アルバイト等に対する源泉徴収の注意点-2 | MONEYIZM
 

アルバイト等に対する源泉徴収の注意点-2

●アルバイト等の源泉徴収を失念した場合は、企業側が源泉徴収税額分を立て替えたり、不納付加算税等の対象になる可能性があります。
前回のお話では、アルバイト等も原則、源泉徴収をしなくてはいけないことをお話いたしました。
もし、アルバイト等の源泉徴収を忘れてしまったり、甲欄と乙欄を間違えて徴収不足になったりすると、余計な事務手続きや支払いが発生する場合があります。今日はそんなお話です。
本来、源泉徴収はアルバイト等の給与からの天引きですから、徴収しなかった分や不足額はアルバイト等から返してもらわなければなりません。
しかし、そのアルバイトやパートが辞めてしまっている場合や返すことを拒否された場合などは、不足額を返してもらうのは難しくなります。もし返してもらえなかった場合には、会社が立替払いしなければなりません。 しかも、この立替払いした源泉徴収額は、原則として立替金として資産計上することになり、その立替金を費用(損金)化する際には注意が必要です。
また、源泉徴収税の納付不足額が1万円以上の場合は不納付加算税と延滞税の対象となります。
不納付加算税は、1日でも納付が遅れた場合に納付不足額の原則10%(自主的な納付の場合は5%)が徴収されるものです。ただし、以下の両方の条件を満たしている場合は不納付加算税の徴収が免除されます。 ●法定納期限の翌日から起算して1ヶ月以内に納付していること ●直前1年分の納付について遅れたことがないこと、または新たに源泉徴収義務者になった場合の初回の納期に係るものであること
一方、延滞税は納付不足額に対して、納期限の翌日から2カ月を経過する日までは年7.3%か前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%のいずれか低い割合、2カ月経過後は年14.6%が課せられる延滞利息金です。
そして、これらの不納付加算税と延滞税は会社のミスですから、通常はそのアルバイトやパートから返してもらうわけにもいきません。さらに、支払った不納付加算税や延滞税は会社の損金にもできません。
このように二重三重の損失が考えられるわけです。こうしたことにならないよう十分な注意が必要です。また、該当するアルバイト従業員に扶養控除申告書を提出してもらったり、源泉税について十分な説明を行うなどの対策も採るべきだと思います。

税理士:浦田泉
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