業者(※)が行った国内取引に課税されます。「国内取引」とは国内で対価を得て行われる資産の譲渡・貸付ならびに役務の提供をいい、税率は10%です。
不動産関係では、住宅の建築・購入をはじめ不動産仲介報酬額、オフィスなどの賃料、ローン手数料などのほとんどが課税対象になります。一方、同じ不動産の譲渡でも、土地の売買には消費税はかかりません。住宅用の家賃なども非課税です。また、中古住宅を個人(事業者を除く)から個人が購入した場合も、非課税扱いとなります。
不動産取得や売却で税理士への依頼を検討中の方へ
不動産取引に数多くの税金が関わってくることを、ご理解いただけたでしょうか? 不動産は「原価」が高いだけに、税金を見誤ると家計に打撃を与えかねません。売買などに際しては、必要に応じて、不動産に詳しい税理士などのプロのサポートを受けるようにしましょう。