東京五輪・パラリンピックのテスト大会業務を巡る入札談合事件。
11月25日に広告最大手の電通を含む2社、28日に業界2位の博報堂を含む4社にそれぞれ独占禁止法違反の疑いで家宅捜査が入りました。
28日時点で、業務を受注した9社のうち、捜索が入った企業は計6社となり、談合は業界全体で行われていたとみられています。
五輪本大会、受注平均3割増?業界ぐるみで調整か
談合の疑いがもたれているのは、大会の組織委員会が2018年に実施した各競技のテスト大会の業務に関する入札とされています。テスト大会とは、本大会と同じ競技会場で、観客の受け入れなどを事前に確認する目的で行われるものを指します。
2018年に計26件の競争入札が行われ、電通をはじめとする広告会社など9社と共同事業体の1団体がそれぞれ落札。今回、家宅捜査が入った企業はいずれも落札企業とみられています。
契約額は1件あたり約400万〜約6千万円で、総額は5億円近くにのぼるそうです。電通はバスケットボールやゴルフ会場を含む5件を計約8千万円で落札、博報堂は自転車とホッケー会場の2件を計約4千万円で落札。
また電通は、各社の意向を踏まえて受注調整を主導した疑いも挙がっているようです。
9社ともに、テスト大会の時とほぼ同じ競技で本大会の実施運営を随意契約しており、事前の受注調整の影響で、本大会の経費が膨らんだ可能性も浮上しています。
随意契約が行われたのは、約40会場の運営事業とみられます。組織委員会は当初、運営委託費用を計約149億円と見積もっていましたが、交渉の結果、9社の最終的な契約額は計約196億円となり、予定より平均で3割増加したそうです。
最も増加幅が大きかったのは、広告会社の旧アサツーディ・ケイ(ADK)が交わした契約の一つで、予定価格約6千万円に対し、最終的に3倍以上の2億円超にまでのぼったようです。
なおADKが独占禁止法の課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき自主申告したことで、談合の疑惑が芋づる式に発覚したとみられています。
企業名 | 件数 | 金額 |
---|---|---|
セレスポ(イベント制作会社) | 5件 | 1億1600万円 |
電通(広告代理店) | 5件 | 8千万円 |
アサツーディ・ケイ(広告代理店) | 3件 | 1億400万円 |
東急エージェンシー(広告代理店) | 3件 | 6500万円 |
セイムトゥー(イベント制作会社) | 2件 | 6500万円 |
博報堂(広告代理店) | 2件 | 4千万円 |
フジクリエイティブコーポレーション(FCC) | 2件 | 4千万円 |
FCC・セレスポ | 1件 | 1300万円 |
電通ライブ | 1件 | 1100万円 |
大広 | 1件 | 400万円 |
計 | 25件 | 5億3800万円 |
26件のうち十数件は1社しか参加せず、実際の受注はほぼ一覧表の通りだったことから、組織委員会側と電通が落札企業をあらかじめ決めていたとみられているようです。
まとめ
開催から1年以上経過しても未だ混乱が続く東京五輪・パラリンピック問題。スポンサー契約に絡む贈収賄事件で逮捕者が出てから早3カ月、今度は談合の疑いが浮上しました。スポーツの祭典を取り巻くカネと利権が浮き彫りになりつつありますが、今後の動向が気になるニュースです。