子どもから大人まで年齢層を問わず人気があるのがYouTuberです。近頃では、芸能人やスポーツ選手など多くの著名人もYouTuberとして活躍しています。
それでは、YouTuberとして収入を得た場合、税金はどうなるのでしょうか。また、YouTuberには確定申告が必要なのでしょうか。
この記事では、YouTuberと税金や確定申告の関係について解説します。
YouTuberの収入は事業所得か雑所得になる
YouTuberと税金や確定申告の関係について理解するには、YouTuberの収入がどの所得に当てはまるのかを理解する必要があります。
所得税法では、収入の種類に応じて10の所得区分を設けています。所得ごとに税金の計算方法や確定申告の方法などが決まっているため、YouTuberの収入がどの所得になるのかを把握する必要があります。YouTuberの収入は事業所得か雑所得になります。
それでは、どのような場合に事業所得になるのか、または雑所得になるのかを見ていきましょう。
YouTuberの収入が事業所得になる場合
YouTuberの収入が、事業により得たものの場合は事業所得になります。事業とは独立・継続・反復して行われる仕事のことです。例えば、一度だけYouTuberとして収入を得ても、継続して反復して行われていないので事業になりません。
YouTuberの収入が事業になるのは、例えばYouTuberを本業としている場合です。YouTuberを本業としている場合は、独立・継続・反復して仕事を行っているので、得た収入は事業所得になります。
YouTuberの収入が雑所得になる場合
所得には、事業所得や給与所得など10種類の所得区分がありますが、他の9の所得区分にあてはまらない収入が雑所得になります。YouTuberの収入の場合は、事業所得にならないものは、すべて雑所得になります。つまり、1年に数回程度YouTuberの収入がある場合は、事業所得とはいえないので雑所得となります。
収入が事業所得になるのか、雑所得になるのかの判断は、難しい場合も多くあります。どちらになるかわからない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
事業所得と雑所得の所得金額の計算方法
所得税では、所得ごとに税金の計算方法や確定申告の方法などが決まっています。それでは、YouTuberの収入が事業所得になることと雑所得になることでは、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、事業所得と雑所得の所得金額の計算方法について見ていきましょう。
所得金額の計算方法は同じ
実は、事業所得と雑所得の所得金額の計算方法は同じです。どちらも、次の計算式で所得金額を求めます。
事業所得と雑所得で異なるのが、事業所得では青色申告ができるということです。事業所得で青色申告をすると、最高65万円の青色申告特別控除を適用できます。
青色申告特別控除とは、青色申告をしているだけで受けられる控除のことです。事業所得で青色申告特別控除を適用している場合の所得金額の計算式は、次のとおりです。
例えば、YouTuberの収入が200万円、必要経費が100万円だった場合は、事業所得と雑所得で次のように所得金額が異なります。
・事業所得
・雑所得
税金は所得に対して課されるため、事業所得と雑所得で大きく税金の金額が異なります。
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YouTuberの経費になるものとは
ここまでで解説したとおり、事業所得も雑所得も、総収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を求めます。YouTuberの収入は銀行口座に振り込まれるため、金額はある程度確定します。
そこで、節税をするには必要経費を増やす必要があります。必要経費を増やすといっても、経費でないものを経費にするわけではなく、経費になるものを忘れずに経費にするということです。
例えば、パソコンやカメラ、スタジオ代、衣装代などが必要経費になります。それ以外にも交通費や通信費など、事業に関係するものについては忘れずに経費に計上しましょう。
YouTuberは確定申告が必要か
ここまでは、YouTuberの所得の計算方法について解説してきました。それでは、YouTuberは確定申告が必要なのでしょうか。
実はYouTuberには、確定申告が必要な場合と必要でない場合があります。それぞれのケースについて見ていきましょう。
YouTuberで確定申告が必要な場合
確定申告とは、個人が1年間に得た収入や経費をもとに、所得金額や納める税金を求めることを言います。確定申告をする際には、所得金額や納める税金を記載した確定申告書を作成し、毎年2月16日から3月15日に間に税務署に提出、税金もこの期間の間に納付します。
個人が1年の間に収入を得たら、収入に対する税金を納付する義務があります。そのため、YouTuberは原則として確定申告を行い、税金を納付する必要があります。事業所得と雑所得では、確定申告の際に作成する書類が異なります。
①事業所得の場合
YouTuberの収入が事業所得になる場合は、確定申告書B、青色申告決算書(青色申告の場合)または収支内訳書(白色申告の場合)を作成し、税務署に提出します。
②雑所得の場合
YouTuberの収入が雑所得になる場合は、YouTuberの収入以外の収入の種類によって、確定申告で作成する書類が異なります。
例えば、サラリーマンの人が副業としてYouTuberをしていて、収入を得ている場合は、「確定申告書A」を作成します。お店など他に事業をしていて、副業としてYouTuberの収入がある場合は、「確定申告書B」を作成します。雑所得に関しては、青色申告決算書や収支内訳書などを別に作成する必要はありません。
YouTuberで確定申告をしなくて良い場合
YouTuberは原則として確定申告を行い、税金を納付する必要があります。しかし、例外的に確定申告をしなくて良いケースがあります。YouTuberで確定申告をしなくて良い代表的なケースは次の2つです。
①納める税金がないケース
納める税金がないケースは、確定申告をしなくて良いことになっています。納める税金がないケースとは、例えば赤字が出ているケースです。収入よりも必要経費が多い場合は、赤字が出て納める税金がありません。
事業所得があって青色申告をしている場合は、確定申告をすることで、赤字を翌年以降3年間に繰り越すことができます。繰り越した赤字は翌年以降の黒字と相殺し、翌年以降の税金を低くすることができます。赤字が出ている場合は、翌年以降の税金のことも考えて、確定申告するかどうかを決める必要があります。
納める税金がないもう1つのケースが、利益より所得控除が多い場合です。所得控除とは、扶養家族がいる、生命保険を支払っているなど、個人の事情に応じて受けることができる控除のことです。
実は、所得税は所得金額から所得控除を差し引いた金額に課されます。例えば、所得金額が2,400万円以下の場合はだれでも基礎控除が48万円あります。YouTuberとしての利益が30万円の場合は、基礎控除の方が大きいため、納める税金はありません。
②サラリーマンの副業の場合でYouTuberとしての所得が20万円以下の場合
実は、サラリーマンが副業をしていて、副業の金額が20万円以下の場合は、確定申告をする必要がありません。これは、YouTuberの収入が副業である場合でも同じです。
「20万円以下」は収入ではなく、あくまで収入金額から必要経費を差し引いた所得金額で判断するので、注意が必要です。
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まとめ
YouTuberの収入は事業所得か雑所得になります。YouTuberの収入が事業所得になるか、雑所得になるかによって、税金の計算方法や確定申告で税務署に提出する書類などが異なります。
YouTuberの税金や確定申告のことを考えた場合、自分の収入が事業所得になるか、雑所得になるかを正しく判断することが、正しい処理の第一歩です。そのため、事業所得と雑所得のどちらになるのか不明な場合は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。