休業手当支援金や給付金など、新型コロナウイルスの影響で休業などになった場合に受け取れるお金は多いです。
その中で、利用を考えたいのが傷病手当金です。傷病手当金は昔からある制度ですが、実は新型コロナで会社を休んでも傷病手当金がもらえます。そこで、ここでは傷病手当金について詳しく解説します。
※記事の内容は2021年6月18日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。
そもそも傷病手当金とは
サラリーマンが新型コロナウイルス感染症に感染し、会社を休まざるをえない場合には、傷病手当金が受け取れます。では、傷病手当金とはどのような制度なのでしょうか。まず、傷病手当金の制度内容から見ていきましょう。
傷病手当金とは、病気やけがなどが理由で会社を休み、会社を休んでいる間の給料が出ない場合に、健康保険協会などから支給される手当金のことです。傷病手当金は、病気やけがなどによって会社を休むことが条件であるため、新型コロナウイルス感染症に感染し、会社を休んだ場合でも支給対象となります。
ただし、会社を休んだ日が連続して3日間(待機期間)あり、かつ4日目以降の休んだ日に対して支給されるので注意が必要です。支給される金額は、次の計算式で求めます。
例えば、支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額が平均30万円だった場合、1日当たりの金額は次のようになります。
- ①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値
- ②標準報酬月額の平均値(支給開始日が平成31年4月1日以降は30万円)
新型コロナで傷病手当金を受け取るための条件と手続き
新型コロナウイルス感染症に感染し、会社を休まざるをえない場合には、傷病手当金を受け取ることができますが、受け取るためには条件があったり、手続きを行ったりする必要があります。
そこで、ここでは新型コロナで傷病手当金を受け取るための条件と手続きを見ていきましょう。
新型コロナで傷病手当金を受け取るための条件
新型コロナウイルス感染症に感染し傷病手当金を受け取るためには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 業務外の事由による病気やケガを療養するために休業していること
新型コロナウイルス感染症で休業している場合は、基本、この条件にはあてはまります。 - 仕事に就くことができないこと
新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、強制的に仕事を休まざるを得ないため、この条件にあてはまります。 - 4日以上仕事に就けなかったこと(連続する3日間を含む必要があり)
新型コロナウイルス感染症では、PCR検査で陰性が出るなど一定の条件を満たすまでは原則、隔離されるため、基本的にこの条件も満たします。 - 休業期間中は無給であること
休養期間中に勤務先から給料が支払われている場合は、傷病手当金を受け取れません。
新型コロナで傷病手当金を受け取るため手続き
新型コロナウイルス感染症に感染し、傷病手当金を受け取るには、勤務先が加入している健康保険組合に手続を行う必要があります。ここでは、協会けんぽの場合で、傷病手当金を受け取るための手続きを解説します。
- (1) 申請書の入手
傷病手当金を受け取るためには、「健康保険 傷病手当金 支給申請書」の提出が必要です。「健康保険 傷病手当金 支給申請書」は、協会けんぽのホームページからダウンロードで印刷するか、協会けんぽ支部に電話をして郵送してもらい入手します。 - (2) 「健康保険 傷病手当金 支給申請書」の作成
「健康保険 傷病手当金 支給申請書」には、本人(被保険者)記入欄、事業主(雇用主)記入欄、療養担当者(医師など)記入欄があります。それぞれの人に必要事項を記入してもらう必要があります。 - (3) 添付書類の準備(必要な場合のみ)
傷病手当金を受け取るための申請では、基本的に添付書類は不要ですが、被保険者の記号番号が不明な場合や障害厚生年金の給付を受けている場合、労災保険から休業補償給付を受けている場合など一定のケースのみ、マイナンバーカードや休業補償給付支給決定通知書のコピーなど、要件にあった添付書類が必要になります。 - (4) 「健康保険 傷病手当金 支給申請書」の提出
「健康保険 傷病手当金 支給申請書」の作成が終わったら、協会けんぽ支部窓口に郵送などで提出します。傷病手当金は「健康保険 傷病手当金 支給申請書」に記入した口座に振込で支払われます。
新型コロナで傷病手当金を受け取った場合の税金と注意点
ここからは、新型コロナウイルス感染症に感染し傷病手当金を受け取る際の注意点についてQ&Aで見ていきましょう。
Q. 受け取った傷病手当金には、税金がかかりますか。
A. 傷病手当金は非課税です。確定申告などの手続きも不要です。
Q. 新型コロナウイルス感染症の自覚症状はありませんが、PCR検査の結果、陽性となり会社を休まなければなりません。自覚症状がなくても、傷病手当金の対象となりますか。
A.はい。傷病手当金の支給対象になります。
Q.医師の診断前、発熱などの自覚症状があったために自宅療養をしていた期間は、傷病手当金の対象に含まれますか。
A.医師の診断の結果、医師の診断前において労務不能の状態であったと認められる場合(意見書に記載が必要)は、病手当金の対象に含まれます。
Q.他の従業員が新型コロナウイルス感染症に感染して会社自体が休業となり、その期間働けなくなった。この場合は、傷病手当金の対象になりますか。
A.傷病手当金の対象になりません。傷病手当金は、本人が新型コロナウイルス感染症に感染している場合に支給されます。今回のケースでは、勤務先から休業手当の支給を受けることになります。
Q.家族が新型コロナウイルス感染症に感染し、濃厚接触者となったため、会社を休んだ。この場合は、傷病手当金の対象となりますか。なお、その後のPCR検査では陰性でした。
A.傷病手当金の対象となりません。傷病手当金の対象は、あくまで労働者本人が新型コロナウイルス感染症に感染し、働けない場合に支給されます。このケースでは、労働者本人は新型コロナウイルス感染症に感染していないため、傷病手当金の対象となりません。
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まとめ
傷病手当金とは、病気やけがなどで会社を休み、会社を休んでいる間の給料が出ない場合に、健康保険協会などから支給される手当金のことです。新型コロナウイルス感染症に感染し、会社を休まざるを得なくなった場合も、傷病手当金を受け取ることができます。傷病手当金は公的な制度なので、支給対象となる場合は申請を行わないと損です。
傷病手当金を受け取るためには、健康保険組合に本人、事業主、医者などの記載欄のある申請書を提出する必要があります。申請書の作成に時間がかかることもあるため、傷病手当金の受給を考えている場合は、速やかに手続きを開始しましょう。
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▼参照サイト
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31710/1950-271/
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r124/
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/201001/k_shoute_guide201001.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/