どんな仕事であれ、働く限り税金のことで相談したいことはでてきます。会社員の場合は、同僚や会社の総務部などで税金のことも比較的簡単に相談できるかもしれません。しかし、個人事業主の場合は個々に事情が異なってきます。申告にあたっての会計方法や利用可能な特典などはどこで確かめたらよいのでしょうか?
個人事業主の税金相談の窓口とは
まずは無料相談を探そう
例えば、今年事業を始めて個人事業主になったとします。そして、税務署に開業届と青色申告承認申請書など、必要書類をいろいろ調べて提出しました。その時、税務署では次に何をしたらいいのか教えてくれたでしょうか。何も次のことは教えてくれなかったのではないでしょうか。
サラリーマンの場合、会社で源泉徴収され、年末調整ですべて完結することも可能です。
しかし、個人事業主は、自分の所得を自分で確定しなければなりません。ここでは、そのような個人事業主が税金について無料で問い合わせたり、調べたりするための相談窓口を紹介します。
国税庁のホームページ(タックスアンサー、確定申告特集)
まずは自分と同じような悩みがないかどうかを調べましょう。パソコンがなくても、スマホでも調べられます。
国税庁のホームページ(タックスアンサー)は、国税についての質問と答えを現在は16のカテゴリーに分けて格納しています。
この中の所得税のカテゴリーにおいて、個人事業主に特化できるような相談内容は「事業主と税金」にある程度掲載されています。一見、数少ないように見えますが、1つ1つの説明には関連リンクもあり、深く知ることができるしくみになっています。
タックスアンサーを見た後に、電話相談する場合には関連コードなどをメモしておくとよいかもしれません。
さらに、確定申告書作成にあたっては確定申告特集のページが頼りになります。パソコンがどんな状態か、電子申告(e-Tax)をするにはどうすればよいかまで、年々更新され使いやすくなっています。
新しいところでは、税務相談の新しいチャネルとして国税庁のホームページに「チャットボット」が2020年1月15日から2020年3月31日までの期間で試験的に導入されています。チャットボットとは、AI(人工知能)を利用した自動回答システムです。24時間やっていますので気軽に試すことができます。
このように、申告や納付についての記載については国税庁の確定申告特集が具体的で詳しいでしょう。
国税局電話相談センターに問い合わせる
タックスアンサーなどに掲載されない個別の相談については、国税局の電話相談が利用できます。
最寄りの税務署に電話して、音声案内に従って「1:国税に関する一般的なご質問やご相談」を選択したのち、
- 1: 所得税
- 2: 源泉徴収、支払調書
- 3: 譲渡所得、相続税、贈与税、財産評価
- 4: 法人税
- 5: 消費税(軽減税率制度を除く)、印紙税
- 6:その他
を選択すると、国税局電話相談センターにつながり、国税局の職員が電話口で対応します。
この電話相談は、匿名でできます。
注意点として、確定申告期間は税務署内での相談の受付を休止している場合があります。その場合は別途、申告相談窓口としていくつかの窓口が開設されていることがありますので、事前に最寄りの税務署に確かめておきましょう。
最寄りの税務署にて面談する方法
具体的に書類を見たり、事実関係を確認する必要がある場合など、電話での回答が困難な相談内容については、最寄りの税務署で税務署の職員との面接にて相談することができます。
税理士に依頼する場合とは異なり、税務署では無料で相談ができるのです。ただし、対応は平日の日中に限られ、相談するには内容についてある程度の予備知識も必要です。また、面談にあたっては予約制となっていますし、この場合は氏名や住所等の個人情報は必要です。
各税理士会の税務相談センターや日本税務研究センターに問い合わせる方法
日本税理士連合会では、税理士の相談会を全国各地で開催しています。
全国に15ある各税理士会が無料税務相談会を主催していますので、税務や会計に関する相談をすることができますが、ほとんどの税理士会では予約制になっているようです。税理士会によって電話・面談のどちらでも可能となります。
税理士による一般の見解が聞けますので、例えば、「●●については経費になりますか?」等、会計の部分からしっかり相談できます。ただし、無料相談のため時間制限があります。
また、公益財団法人日本税務研究センターでも電話相談を受け付けています。この団体は、日本税理士会連合会と全国税理士共栄会が共同で設立した税に関するシンクタンクで、一般的な税務に関する相談を対象に無料で受け付けています。その他、最寄りの商工会議所などで税理士による無料相談が実施されていることもあります。
問い合わせるときの注意点
「どこに」「なにを」相談するかを明確にする
一口に税金といっても、所得税や消費税といった国税だけに悩むわけではありません。
住民税や個人事業税、固定資産税、自動車税などさまざまな税金がありますし、所得によって免除されているものもあります。また、予納税や中間納付といった先払いの税金もあります。
税務署では原則として国税(所得税、消費税、印紙税など)についての質問が主となり、地方税については、税事務所や各市区町村に問い合わせます。例えば、東京都の場合、個々の都税事務所をクリックすると調べたい税によって電話番号が記載されています。
また、市役所などで一般の税務相談を税理士が面談により受けているところもあります。
問い合わせるときには、まず、何について知りたいかを具体的に説明できるようにしておきましょう。少なくとも、収入と所得の違い、所得控除、税額控除、青色申告と白色申告などは自分の言葉で説明できるくらいの知識は持っておきましょう。
面談の場合には可能な限り問題となっている書面等を持参し、契約書や取引に関する相談では内容をきちんと説明する等、限られた時間を効率よく利用できるように準備しておきましょう。
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/iken-sodan/otoiawase/madoguchi/toze.html
参考:東京都品川区の例
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/ct/other000054300/1kakusyusoudannsoudannshitu26.pdf
確定申告の相談は早めにする
確定申告期間においては、税務署以外にも市町村役場や特設会場などで申告相談会が設営されていることがあります。多くは、給与所得者の確定申告が対象となり、個人事業主にも共通することはあるものの相談会によっては対象外となる場合もあります。
最寄りの税務署は、所得税の申告期限(3月15日)が近づくほど込み合い、一人当たりの対応時間も限られます。早めに準備し、不明点を解決しましょう。
以上、あくまでも「無料」で相談できる窓口を紹介しました。
利用している会計ソフトに関する質問は、各メーカーのサポートが利用できる場合があります。
税理士にもいろいろな形態があり、事務所によっては初回相談は無料で受け付ける所もあります。複雑で込み入った案件は税理士の腕次第ということもあり、さらに担当税理士との相性もありますが、最寄りの税理士事務所に問い合わせてみるのはいかがでしょうか?
日本税理士連合会のHPで最寄りの税理士事務所を検索することもできます。
まとめ
最近の会計ソフトは、確定申告までほぼ自動で作成できる機能がついているものが多くなっています。しかし、仕訳入力が終わったからと一気に青色申告決算書と確定申告書を印刷して終わりというのは非常に危険です。
まず、試算表を出力して、特に貸借対照表をチェックしましょう。各勘定科目の残高は、翌期に繰越すため、慎重なチェックが必要です。そして不明点は、早めに解決しましょう。