労働者の福利厚生は大企業ほど充実していて、中小企業はまだまだ不十分なところがたくさんあります。中小企業にとって福利厚生の充実は費用の面、また何をするべきかという点でなかなか難しい問題ですが、ますます進む人手不足・労働力不足を考えると、早急に取り組みを開始することが求められます。中小企業の福利厚生充実に役立つ、福利厚生代行サービスと助成金について説明します。
中小企業の福利厚生充実に使える福利厚生代行サービスと助成金
活用しよう!福利厚生代行サービスは中小企業の強い味方
福利厚生代行サービスは企業が行うべき福利厚生を、代行してもらうサービスです。大企業よりも規模が小さいことでスケールメリットを得ることができない中小企業でも、福利厚生代行サービスを使えば少ない費用負担で、大企業のように豊富なメニューの福利厚生を労働者に提供することができます。
福利厚生サービスの代表的なものには余暇で楽しむアミューズメント施設や旅行の際の宿泊施設、健康増進のために利用するスポーツジムについて割引が受けられたりオプション付きで利用できたりすることが挙げられます。利用者や利用回数が少ない中小企業が多くの施設でサービスを受けられるようにすることは極めて困難ですが、福利厚生代行サービスを利用するといろいろな提携施設を福利厚生として利用することができます。
貰えるものはしっかり貰おう!福利厚生で貰える助成金
労働者が働きやすい職場に変えていくことも、福利厚生の充実の1つです。育児や家族の介護をしなくてはならない労働者も辞めることなく働き続けることができる職場づくりを行う会社を対象に、国は助成金の支給を行っています。厚生労働省の助成金は返済の必要がなく、支給条件を満たしている全ての企業が支給を受け取ることが可能です。
また自治体によっては、独自の助成金・支給金制度を設けているところもあります。中小企業が福利厚生を充実させる際には国や各自治体から受け取ることができる助成金のことをよく調べて、最大限に利用することも重要です。
中小企業は福利厚生が充実していないままでOKか?
福利厚生とは?企業における福利厚生の目的と重要性
福利厚生は会社が労働者に労働の対価として給料を支払う以外に提供する金銭やサービスで、労働者のモチベーションの維持・向上、能力の開発・向上、健康の増進を目的にした精度です。生産性向上につながる点でも重要で、会社が負担する費用としては法律で定められている6種類の法定福利費と、10種類の法定外福利費があります。
中小企業の福利厚生は大企業より劣っている?現状と問題点
経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)が2018年12月に発表した「第62回福利厚生費調査報告(2017年度)」によると、従業員1人、1ヶ月あたりの法定外福利費の平均は2万3,452円、従業員5,000人以上の企業は2万4,665円であるのに対して500人未満の企業は1万7,880円で、約7,000円の差があります。
中小企業は大企業よりも給料の金額が低く、そのため法定外福利費も低い水準になっているかというと、そうではありません。たしかに現金給与総額は5,000人以上の企業の56万7,190円に対して500人未満の企業は48万5,179円と約8万円の差、法定福利費についても5,000人以上の企業の8万5,929円に対して500人未満の企業は7万5,761円と約1万円の差となっています。しかし、5,000人以上の企業を1とした場合の500人未満の企業の現金給与総額は0.86、法定福利費は0.88であるのに対して、法定外福利費は0.72という低い値になります。中小企業の法定外福利費はやはり大企業と比べて支出が抑えられていることがわかります。
中小企業が福利厚生を充実させるメリットとデメリット
中小企業が福利厚生を充実させるメリットには何があるか?
福利厚生は会社が勤めている労働者に給料以外に提供するサービスで、プレゼントのようなものだと言うことができます。会社が労働者にプレゼントをすることで仕事に対するモチベージョンを高め、生産性を向上させることが期待できます。
また、労働者を採用する場合でも福利厚生が充実している会社は、そうでない会社に対して有利な立場になることができます。今後ますます進行することが懸念されている人手不足・労働力不足により、採用は中小企業にとっては大きな課題となります。福利厚生の充実はこれから就職する求職者に対しての大きなアピールポイントにすることができ、離職者の減少とあわせて人材不足の解消に繋げることができます。
中小企業が福利厚生を充実させることによって生じるデメリットは?
福利厚生を充実させるデメリットとして考えられる点と言えば、まず費用がかかる点でしょう。中小企業にとって新たに何かの費用が発生すると言うことは、捻出方法をはじめとして事業主にとっては非常に頭の痛い問題です。
まして福利厚生の充実にかかる費用は一時的に支出する整備投資と違って、継続して発生していく費用です。負担し続けることをよく考慮して導入を決定しなければならない点にも注意する必要があります。また、中小企業は規模が小さいが故に、福利厚生にかかる費用についてスケールメリットが得られないというデメリットもあります。
中小企業でも無理をせずに福利厚生を充実させる方法
種類も豊富な福利厚生代行サービスを使おう!
福利厚生代行サービスは会社が行うべき福利厚生を、会社に代わって労働者に提供する仕組みです。中小企業は規模が小さく労働者も少ないため、福利厚生についても大企業ほど多くの利用者や利用回数はありません。スケールメリットを得ることができずに割高になり、種類も限られたものだけになってしまいます。福利厚生代行サービスはそういった問題を解決し、中小企業でも大企業のような福利厚生を可能にする仕組みです。
株式会社リロクラブの「福利厚生倶楽部」、株式会社イーウェルの「WELBOX」、株式会社JTBベネフィットの「えらべる倶楽部」、株式会社ベネフィット・ワンの「ベネフィット・ステーション」、リソルライフサポート株式会社の「ライフサポート倶楽部」の5つが、よく知られていて、多くの会社が利用している福利厚生代行サービスです。カフェテリアプランも取り扱うなど提供するサービスが豊富な「福利厚生倶楽部」、健康経営の支援に力を入れている「WELBOX」、JTBグループであることから旅行サービスに強い「えらべる倶楽部」、生活密着型のサービスを提供する「ベネフィット・ステーション」、健康増進施設を直営する「ライフサポート倶楽部」とそれぞれ特徴や強みを持って、さまざまな福利厚生代行サービスを展開しています。
国からの助成金を貰って女性社員の福利厚生充実に役立てよう!
福利厚生代行サービスが行うようなものだけではなく、労働者が安心して働き続けることができる職場づくりも福利厚生を充実させることになります。育児や介護によって仕方なく離職することのないよう労働条件や職場環境を整えることは、ここ数年とくに福利厚生として重要視されています。
国からも政策として推進されていて、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主は「両立支援等助成金」の支給を受けることができます。仕事と介護・育児の両立支援などへの取り組みが対象の「介護離職防止支援コース」や「育児休業等支援コース」があり、男性の育児休暇取得促進への取り組みが対象の「出生時両立支援コース」、女性の活躍推進への取り組みが対象の「女性活躍加速化コース」は、中小企業に手厚く支給を行う内容になっています。
まとめ
中小企業は大企業に比べるとどうしても労働者の福利厚生充実で遅れがちだとされています。しかし、中小企業でも福利厚生代行サービスを使うことによって、少ないコストで福利厚生サービスを充実させることができます。助成金の申請・受給も考慮に入れて、自社の福利厚生について考えてみてはいかがでしょうか?