2月21日に中国に返還されたジャイアントパンダのシャンシャン。観覧最終日となった20日の抽選倍率は70倍で、事前に選ばれたおよそ2,600人が別れを惜しんだようです。
そもそもなぜパンダは返還しなければならない?
中国へパンダを返還する理由は、国際的なパンダ保護活動に参加するためとされています。パンダは中国特有の哺乳類動物であり、世界的に希少であるため、中国政府は国際的なパンダ保護プログラムを実施しているようです。
その一環として、中国は他国にパンダを貸し出し、保護に取り組むことを要求しています。
この取り組みによって、パンダの保全に関する世界的な関心が高まり、保護環境の整備や保全のための資金調達が進むことが期待されています。また、パンダの貸し出しには条件があり、例えば貸し出し先の動物園が、適切な環境と飼育設備を整備することが求められます。
パンダは、国際的な文化交流の一環として、外交の道具としても利用されています。特に、中国と日本の関係では、パンダは友好の象徴として重要な役割を果たしています。過去には、中国から贈られたパンダが日本で人気を博し、日中友好に貢献したとされています。
ただし、パンダの返還には政治的・外交的な背景も存在します。中国政府は、国内外の批判に晒されることもある人権問題や領土問題など、国際社会との関係改善を図るため、パンダの貸し出しや返還を利用することがあるとされています。
シャンシャンの両親であるリーリーとシンシンが中国からの貸与であったため、シャンシャンの所有権は中国にありました。当初2020年の末に返還される予定でしたが新型コロナの影響でたびたび延期されていました。
経済効果はWBC超えとも
シャンシャンは、2017年6月に上野動物園で生まれ、生後100日目には、一般公開が始まり、多くの人々がシャンシャンを見るために上野動物園を訪れました。観覧の倍率が最大144倍となる日もあるなど、大いに賑わいをみせ、周辺の商業施設も大きな恩恵を受けたとされています。
2017年は、シャンシャンの誕生からわずか半年で、上野動物園の入園者数が前年比で17%増加、2018年には約340万人が上野動物園を訪れ、前年比で約10%増加したとされています。これは、シャンシャンの存在が、多くの人々を動物園に引き寄せたことを示しています。
さらに、上野動物園の周辺の商業施設も大いに盛り上がりをみせたようです。
例えば、上野公園内の売店では、シャンシャンのぬいぐるみやグッズなどが販売され、多くの人々に購入されました。また、上野駅周辺には、多くのレストランやカフェがあり、上野動物園を訪れる観光客たちで賑わいました。
シャンシャンが生まれてからこれまでの経済効果について、関西大学の宮本勝浩名誉教授によると「600億~650億円の経済効果があっただろう。第5回のWBCで侍ジャパンが優勝した場合には、約596億円の経済効果があるということを算出した。侍ジャパンは約30人。それと比べるとシャンシャンはたった1頭で日本全体・東京に大きな経済効果をもたらしたということが分かる」と推察しています。
シャンシャンの存在が、地元経済にも大きな影響を与えました。ジャイアントパンダは、希少な動物であり、その飼育には多くの費用がかかります。上野動物園でも、シャンシャンの飼育には多額の費用が必要でした。しかし、その一方で飼育員や獣医師、研究者などの雇用を生み出し、地元経済に波及効果をもたらしました。
以上のように、シャンシャンは上野動物園に多大な経済効果をもたらしました。入園者数の増加や周辺施設の繁盛、地元経済の活性化など、多くの面でその存在感を示しました。シャンシャンは返還されましたが、今後もシャンシャン関連のイベント開催を企画している企業もあるということで、シャンシャンの関連商戦はまだまだ続きそうです。