インターネットの普及に伴い、ネットを使って株取引をする人は年々増加しています。ネット証券各社も手数料の無料化などサービスを充実させて顧客の獲得を狙っているため、今後ネット証券を通じて株取引を始める人がますます多くなるでしょう。この記事では、ネット証券を使った株取引のやり方や税金について解説します。
ネット証券で株取引手数料無料化が加速
インターネットを利用して、株取引をするときに使うのがネット証券です。通常、証券会社を利用して株の売買を行う場合は、証券会社に数パーセントの手数料を支払う必要があります。しかし、ネット証券では、この手数料を無料化する流れが進んでいます。ほとんどのネット証券では実質、手数料が無料になっています。
手数料無料化には3つの理由があります。一つ目の理由が、アメリカの証券会社の流れに乗っていることです。実は、株取引手数料の無料化は、アメリカではすでに行われていました。日本でもこれにならい、無料化の流れが到来しています。
二つ目の理由が、利益を上げる構造の多角化です。ネット証券を運営している会社の多くがネット銀行を経営しており、金利や資産運用のアドバイスなどで収益を計上可能です。そのため、株取引手数料を無料化して顧客の獲得しやすさを優先しています。
三つ目の理由が若年層の囲い込みです。ネット証券の顧客の多くが、25歳以下の若年層です。手数料無料のお得さから若年層の顧客を囲い込めば、今後長きに渡り顧客になる可能性が高くなります。
これらの理由から、今後はさらにネット証券で株取引手数料無料化が加速化していくことが予想されます。
一般的なネット証券の始め方
次に、一般的なネット証券の始め方について見ていきましょう。一般的なネット証券を開始する流れは次のようになります。
- 利用する証券会社の選択
- 必要書類の準備
- 口座開設
- 口座への入金
- 株取引の開始
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1.利用する証券会社の選択
ネット証券で株取引を始めるためには、利用する証券会社を選ぶ必要があります。上述した通り、多くのネット証券では、株取引手数料は無料となっています。そのため、ネット証券会社では手数料の金額によって選ばれることはありません。
ネット証券会社を選ぶポイントは、使いやすさです。ネット証券会社では、銘柄の情報が記載されていたり株価チャートが確認できたりと、独自のツールを用意しています。そのツールが使いやすい証券会社を選択します。
また、各ネット証券会社が提供している企業の業績やアナリストのレポートなども確認します。株取引では、さまざまな情報からチャートの動きを予測していくことになるので、豊富な情報を提供している証券会社がおすすめです。
ネット証券各社が用意しているツールや情報は、事前に確認できるので、利用する証券会社を選ぶ前には必ず確認しておきましょう。
2.必要書類の準備
利用する証券会社が決まったら、口座開設に必要な書類を準備します。口座開設に必要な書類は多くありません。一般的には、本人確認書類が必要です。本人確認書類の種類は、マイナンバーカードを所有しているかどうかで異なります。マイナンバーカードを所有している場合は、マイナンバーカードが本人確認書類となります。
マイナンバーカードを所有していない場合は、マイナンバー通知カードと運転免許証など顔写真のついている本人確認書類をひとつ用意します。顔写真のついている本人確認書類がない場合は、健康保険証や年金手帳、住民票の写しなどの本人確認書類を2種用意する必要があります。
本人確認書類は口座開設時に画像をアップロードする必要があります。事前にスマホやデジカメ、スキャナーなどで画像化しておきましょう。
3.口座開設
口座開設はインターネット上で手続きを行います。利用するネット証券会社のホームページから、口座開設画面を開きます。口座開設画面は、ネット証券会社のホームページに行くと「口座開設はこちら」といった文言で目立つ場所に表示されているので、すぐに見つけやすいです。
口座開設画面を開くと、申込者の氏名や住所などの基本情報の入力画面や本人確認書類のアップロード画面などが表示されます。
※インターネットの画面上で口座開設の申し込みをしたくない場合は、郵送で口座開設申込書を取り寄せることもできます(一部の証券会社では、ホームページからダウンロードして印刷も可能)。この場合は、取り寄せた口座開設申込書に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーとともに、証券会社に返送します。
ホームページ上で必要事項などを入力すれば、口座開設の申し込みの完了です。
口座開設時に迷うのが「特定口座」についてです。多くの人は「特定口座・源泉徴収あり」で口座を開設します。株取引で利益が出ると、1年間で得た利益や納める税金の額を自分で計算する必要があります。特定口座は、1年間でいくら利益が出たかを証券会社が計算してくれる口座です。
また、特定口座は「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」を選択できます。特定口座の「源泉徴収あり」を選択すると、自動で税金も計算され、株売却時に売却代金から税金を差し引いて、証券会社が個人の代わりに納税もしてくれます。株取引の利益や税金の計算を個人でしたくない場合は「特定口座、源泉徴収あり」で口座を開設します。
ネット証券会社によっては、これですぐに口座が開設できるところもあれば、その後、書類が送られて書類の返送後に、口座開設ができるところもあります。
4.口座への入金
株取引用の口座が開設できたら、口座に入金を行います。銀行口座からネットバンキングを使って、証券口座に入金します。
5.株取引の開始
口座への入金ができたら、いよいよ株取引の開始です。ネット証券会社の提供している情報やツールなどを用いながら、購入したい株を選びます。
株取引と税金の関係とは
最後に、株取引と税金の関係について見ていきましょう。
株取引で利益が出れば税金がかかる
株取引で利益が出れば、その利益に対して税金がかかります。株取引で利益が出た場合の所得は「譲渡所得」になります。
株取引で利益が出た場合の譲渡所得は、税金の計算方法が独特です。株取引の譲渡所得は、サラリーマンの給与所得や個人事業主の事業所得などと分けて税金を計算する「分離課税」方式を用います。分離課税方式では、譲渡所得の金額に一定の税率を乗じて、税金の計算を行います。株の売却による譲渡所得の金額は、次の計算式で求めます。
株の売却に対する税率は、20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)です。例えば、株の売買による譲渡所得金額が100万円の場合の税金は、100万円×20.315%=203,100円(100円未満切り捨て)となります。
株取引を始めたら確定申告が必要?
次に、株取引と確定申告の関係について見ていきましょう。上述した通り「特定口座・源泉徴収あり」で口座を開設している場合は、株の利益や税金の計算、税金の納付を個人に代わって証券会社が行うため、確定申告をする必要はありません。特定口座を開いていない、または特定口座を開いているが「源泉徴収なし」の場合は、確定申告が必要となります。
株取引の確定申告では、通常の確定申告で必要な「第一表」「第二表」に加えて「第三表(分離課税用)」と「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を作成し、税務署に提出します。
確定申告書「第三表(分離課税用)」は、株の売買にかかる税金を計算する書類です。
「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」は、株の売却金額や取得価格、支払った委託手数料等の金額を記載し、譲渡所得を計算する書類になります。
まとめ
ネット証券では多くの会社が株取引の手数料を無料化しているため、株取引がしやすくなっています。口座開設も、インターネットを利用して簡単にできます。
口座を開設したからといって、必ず株取引を行わないといけないことはありません。株取引を考えている場合は、一度口座開設してみてはいかがでしょうか。