今、人気のある車にキャンピングカーがあります。キャンピングカーとは、キッチンやベッドが付いている車のことで、車中で食事や寝泊まりができます。
では、食事や寝泊まりができるのであれば、家のように固定資産税はかかるのでしょうか。ここでは、キャンピングカーと固定資産税などの税金について解説します。
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キャンピングカーを家に!固定資産税はかかる?【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】
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そもそも固定資産税とは
はじめに、そもそも固定資産税とは何かを見ていきましょう。
固定資産税とは、取得している固定資産に対して課される税金のことです。固定資産税は、1月1日時点で固定資産を取得している人が、固定資産のある市町村に対して納める地方税のひとつです。徴収された固定資産税は、主に道路や学校などの公共施設の整備や行政サービスに使われます。
ここで注意したいのが、固定資産税は建物の「所有」について課される点です。登記をしているかどうかは、関係ありません。たとえ、登記がされていない固定資産であっても、固定資産税はかかります。
固定資産税は、市町村が計算し、税額が通知されるため、納税者が計算する必要はありませんが、次の計算式で納税額が求められています。
※税率は、自治体により異なります。
例えば課税標準額が1,000万円の固定資産の場合、固定資産税の金額は、次のようになります。
固定資産税には、住宅など所有している固定資産の種類によって、軽減措置が設定されるものもあります。
キャンピングカーには固定資産税がかからない
固定資産税は、固定資産に課される税金ですが、キャンピングカーには固定資産税はかかりません。
ここでは、キャンピングカーに固定資産税がかからない理由や、逆に何の税金がかかるのかを見ていきましょう。
固定資産税が課される要件とは
キャンピングカーに固定資産税がかからない理由は、固定資産税が課される要件を満たしていないためです。
固定資産税は、固定資産にかかる税金です。ここで問題となるのが、固定資産(建物に該当するかどうか)の要件は何かということです。固定資産税における建物に該当するのかは、「外気分断性」「土地への定着性」「用途」の3つで判断します。
・外気分断性
外気分断性とは、簡単に言うと、外気から遮断されているかどうかということです。例えば、家や倉庫などは屋根や周壁があるため、中の空間が外気から遮断されています。そのため、生活のできる空間となっており、建物といえます。一方、更地の場合は、屋根や周壁がなく、外気分断性がないため、建物とはいえません。
・土地への定着性
土地への定着性とは、土地に定着しているか、容易に他に移動できないかどうかという判断基準です。
そもそも不動産とは、土地に定着しているものをいいます。例えば、一軒家やアパート、ビルなどは、基礎の上に固定され、動かない状態にあるため、土地に定着しています。
ただし、物置などで地面に置いてあるだけの物は、容易に動かせるので、土地への定着性があるとはいえません。
・用途
資産の用途も、建物に該当するかどうかの重要な判断基準です。その空間で人が生活できたり、物を滞留させられたりするなどの条件に当てはまれば、用途性の要件を満たします。
キャンピングカーにかかるのは自動車税
キャンピングカーは、そもそも車が移動を目的としていることもあり、上記の3要件のうち、土地への定着性を満たしていません。したがって固定資産税の対象とはなりません。
ただし、キャンピングカーは自動車税の対象になります。自動車税とは、自動車に対して課される税金で「種別割」と「環境性能割」の2つがあります。
・種別割
一般的に自動車税といわれるのが、「自動車税種別割」です。自動車税種別割とは、自動車を所有することに対して課される税金です。自動車税種別割は、4月1日時点の自動車等の所有者が、都道府県に納める税金です。自動車の種類や総排気量によって税率が代わるため、種別割といいます。
キャンピングカーは一般の車ではなく、特殊車両に該当するため、一般の車と比べて原則、自動車税種別割は安くなります。
・環境性能割
自動車税環境性能割とは、自動車を取得する際に課される税金です。自動車の燃費基準や排出ガス規制の達成度などの環境性能により、税率が異なるために、環境性能割といいます。
自動車税環境性能割は、自動車の取得価格に対し、環境性能に応じて最大3%の税率です。例えば、300万円の車で3%の税率の場合は、300万円×3%=9万円の自動車税環境性能割が課されます。
固定資産税のかかるものとかからないもの
家やビルなどには固定資産税がかかりますが、キャンピングカーには固定資産税がかかりません。
以下の表はキャンピングカー以外にも、固定資産税がかかるかどうか分かりにくいものの例です。
固定資産税の課税有無 | 資産の種類 |
固定資産税がかかるもの | 不動産(住宅、土地、事務所、倉庫など)、償却資産など |
固定資産税がかからないもの | キャンピングカー、トレーラーハウス、カーポートなど |
・固定資産税がかかるもの
固定資産税は、土地や建物などの不動産はもちろんのこと、償却資産にもかかります。
償却資産とは不動産以外の資産のことで、主に事業で使う資産です。例えば、事業で使う機械や備品は、償却資産になります。
事業者は、毎年、所有している償却資産に対して固定資産税を納めます。一般的に、土地や建物に対する固定資産税と区別するため、償却資産税と呼ばれます。
別荘に固定資産がかかるか気になる方は、「0円別荘には税金がかかる?0円別荘の税金やメリット・デメリットを解説」をご覧ください。
・固定資産税がかからないもの
土地への定着性がないキャンピングカー同様、トレーラーハウス、カーポートなども、固定資産税はかかりません。
トレーラーハウスとは、車輪のついた住宅のことで、アメリカなどでは昔から普及しているものです。日本でも、災害時の仮設住宅として使われたり、個人で所有して楽しんだりすることも多いようです。
トレーラーハウスは、車輪がついており、容易に移動でき、土地への定着性がないため固定資産税はかかりません。ただし、たとえトレーラーハウスであっても、土地に固定しているものの場合は、固定資産税の対象となる可能性があるので注意が必要です。
カーポートは、玄関前や家の横などに、屋根と柱のみで作られた簡単な構造の車庫のことです。周壁はなく、外気分断性の要件を満たさないため、一般的には、固定資産税はかかりません。
まとめ
キャンピングカーとは、キッチンやベッドが付いている車のことで、車中で食事や寝泊まりができるものです。家と用途は似ていますが、土地への定着性の要件を満たさないため、建物には該当せず、固定資産税はかかりません。ただし、自動車として自動車税の対象となります。
このように、固定資産税がかかるかどうか判断の難しいものも多くあります。固定資産税がかかるかどうかの判断は、「外気分断性」「土地への定着性」「用途」の3つで判断しますが、自分で判断が難しい場合は、役所などに問い合わせをするようにしましょう。
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