相続に強い税理士を無料でご紹介 相続財産センター

子どもへのお年玉、小遣いに税金はかかる? 生前贈与のポイント、注意点を解説

子どもへのお年玉、小遣いに税金はかかる? 生前贈与のポイント、注意点を解説

2023年12月26日

子どもにお金などの財産を渡すと、場合によっては贈与税がかかることは、ご存じだと思います。
では、正月にあげるお年玉や、毎月の小遣いのようなものも課税対象になるのでしょうか?
2024年からは課税の仕方も変わる贈与税について、解説します。

そもそも贈与税って?

贈与税は、個人(贈与者)がお金や財産価値のある物を無償で人に譲った際に、受け取った人(受贈者)にかかる税金です。親が子に贈与を行えば、子どもが納税義務を負います。といっても、どんな贈与にも課税されるわけではなく、金額的には、1年間(1月1日~12月31日)に110万円という基礎控除額までは非課税です。贈与税は、基本的にその基礎控除額を超えた分にかかる税金なのです。

例えば、一度に220万円を渡せば、110万円が課税対象になります。一方、110万円ずつ2年で渡した場合には、他に譲られた財産がなければ贈与税はかかりません(この場合でも、後で説明する相続財産への「持ち戻し」により、相続税が課税されることはあります)。

この贈与の仕方を「歴年贈与」(「暦年課税」による贈与)といいます。贈与には、このほか2,500万円までを贈与税非課税で譲り受け、贈与者の相続の際に相続税を支払う「相続時精算課税」という方法があります。こちらは、いわば「税の後払い」です。

贈与税がかかるケース・かからないケース

今の基礎控除額のように、受贈者に贈与税が課税されるかどうかは、基本的に渡す金額によりますが、他の条件が関係することもあります。

お年玉には課税されない

贈与税が課税されない場合からみていきましょう。国税庁は、次のような財産には贈与税がかからない、としています。

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

例えば、子どもが通う大学に支払う学費、親の介護のために必要な支出などについては、年間110万円を超えたとしても、贈与税が課税されたりはしない、ということです。

ただし、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要になったタイミングで、直接これらに充てるために支出されたものに限られます。生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合でも、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てたりしている場合には、贈与税の課税対象になります。

●個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上、相当と認められるもの

正月に子どもや孫に渡すお年玉は、まさにこれに該当します。つまり、贈与税はかからない、ということです。

ただし、ここでも「社会通念上、相当と認められるもの」という条件が付けられています。もし、無制限に認めれば、「お祝い」などとして、非課税でいくらでも渡せることになってしまうからです。

問題は、「社会通念上」というのに、明確な線引きがないこと。お年玉でいえば、年齢にもよりますが、数万円ずつもらった総額が110万円を超えても、贈与税が課税されることはないかもしれません。一方、1人から200万円もらえば、税務署に「社会通念に照らして、お年玉の範疇を超えている」と判断される可能性があると思われます。繰り返しになりますが、基準が明示されているわけではありませんから、高額のものを渡したり、もらったりする際には、注意しましょう。

小遣いには課税されることもある

今のような場合を除き、基本的に無償(ただ)で人に財産を渡した場合は、贈与税の対象となる贈与とみなされます。

子や孫にあげる小遣いも、例外ではありません。「毎月いくら」のように定期的に渡すかどうかなどを問わず、年間110万円の基礎控除額を超えれば、贈与税が発生すると考えてください。逆にいえば、小遣いを渡す場合には、この基礎控除額を意識することが大事になります。

なお、課税対象になるのは、お金とは限りません。家電製品や車、不動産などを買ってあげたり、譲ったりしたときにも、贈与税がかかってきます。贈与税は、年齢などにかかわりなく、受贈者にかかる税金ですから、小学生に納税義務が生じることも、理論上はありえます。

納める贈与税はどのくらい?

贈与額が増えるほど、税率もアップ

もし贈与税が課税されるとしたら、納税額はどのくらいになるのでしょうか?

暦年贈与における贈与税の税率は、子や孫などの直系卑属への贈与と、それ以外では税率が異なります。子どもなどへの贈与では、110万円を超えた部分に、200万円まで10%、200万円超から400万円までの部分に15%……などとなっていて、最高税率は4,500万円超の部分にかかる55%です。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

※控除額は、計算した税額から差し引く金額です。

仮に、子どもに対して1年間に200万円の贈与を行うと、200万円から基礎控除額110万円を引いた90万円に贈与税がかかります。課税対象となる金額は200万円以下ですから、納税額は「90万円×10%=9万円」です。

もし500万円を贈与すると、課税対象は390万円。税額は、「390万円×15%-10万円=48万5,000円」となる計算です。

このように、贈与税は贈与の金額が大きいほど、税率自体もアップしていきます(累進課税)。その点からも、高額の贈与を行う際には、納税のことをよく考えておく必要があるのです。

贈与税は確定申告が必要

贈与税が発生する贈与を受けた場合には、翌年の確定申告(原則として2月1日~3月15日)で、税務署に申告と同時に納税を行わなくてはなりません。忘れていたり、故意に申告しなかったりすると、本来支払う税に加えて、「延滞税」や「加算税」などの追徴を課せられる可能性がありますから、気をつけてください。

2024年から贈与の仕組みが変更に

2023年の税制改正で、2024年から贈与の仕組みを一部変更することが決まりました。最後に、変更のポイントをみておきましょう。

暦年贈与のメリットが薄れる

「暦年贈与には1年に110万円の基礎控除額がある」と説明してきましたが、実はこの贈与には、期間の制限があります。贈与者が亡くなる3年前までの間に贈与されていたものは、基礎控除の範囲内のものであっても、全額が相続財産に加算される(持ち戻される)、という仕組みがあるのです。それによって、相続税の課税対象になったり、納税額が増えたりする可能性があるわけです。

さらに、2024年1月から、この持ち戻しの期間が3年から7年に延長されます。2024年から順次延長され、2031年以降は、相続開始7年前までの贈与分がすべて相続財産に加算されてしまいます。基礎控除を使って少しずつ贈与していく歴年贈与のメリットは、かなり薄れるかもしれません。

相続時精算課税は有利に

贈与には、このほか相続時精算課税という方法がある、といいました。この制度は、逆に2024年以降、従来はなかった基礎控除枠(年間110万円)が新設されるという有利な制度変更が行われます。歴年贈与のような持ち戻しもありませんから、それなりの節税効果が期待できるでしょう。

ただし、一度この方法を選択すると、歴年贈与に切り換えることはできません。一括で「清算」することになる相続税の金額にも、注意を払う必要があります。

まとめ

贈与税は、無償で誰かに財産を譲ったときにかかります。ただ、同じように子どもにお金を渡す場合でも、基本的にお年玉には課税されず、小遣いは金額によって課税される可能性があるなど、判断に迷うこともある税金です。贈与税がかかる場合には、翌年、確定申告が必要で、怠るとペナルティの対象になりますから、注意してください。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
相続財産センターは、株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」の相続に特化したサイトです。資産税・相続に強い税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
創業から28年、税理士紹介で培った知識とノウハウから、確定申告・決算・会社設立・融資・節税のご相談や、税理士料金の相場情報など、「初めて税理士に依頼したい」「顧問税理士を変更したい」という経営者・事業主の皆様に役立つ情報をお届けします。
相続に強い税理士無料相談はこちら
税理士無料紹介
お問い合わせフリーダイヤル
電話番号