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“レジェンド”マラドーナ氏死去で莫大な遺産の「争続」勃発か!?

“レジェンド”マラドーナ氏死去で莫大な遺産の「争続」勃発か!?

2020年12月8日

2020年11月25日、世界のサッカー界のスーパースター、ディエゴ・マラドーナ氏(元アルゼンチン代表フォワード)が、60歳の若さで亡くなりました。サッカー史に数々の足跡を残したレジェンドの死には、母国アルゼンチン国内だけでなく、世界中のファンや関係者から哀悼の意が表明されましたが、早速メディアが取り上げたのは、100億円近いとも言われる遺産の行方です。認知していない子どもなども含め、「相続人候補」は10人近くになりそうで、早くも「骨肉の争い」を予想する見方もあるようです。

ペレやジーコと同時代を生きる

マラドーナ氏の足跡を、簡単に振り返っておきましょう。

1960年10月30日、アルゼンチン・ブエノスアイレス州生まれ。子どもの頃からその才能は抜きん出ており、アルゼンチン・リーグ史上最年少でプロデビューした“サッカーの申し子”でした。

ヨーロッパに渡ると、FCバルセロナを経て、SSCナポリに移籍。前年までの弱小チームにセリエA優勝2回、UEFAカップ優勝1回の栄誉をもたらす立役者となり、背番号10はナポリの永久欠番となりました。当時付けられた愛称が「ナポリの王様」です。

アルゼンチンのフル代表としてのデビューは、1977年でした。やはり歴代最年少で呼ばれたわけですが、79年にはU-20のアルゼンチン代表としてFIFAワールドユース選手権で優勝し、大会の最優秀選手になっています。

FIFAワールドカップには、82年大会から4大会連続で出場、86年には「マラドーナのチーム」と言われたアルゼンチン代表を優勝に導きました。準々決勝で見せた「神の手」ゴール(ハンドながら得点)と、「5人抜きドリブル」によるゴールは、彼を象徴するプレーとして、後々までの語り草となりました。

なお、同世代に活躍したプレーヤーには、「サッカーの王様」と称されたペレ(ブラジル)や日本でも活躍したジーコ(同)、フランツ・ベッケンバウアー(ドイツ)などがいました。引退したのは97年、自身の37歳の誕生日でした。

投資などでも蓄財

こうした華々しい経歴を持つマラドーナ氏の死因は、「急性肺水腫と慢性心臓疾患」と発表されました。ところが、その後、「医療過誤」や、はたまた「他殺説」まで取りざたされる“騒ぎ”になっています。国を代表する英雄であるのと同時に、彼の残した莫大な財産の存在が、そうした疑惑を生む伏線になっているのかもしれません。

マラドーナ氏の主たる収入減が、ヨーロッパ時代のクラブのメンバーや、アルゼンチン代表、引退後の代表監督やクラブチームの監督として得られる高額報酬だったことは、言うまでもありません。加えて、時としてスポーツ界のスターなどが失敗する投資でも、着実に利益を上げていたようです。イタリアマフィア、中東の投資家といった「タニマチ」(経済的支援者)も、数多くいたとか。

そうやって築いた資産の総額は、推定9,000万ドル(約93億6,000万円)に上るという報道もあります。遺産相続をめぐるトラブルが勘ぐられても、仕方のない金額であることは間違いありません。

相続人は何人いる?

多額の財産があるにもかかわらず、マラドーナ氏は遺言書を残していませんでした。そのため、「その財産を誰がいくら相続するのか」が、大きな関心を呼ぶことになりました。

死亡時、マラドーナ氏は独身でした。生涯で「唯一の妻」だったクラウディア・ビジャファーニェさんとは、2003年に離婚していて、彼女との間にはダルマさんとジャンニーナさんという2人の娘がいます。ならば、彼女たちが折半すればいいのかといえば、そうではありません。世界を股にかけて活躍したスターの例に漏れず、彼も複数の女性との間に「サッカーチームが作れる」と冷やかされるほどの子どもをもうけていたからです。

マラドーナ氏の相続人に関して、公になっている情報を列挙してみましょう(不確かな情報も含まれます)。

  • 1986年、イタリア人歌手のクラウディア・シナグラさんとの間に、ディエゴ・マラドーナ・ジュニアさんが誕生。認知したのは2009年だった。
  • 晩年の数ヵ月を連れ添った元恋人のバレリア・サバランさんとの間には、96年に娘ジャナさんが生まれ、08年に認知した。
  • 2013年には、別の元恋人のベロニカ・オヘダさんとの間に、息子ディエゴ・オヘダさんが生まれた。
  • 2019年に、マラドーナ氏の顧問弁護士が3人のキューバ人の子どもを認知しており、合計8人の子ども(上記5人との合計か?)がいる。
  • マラドーナ氏は、この他にも「子どもを認知してほしい」という訴訟を抱えていた。
  • 2019年、娘のジャンニーナさんと対立し、財産はすべて寄付すると宣言。しかし、アルゼンチンの法律では、放棄できるのは資産の1/5までとされていて、少なくとも2/3は配偶者もしくは子孫に残さなければならないことになっている。
  • 日本の札幌や福岡でプレーした実弟のウーゴ氏をはじめ7人の兄弟姉妹がおり、遺産相続を主張する可能性がある。

アルゼンチンの「相続法」にどのような規定があるのかはわかりませんが、現状では遺産総額も、相続人も確定されていないようです。「骨肉の争い」が始まる可能性を秘めた相続であることは、確かでしょう。

もし、日本だったら

ちなみに、もし日本で同じことが起こったら、相続はどうなるのでしょう?

この場合、元妻も愛人も「配偶者」ではありませんから、相続人ではありません。しかし、亡くなった父親の子どもであれば、たとえ法律上の婚姻関係がない女性との間に生まれた子ども(「非嫡出子」といいます)であっても、相続人の資格があります。父親が認知していれば、実子=「嫡出子」と同じ扱いになるのです。

また、父親が認知せずに死亡した場合でも、DNA鑑定で親子関係が証明されれば、相続人として認められます(「死後認知」といいます)。かつては「非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1」という民法の定めがあったのですが、2013年9月に最高裁でその規定に違憲判決が出て以降、遺産の取り分も実子と同じになりました。

日本人の「マラドーナ氏」の「隠し子」は、DNA鑑定で父親と親子関係が証明されれば、晴れて他の子どもたちと同等の権利を持つ相続人です。

ちなみに、子どもがいる場合、「兄弟姉妹」は相続人になることはできません。日本人の「ウーゴ氏」は、遺産分割を主張することができないのです。

まとめ

マラドーナ氏の死後、遺言書を残さなかった彼の遺産の行方が注目されています。子どもの認知訴訟の動向なども含め、波乱含みの相続になりそうです。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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