近年話題になっているふるさと納税ですが、知ってはいるものの使ったことのない、という人は多いのではないでしょうか。実はそのふるさと納税が、節税対策に利用できることを知っていますか?
ふるさと納税にはどんなメリット・デメリットがあるのか、また節税対策に使う際の注意点について解説していきます。
ふるさと納税って何?
ふるさと納税とは、自分のふるさとに自分の意志で納税できる制度です。地方のふるさとで生まれ育った人の多くが進学や就職を機に都会へと移り住みます。しかしその場合、生まれ育ったふるさとの税収は減少し、その分は都会の自治体が受け取ることとなります。「地方格差」が社会問題化している昨今ですが、そのような問題提起によって生まれたふるさと納税には期待できる効果が大きく分けて3つあります。
● 納税者が納付先を選択できる機会を得ることにより、税金の使われ方を考えるきっかけとなる
● 生まれ育ったふるさとの振興のため、助力することができる
● 自治体が積極的にふるさと納税を行うことで、自治体同士の競争が生まれ、地方活性化につながる
ふるさと納税の大きな特徴として、自分の生まれ故郷に限らず、どの自治体にも納税を行うことができる点が挙げられます。それぞれの自治体がホームページで、ふるさと納税への考え方や寄附金の使い道を公開していますので、それを見てふるさと納税を行う自治体を選ぶと良いでしょう。
ふるさと納税のメリットとデメリットって?
メリット
ふるさと納税を行う個人事業主にとっては、節税対策に使うことができるというメリットがあります。ふるさと納税は「納税」という言葉がついていますが、実際には自治体への「寄附」という扱いになります。一般的に、自治体に寄附を行うと、その一部が所得税及び住民税から控除されます。個人事業主にとって重要なこれらの税金が控除されることは、大きなメリットといえます。
また自治体からの返礼として、地域の特産品をもらうことができる点もメリットとして挙げられます。例えば、宮崎県都城市の返礼品は「都城産・黒豚4kg」セットで、納付した金額以上の価値の物品をもらうことができます。他にも、黒毛和牛やコシヒカリなどの高級食材があり、これらを普通に購入するよりもお得に手に入れられる点は魅力的です。
デメリット
デメリットとして、税金の控除を受けるためには確定申告を行う必要がある点が挙げられます。ふるさと納税ワンストップ特例制度」というものがあり、こちらでは納税先の自治体が5団体以内の場合に確定申告が不要になりますが、個人事業主は適用対象外となってしまうため、注意が必要です。
また控除される税金は、計算方法が複雑で、寄附金として最適な金額が把握しづらいこともデメリットです。また、確実に2000円が個人負担となってしまいます。税金の控除額については、この後詳しく説明します。
税金控除額の計算と上限
では、ふるさと納税を節税対策で使う場合の計算方法を説明していきます。
基本的に、以下の4つの計算式で計算することができます。
1. 所得税からの控除
= (ふるさと納税額 — 2,000円) × 「所得税の税率」
所得税の税率は所得金額に応じて決まりますが、この計算式では納税者に適用される税率を用います。なお控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額の40%が上限です。
2. 住民税からの控除(基本分)
= (ふるさと納税額 – 2,000円) × 10%
基本的に、住民税からの控除はこの2.式で計算されます。なお控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額の30%が上限です。
3. 住民税からの控除(特例分)
= (ふるさと納税額 – 2,000円) × (100% - 10%(基本分))
この3.式で計算される金額が住民税所得割額の2割を超えない場合、この金額が2.に加えて住民税からの控除金額となります。
4. 住民税からの控除(特例分)
= (住民税所得割額) × 20%
3.式で計算される金額が住民税所得割額の2割を超える場合、この4.式で控除金額が決まります。
4.式を適用する場合、1.式・2.式・4.式を合計しても、(ふるさと納税額 — 2,000円)の全額が控除されないため、負担額が2,000円を超えてしまいます。
控除に必要な確定申告
税金の控除を受けるためには、ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに、税務署に確定申告を行う必要があります。
確定申告を行う際に必要となるのは、
● ふるさと納税の証明書、受領書
● 専用振込用紙の払込控
です。
私たちビスカスは、個人事業主のお客様にも税理士紹介の手厚いサービスを提供しています。私たちがご紹介させていただく、経験豊富な税理士に相談されてみてはいかがでしょうか。
新たに始まった企業版ふるさと納税!
平成28年の税制改正において、企業版ふるさと納税である、地方創生応援税制が創設されました。
これは自治体に10万円以上の寄附を行った法人に対して、寄附額の3割に相当する額の税金が控除され、現行の地方公共団体に対する法人の寄附に係る損金算入措置による軽減効果と合わせると、最大寄附金の6割に相当する額が軽減される制度です。
問題点として、個人のふるさと納税と比較すると節税効果が薄いことや、金額が大きいため自治体と法人の癒着を招くのではないかという指摘もなされています。
しかし地方創生を応援する志高い企業や、節税意識の高い中小企業にとっては便利な制度といえるので、対応を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ふるさと納税は節税対策などのメリットが得られる制度ですが、そのメリットを受けるためには適切に確定申告を行わなければなりません。今回紹介したようなポイントを踏まえて、利用を検討してみてはいかがでしょうか。