会社や個人が家政婦を雇った場合、支払った代金が経費になるか気になるところです。また、所得税など家政婦に課せられる税金がどうなるのか、知りたい人も多いでしょう。実は、家政婦に支払った代金は、経費になる場合とならない場合があります。
この記事では、家政婦に支払った代金の税金について詳しく解説します。
税法上の「家事使用人」とは
ひとことで家政婦といっても、実は家政婦は雇用の性質によって大きく次の2種類にわかれます。
①個人に雇われ、個人の家庭に赴いて家事全般に従事する人
個人宅に赴き、そこに住む家族の指揮命令のもとで業務に従事します。家政婦紹介所やハローワークなどからあっせんを受けて訪問先で雇用されるケースや、主婦が空き時間を使い知り合いの家の手伝いをするケースなどがあります。このように、個人に雇われ、個人宅で家事全般に従事する場合を「家事使用人」といいます。
②家政婦を派遣する事業者に雇われて、個人の家庭などで家事全般に従事する人
働きに行く個人や法人ではなく、家政婦紹介所や家事サービス代行会社などの事業者に雇われ、そこから個人宅などに派遣されて仕事をします。あくまで雇用主は、家政婦紹介所や家事サービス代行会社などの事業者なので、原則、訪問先の家庭の人の指示は受けません。
実は、家政婦に支払った代金の税金の取り扱いは、家政婦が上記2つのどちらにあてはまるかで異なります。
家政婦に支払った代金は経費になる?
ここまでは、雇用の性質上、家政婦が大きく2種類にわかれることを見てきました。それでは、それぞれのケースにおいて、家政婦に支払った代金は経費になるのでしょうか。また、経費になるのであれば、それはどのような場合なのかを解説していきます。
家政婦に支払った代金が経費にならない場合
一般的に、個人宅で家事全般に従事する家政婦に支払った代金は、経費になりません。これは、個人に雇われている場合も、家政婦を派遣する事業者に雇われている場合も同じです。
そもそも経費になるのは、事業に関係している支出だけです。事業に関係していない支出は経費にすることができません。個人宅で家事全般に従事する家政婦の場合、あくまでも個人がプライベートで生活するうえで助けになることを目的としているため、事業に関係しているとはいえません。そのため、事業の経費にすることはできないことになります。
家政婦に支払った代金が経費になる場合
一般的に、個人宅で家事全般に従事する家政婦に支払った代金は、経費になりません。それでは、家政婦に支払った代金が経費になる場合とはどのようなケースでしょうか。
会社が人に対して支払う経費には、主に「給料」と「外注費」の2つがあります。家政婦に支払った代金が経費になる場合には、その支出が「給料」と「外注費」のどちらかに該当する必要があります。
給料は会社が直接雇用し、仕事をしてもらっている人、つまり従業員に対しての支払いです。外注費とは、外部の人に仕事をしてもらったことに対しての支払いです。給料と外注費、どちらの場合も仕事(事業)に関連している支払いのため経費になります。
例えば、家政婦に会社でまかないを作ってもらっている場合や、会社の事務所などの掃除をしてもらっている場合など、会社内での仕事がメインの場合は、仕事(事業)に関連している支払いのため経費になります。この場合、会社が直接雇用している場合は「給料」に、派遣会社などから派遣されている場合、派遣会社への支払いは「外注費」になります。
法人で家政婦を雇っている場合、会社の仕事をしてもらっていることを証明することは容易ですが、個人で家政婦を雇っている場合は、事業に関係あることを証明することは難しいでしょう。そのため、一般的に家事使用人に支払った報酬は、経費にならないと考えられています。
また、経費になるという観点から注意が必要なのが、役員宅で働いている家政婦の費用を会社が負担している場合です。この場合は、役員に対する経済的利益と考えられます。そのため、役員報酬または役員賞与として処理しなければならないケースがあります。
役員宅で働いている家政婦の費用が会社負担となっていて、役員報酬や役員賞与に認定されると、家政婦の費用は役員の給料になります。そのため、家政婦の費用には所得税や住民税などが課されます。
また、役員報酬や役員賞与なら経費になると考えがちですが、認定された部分の役員報酬や役員賞与は法人税の計算上、状況によって経費から除外される場合もあるため、注意が必要です。
家政婦に代金を支払っている場合の注意点
ここまでは、家政婦に支払った代金が経費になるかどうかを見てきました。ここからは、家政婦に代金を支払っている場合の注意点について見ていきましょう。
家政婦側はもらった代金に所得税がかかる
家政婦に支払った代金が経費になるかどうかは、支払い側の話です。それでは、代金を受け取った家政婦側の税金はどうなるのでしょうか。
家政婦は、契約している個人や事業者から、家事などを行ったことに対して代金を受け取りますが、受け取った代金は給料とみなされます。そのため、一般企業の従業員の給料と同じように、所得税や住民税がかかります。
通常、企業の従業員である場合、所得税などは毎月の給料から源泉徴収(天引き)されます。それでは、家政婦が得た代金は源泉徴収されるのでしょうか。家政婦が得た代金から源泉徴収が必要かどうかは、家政婦が家事使用人であるかどうかで、次のように異なります。
- 家政婦が家事使用人に該当する場合
家政婦が家事使用人の場合は原則、源泉徴収の必要がありません。そのため、給料も源泉徴収されずに支払われます。 - 家政婦が家事使用人に該当しない場合
家政婦紹介所や家事サービス代行会社などの事業者に雇われて、派遣されている場合など、家政婦が家事使用人に該当しない場合は、事業者の従業員の扱いとなり、源泉徴収が必要です。そのため、毎月の給料から所得税などが源泉徴収されます。
家政婦が家事使用人の場合は、毎月の給料から所得税などが源泉徴収されていないため、確定申告が毎年必要となります。
紹介手数料が医療費控除の対象になることがある
個人で家政婦に家事を依頼する場合には、自身が高齢者であったり、療養が必要な家族がいたりするケースが多くあります。そんな時に気を付けたいのが、医療費控除です。実は、病院はもちろん、家などで療養上の世話を受け、それに対して支払った支出は、医療費控除の対象となります。
例えば、寝たきりの家族がいる場合、家政婦に頼んで療養上の世話を受けた場合には、家政婦に支払った費用は、医療費控除の対象です。ただし、療養中に療養上の世話ではなく、子どもの世話や家事をしてもらうために家政婦を依頼しても、家政婦に支払う費用は医療費控除の対象とならないので注意が必要です。
また、療養上の世話をする家政婦を家政婦紹介所などで紹介してもらい、代金として紹介手数料を支払った場合、この紹介手数料も医療費控除の対象とすることができます。療養上の世話をすることが前提なので、家事をしてもらうために家政婦を依頼しても、その紹介手数料は医療費控除の対象とはなりません。
まとめ
家政婦に代金を支払っている場合は、その支払いが経費になるかどうか、給料から源泉徴収が必要かどうか、経費にならない場合は、その代金が医療費控除の対象となるかどうかを見極めることが重要です。この記事を参考に、ぜひ正しい処理を行ってください。
▼参照サイト
- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2502.htm
- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/a/01/1_06.htm
- https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/070313/10.htm
- https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/44.htm
- https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/41.htm
- https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/14.htm