クレジットカード納付は個人だけではなく、法人でも可能です。しかし、税目の中には電子申告の申請が必須であったり、同じ税目でもクレジットカード納付ができる地方自治体、できない地方自治体が存在したりします。また、口座の残高不足により税金が引き落とされない場合もあります。ポイントや注意点について解説します。
法人のクレジットカード納付の可能な税金
法人はさまざまな税金を納付しますが、クレジットカード納付が可能な税目は国や地方自治体によって異なってきます。
国税はクレジットカード納付ができる
そもそも国税とは、国が課税する税金のことを指します。法人がクレジットカード納付できるおもな税目は次の通りです。
・消費税及び地方消費税
・法人税
・源泉所得税及び復興特別所得税
地方税のクレジットカード納付~東京都の場合~
そもそも地方税は地方自治体が課税する税金のことを指します。法人がクレジットカード納付できる税目について、東京都を例に見ていきましょう。おもな税目は次の通りです。
・事業税
・法人都民税(住民税)
・事業所税
・自動車税
・固定資産税・都市計画税(23区内のみ)
・不動産取得税
特別徴収の住民税のクレジットカード納付は市区町村によって異なる
そもそも特別徴収の住民税とは、給与天引きした住民税のことを指します。クレジットカード納付できる税目は市区町村によって異なってきます。たとえば、福岡市に対して特別徴収の住民税をクレジットカード納付することはできません。しかし、さいたま市はクレジットカード納付が可能です。
このように特別徴収の住民税に対して、クレジットカード納付が認められているかどうかが異なるため、事前に市区町村に確認することをおすすめします。
クレジットカード納付のアウトライン
クレジットカード納付の存在は認知されつつありますが、ルールは細かいです。そこで、クレジットカード納付のアウトラインについて解説します。
税金を分割払いできる
税金の納付日はクレジットカード納付の手続完了日です。たとえば、法人税の納付期限が5月31日とします。クレジットカード納付により、たとえ口座から引き落とされる日が6月以降でも、5月31日までに手続きを完了すれば、納付期限までに納付したことになります。
また、納付方法は次のいずれかを選択することができます。
・一括払い
・3回、5回、6回、10回、12回のいずれかの分割払い
・リボ払い
支払方法は国税と地方税で異なる
クレジットカード納付による税金の支払方法は国税と地方税で異なります。具体的には次の通りです。
(1)一回の手続きでの支払限度額
国税のクレジットカード納付は一回の手続きで1,000万円未満まで納付できます。一方、地方税は一回の手続きで100万円未満です。
(2)支払方法
後述する源泉所得税及び復興特別所得税を除いた国税はサイト上で税目を選択し、税額を入力して納付します。一方、地方税はサイト上で、100万円未満の納付書に記載されている税額と同額を入力してクレジットカード納付の手続きを行います。つまり、地方税のクレジットカード納付は納付書が必要となります。
(3)支払限度額を超える税額の支払方法
国税の場合は複数回の手続きをすればクレジットカード納付が可能です。たとえば、消費税及び地方消費税が1,200万円とします。その場合、クレジットカード納付の手続きを2回以上行う必要があります。
一方、地方税は国税と異なり、各自治体に納付書の分割発行を依頼する必要があります。前述の通り、納付書をもとにクレジットカード納付の手続きを行うからです。たとえば、事業税が150万円とします。クレジットカード納付をする場合は次の手順を踏みます。
①事業税の納付書を「税額75万円ずつ2枚に分割発行する」などを都道府県(地方自治体)に依頼する
②分割発行の納付書をもとにクレジットカード納付の手続きを行う
クレジットカード納付の注意点
クレジットカード納付にはイレギュラーなケースやデメリットとなり得る点が存在します。そこで、具体例を紹介します。
源泉所得税の納付は電子申告の申請が必須
クレジットカード納付が可能な国税の中でも、給与や報酬の支払時に天引きした源泉所得税及び復興特別所得税の取り扱いは独特であり、電子申告の申請が必須です。具体的な手順は次の通りです。
(1)電子申告の申請をする
電子申告の申請をインターネットまたは紙の届出書で行い、IDを取得します。
(2)e―Taxで納付書のデータを税務署へ送信する
そもそも源泉所得税及び復興特別所得税の納付書は給与や報酬と天引きした税額の申告を兼ねています。そのため、クレジットカード納付の前にデータを送信し、これらの申告を行います。
(3)クレジットカード納付の手続きを行う
源泉所得税及び復興特別所得税のクレジットカード納付の方法は2つあります。
①「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし、クレジットカード納付を行う税金の情報を入力して、納付する方法
②e-Taxのメッセージボックスに格納される受信通知から「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスする方法
クレジットカード納付は領収書が発行されない
クレジットカード納付の場合、納付書を用いるのと違い、紙ベースの領収書が発行されません。そのため、紙ベースの領収書が必要な法人には不向きといえます。
しかし、納税したことを証明できれば問題ないという法人は、紙ベースの領収書を代用する方法が2つあります。
(1)納付手続完了ページ画面の印刷をして保存する
確実に納税したことを証明できる方法です。しかし、クレジットカード納付の手続き後に印刷することはできません。納付手続終了時に表示されるタイミングで忘れずに印刷しましょう。
(2)クレジットカード明細書を保存する
クレジットカード明細書には「法人税」または「ホウジンゼイ」など税目が漢字またはカタカナで表示されます。
クレジットカード納付はインターネット上でのみ可能
クレジットカード納付はコンビニエンスストアや金融機関で行うことは認められていません。必ずインターネット上で手続きを行うことが求められます。
クレジットカードの口座が残高不足に陥った場合の対処法
クレジットカード納付のデメリットは口座の残高不足に陥るリスクがあることでしょう。そこで、万が一の場合に備えて、対処法について説明します。
まず、「口座の残高不足に陥ると予測した場合」または「口座から引き落とされなかった場合」には、クレジット会社へ素早く連絡することが鉄則です。その上で、クレジットカード会社によって、次の3つの対処法を取ることになります。
(1)お支払いの案内が届き、後日自動的に引き落とされる
(2)払込用紙が届き、指定口座に振り込む
(3)払込用紙が届き、コンビニなどで支払う
とにかく、税金が口座から引き落とされないまま放置せず、クレジットカード会社へ連絡しましょう。
まとめ
いかがでしたか。
クレジットカード納付は紙の納付書と違い、金融機関の窓口などへ出向く必要がなく、インターネット上で手続きが可能です。しかし、源泉所得税及び復興特別所得税のように電子申告の申請が必須だったり、自治体によってクレジットカード納付に対応している税目が違ったり、法人にとって不便な面があります。まずは自社の所在地の地方自治体がどの税目についてクレジットカード納付に対応しているかを事前に確認しましょう。
参考サイト
- https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/index.htm
- https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/credit_qa.htm
- https://zei.metro.tokyo.lg.jp
- http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/credit.html
- https://zei.gmopg.jp/fukuokacity
- http://www.city.saitama.jp/001/004/003/zeicredit.html
- https://www.smbc-card.com/nyukai/magazine/knowledge/short_balance.jsp
- https://www.smbc-card.com/mem/goriyo/lost_oshiharai.jsp