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税務調査による「申告漏れ」の発覚で、平均640万円が追徴に! 気をつけたい相続税の申告

税務調査による「申告漏れ」の発覚で、平均640万円が追徴に! 気をつけたい相続税の申告

2021年2月12日

親などが亡くなり、一定の金額を超える財産を譲り受けた場合には、相続税の申告・納税義務があります。ところが、「財産の詳しい状況まで、税務署にはわからないだろう」と考えるのか、税の無申告や過少申告が絶えません。しかし、申告が必要な相続のおよそ1割で税務調査(※1)が行われ、問題が発覚すれば、ペナルティも含めた平均640万円の追徴課税を支払う結果になっていることを、ご存知でしょうか? 国税庁の公表資料から、調査の実態を探ります。

※1税務調査
国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

「調査」が入ったら、85%が“アウト”

国税庁は、さきごろ「令和元事務年度における相続税の調査等の状況」を公表しました。ちなみに、税務当局の「事務年度」とは、毎年7月~翌年6月まで。ですから、2019年7月~20年6月(以下19年度)までの調査結果ということになります。概要をみていきましょう。

課税対象の「10件に1件」近くが税務調査を受けている

この期間に、「資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案など、大口事案や悪質な不正が見込まれる事案について実施」された相続に関する実地調査(税務調査)は、1万635件(前年度は1万2,463件)でした。ここ数年、課税対象となる相続の数は、年間11万件程度で推移していますから、そのうち10件に1件くらいが調査を受けていることになります。

調査になると、85%が「非違」に

19年度は、このうち9,072件が「申告漏れ等の非違(税法違反)」とされました。率にして85.3%(同85.7%)。ですから、相続税の税務調査に入られた場合は、かなりの確率で、税務署から“アウト”を宣告されることになるわけです。

しかも17%に「重加算税」のペナルティが

そうやって無申告がバレたり、申告額が少なかったりした場合、「そもそも支払うべき税金」(本税)分を補填すれば許してもらえるかというと、そうはいきません。本税に加え、「過少申告加算税」「無申告加算税」などを、合わせて納めなくてはならないのです。

最も重いのが、特に悪質だったり、申告漏れの金額が大きかったりする場合に課せられる「重加算税」(最高税率40%!)です。19年度に、この重加算税が課せられたのは1,541件(同1,762件)で、非違件数に占める割合は17.0%(同16.5%)に上りました。

申告漏れは3,000億円超

そうした悪質なものも含めた「申告漏れ課税価格」(※2)の総額は、3,048億円(同3,538億円)。1件当たりにすると、2,866万円(同2,838万円)となり、その結果、本税と加算税を合わせた追徴税額は、1件当たり641万円(同568万円)と、前年度を13%近く上回りました。

※2申告漏れ課税価格
申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適⽤財産を含む)から、被相続人の債務・葬式費⽤の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への⽣前贈与財産額(調査による増減分)を加えたもの。

実地調査以外でも、目を光らせている

なお、国税当局は、こうした実地調査だけでなく、文書や電話連絡、来署面接などにより申告内容の是正を求める「簡易な接触」による「適正・公平な課税の確保」にも努めています。19年度は、8,632件(同1万332件)で実施し、最終的な追徴税額は、1件当たり48万円(同42万円)となりました。

実地調査にこの「簡易な接触」も含めると、課税対象のうち、何らかのかたちで税務当局に「声を掛けられる」のは、「5人に1人」近くになる計算です。他の税に比べても、厳しい目が向けられていることは、認識しておく必要があるのではないでしょうか。

海外資産も隠せない

以上が調査の概要ですが、公表資料で「調査に係る主な取組」として、あえてピックアップされている事柄が3つあります。

  (1)無申告事案に対する調査状況

「無申告事案は、申告納税制度の下で⾃発的に適正な申告・納税を⾏っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものである」という認識に立って、その把握のために積極的な情報収集などを行っている、としています。

19年度の無申告事案についての実地調査は、1,077件(同1,380件)行われ、非違割合は85.5%(同89.3%)、1件当たりの追徴税額は、897万円(同731万円)に上っています。

(2)海外資産関連事案に対する調査状況

海外資産関連事案とは、①相続または遺贈(※3)により取得した財産のうちに海外資産が存するもの、②相続人、受遺者または被相続人(亡くなった人)が⽇本国外の居住者であるもの、③海外資産などに関する資料情報があるもの、④外資系の⾦融機関との取引があるもの――などのケースを指します。

国税庁は、「納税者の資産運⽤の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく⾮居住者⾦融口座情報)などを効果的に活⽤し、海外取引や海外資産の保有状況の把握に努めています。」とします。「CRS情報」というのは、海外に開いた金融機関の口座の情報を、各国の税務当局がやり取りできる国際的な取り決めのことです。

19年度は、実地調査件数こそ1,008件(同1,202件)と前年度を下回ったものの、非違件数(149件、3.5%増)、申告漏れ課税価格(77億円、32.2%増)、非違1件当たりの申告漏れ課税価格(5,193万円、27.8%増)は、増加しました。

※3遺贈
遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を贈与すること。財産を贈られた人を「受遺者」と言う。
引用:国税庁
  (3)贈与税に対する調査状況

相続対策(相続税の軽減)も目的に行われる生前贈与ですが、これも一定の金額を超えれば、当然課税対象になります。国税庁は、「相続税の補完税である贈与税についても、積極的に資料情報を収集するとともに、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努め、無申告事案を中心に贈与税の調査を的確に実施しています。」としています。

19年度の実地調査は、3,383件(同3,732件)、そのうち非違件数は、95%近い3,217件(同3,549件)に上りました。申告漏れ課税価格は218億円(同207億円)、追徴税額は78億円(同67億円)でした。1件当たりの追徴税額は、前年度比28.2%増の231万円(同181万円)となっています。

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まとめ

コロナ禍中においても、税務当局は、相続税の申告に問題はないか、必要な情報収集などに努めています。相続財産は高額なことも多いですから、申告漏れが露見すると、ペナルティも大きくなります。「見つからないだろう」という安易な姿勢で臨むのは、やめましょう。申告や節税については、相続に詳しい税理士に相談するのがベストです。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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