デルタ株の蔓延などに伴い、新型コロナウイルス感染症の新規感染が急増しています。「医療ひっ迫」とも相まって、自宅療養やホテルなどでの宿泊療養となるケースが多くなっているのですが、その際、医療保険の「入院給付金」が受け取れることを、ご存知でしょうか。「入院」ではないから請求できない、と誤解しているケースもあるようなので、注意が必要です。その他、「特別対応」も含めて「新型コロナと医療保険」についてまとめました。(2021年8月26日時点の情報です)
新型コロナに感染したら
新型コロナに感染した場合の、医療保険の保険金、給付金についてみていくことにします。なお、具体的な対応は、保険会社によって異なる場合があります。また、今後の法令の変更などによって、見直しが行われる可能性もあります。詳細については、各保険会社にお問い合わせください。
死亡、入院した場合
新型コロナに感染して死亡した場合、一般の疾病同様、「死亡保険金」の支払対象となります。一部の保険会社では、割増のある「災害死亡保険金」の対象として取り扱われます。また、保険金削減支払、特定部位不担保などの特別条件付きの場合にも、新型コロナによって支払事由に該当した場合には、保険金削減を行わない取り扱いに変更する、としている会社もあります。
入院した場合にも、当然、「入院給付金」の支払い対象となります。医師の指示で入院した場合には、新型コロナの検査で「陽性」判定されたか否かに関わらず、支払いの対象です。
自宅療養、宿泊療養の場合
問題は、増え続けているこのケースです。生保最大手の日本生命のホームページで告知されている内容を見てみましょう。
新型コロナウイルス感染症に罹患された場合で、医療機関の事情などにより、自宅またはその他病院などと同等とみなされる施設で治療を受けられる場合も、その治療期間に関する保健所等発行の証明書(入院勧告書または就業制限・解除通知等)などをご提出いただくことで、入院給付金等のお支払いの対象としてお取扱いします。
この場合、お支払いの対象となる期間は原則、PCR検査等で陽性と判明した日から厚生労働省等の定める解除基準に該当した日(保健所等から通知された解除日)となります。
つまり、基本的に普通の病気入院とまったく同じ扱いだということです。現状、ネット系や外資系も含め、どこの会社も、医師や保健所などの証明書などがあれば、支払い対象にしています。申請を簡素化し、医療従事者などの負担を軽減するため、生命保険協会が業界統一の簡易な証明書様式を用意していますから、これに記入して提出すれば、スピーディーに給付が受けられるはずです。
付け加えると、新型コロナによる病床ひっ迫は、他の病気を抱えていたり、発症したりした患者にも影響を及ぼしています。このように、「新型コロナウイルス感染症以外の疾病で入院が必要な人が、医療機関の事情により入院できず、臨時施設や自宅で療養した場合」や、「当初の退院予定日より早期の退院を余儀なくされた場合」についても、入院給付金の支払対象としている生命保険会社もあります。
オンライン診療は?
入院給付金の支払対象となる入院をし、退院後その治療を目的に通院したときに受け取れるのが、「通院給付金」です。感染拡大による移動制限に伴い、医療機関への通院に代えて自宅などで医師によるオンライン診療や電話診療が行われるケースも多くなっています。この場合には、通院特約の保険期間中の診療日について、この給付金の支払対象となります。もちろん、新型コロナ感染症以外の治療も対象です。
保険会社のその他の対応について
こうした給付面での措置に加え、生保各社は感染拡大の状況を踏まえて、各社共通、あるいは個別の対応を打ち出しています。
保険料払込期間の延長
各社は、保険料の払込や保険契約の更新に関して、猶予期間を設けるなどの特別措置を講じています。現在、2021年7月に緊急事態宣言が発令された東京都、大阪府などの地域契約を対象に、保険料の払込みに関する期間を最長6カ月間延長する、などの対応がとられています。
コロナに対応した保険商品も
新型コロナに対応した医療保険も発売されています。
- 太陽生命「感染症プラス入院一時金保険」 新型コロナを含む所定の感染症などで入院した場合、最高40万円を一時金で支払う。
- justInCase「コロナ助け合い保険」 新型コロナを含むケガや病気による入院、新型コロナによる自宅や臨時施設での治療を保障する。
- 第一スマート少額短期保険「コロナminiサポほけん」 新型コロナウイルスの感染状況に応じて保険料が変動する。
※想定を超えた新型コロナウイルス感染症の状況により、販売を一部休止しています。詳細は第一生命のサイトをご覧ください。
- 富国生命 「感染症サポートプラス」 保険料が変わらず、入院給付金の支払額が従来の2倍となる。
まとめ
新型コロナでは、感染しても、入院せずに自宅療養や宿泊療養で経過を見るケースが増えています。このような場合には、症状が重いのに入院できなかったらもちろんのこと、「軽症」だったとしても、医療保険の入院給付金の対象になります。忘れずに申請するようにしましょう。