4年に1度の統一地方選挙がスタート 子育て支援策なども争点に | MONEYIZM
 

4年に1度の統一地方選挙がスタート 子育て支援策なども争点に

4年に1度投票が行われる「統一地方選挙」が始まりました。地方自治体の首長や議員を決める選挙ではありますが、その結果が国政に大きな影響を与えることもあります。今回与野党が競う争点の1つとされているのが、政府が掲げる子育て支援策の「本気度」です。選挙戦を通じて議論が深まるのかどうか、大いに注目されます。

統一地方選挙とは

戦後すぐにスタート

地方自治体の首長(都道府県知事、市区町村長)や議会議員(都道府県議会議員、市区町村議会議員)の選挙のうち、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」によって、全国的に選挙期日を統一して行われるのが、「統一地方選挙」です。
 

その始まりは、第二次世界大戦後、日本国憲法施行に先立って、1947年4月に全国で首長・議会議員の選挙を実施したことにさかのぼります。それ以来、4年に1度、首長・議会の改選のタイミングが同じ時期に訪れることから、選挙への関心向上などを目的としてその年の3月1日から5月31日の間に任期満了を迎える首長・議会議員の選挙を、4月に揃えて行っているのです。2023年の今回は、ちょうど20回目の統一地方選挙になります。

「統一率」は3割弱

とはいえ、国中の自治体で選挙が一斉に行われるわけではありません。1947年の第1回は、すべての自治体で同時期に投開票が行われたのですが、「統一率100%」はこの時のみ。首長が任期の途中で辞任したり、議会が解散したり、あるいは市町村合併があったりで、統一地方選挙の対象から外れる自治体が回を追うごとに増えていきました。
 

2011年3月に東日本大震災が発生した際には、翌年4月に控えていた統一地方選挙に向けた選挙事務を適正に行うのが困難だという理由から、岩手、宮城、福島、茨城の60選挙区の選挙を特例法で延期する、という措置が取られました。この時の統一率は27.40%という最低を記録し、その後も27%台で推移することになりました。前回、2019年の統一率は27.46%、今回は27.43%となっています。

今回の日程

統一地方選挙には、前半と後半があり、今回はそれぞれ次の日程で実施されます。

●前半=投票日4月9日
・道府県の知事と議員
・政令指定都市の市長と議員
●後半=投票日4月23日
・市区町村の首長と議員

注目される子育て支援策

身近な問題が争点に

統一地方選挙は、あくまでもそれぞれの有権者が住む地方自治体に関わる選挙です。ただ、それだけに身近な問題が争点になりやすく、それが国政に反映されることも珍しくはありません。「統一率」は低下したとはいえ、全国の1/4を超える自治体の選挙が一時期に行われるというイベントは、時の政権にとって大きなプレッシャーになっているのです。
 

今回、与野党の争点の1つに浮上しているのが、子育て支援策です。出生率の低下に歯止めがかからない中、岸田政権は「異次元の少子化対策」を打ち出しました。その「看板政策」が果たして実効性を伴うものなのかどうかが、問われているわけです。「子育て関連の施策が大きく注目された、初めての全国規模の選挙ではないか」と指摘する識者もいます。
 

この間、政府が掲げた子育て関連政策を、あらためてみておきましょう。

「児童手当」の所得制限撤廃・支給年齢延長

中学生までの子どもがいる世帯を対象に現金が支給されている「児童手当」の拡充が打ち出されています。
 

現在の児童手当は、
・3歳未満の児童に対して:一律15,000円
・3歳以上小学校修了前の児童に対して:一律10,000円(第3子以降は15,000円)
・中学生の場合:一律10,000円
となっています。
 

ただし、所得制限が設けられており、子ども2人と専業主婦(夫)世帯の場合、世帯主の年収が960万円程度を上回る場合は特例給付の対象となり、支給額は子ども1人につき月額一律5,000円となります。さらに、世帯主の年収が1,200万円程度を上回る世帯は、子の特例給付からも外れ、児童手当は支給されません。
 

これについて、政府は、
所得制限を撤廃する
・支給対象年齢を「中学卒業まで」から、「高校卒業まで」に延長する
多子世帯への支給額を見直す
ことを軸に、制度を拡充する方向で検討するとしています。

「産後パパ育休」給付金の引き上げ

男性の育児参加を進めるための「産後パパ育休」制度について、政府は、制度を利用した場合の給付金の水準を、休業前の賃金の67%から80%程度に引き上げる方針を明らかにしています。
 

「産後パパ育休」制度では、男性が育休とは別に、子どもが産まれたあと8週間以内に、合わせて4週間まで休みを取得できます。制度の取得中は、医療保険や年金などの社会保険料の支払いが免除されることから、給付金の支給水準を80%程度にまで引き上げることで、実質的に手取り収入が確保できるようになります。
 

低所得・子育て世帯に5万円の特別給付金

物価の高騰が続く中、政府は住民税非課税世帯をはじめとする低所得世帯に対して、一律で3万円を支給するとともに、子育て世帯には、別途子ども1人当たり5万円の支給を行う、としています。
 

「住民税非課税世帯」とは、以下の条件を満たすため、住民税がまったく課されない世帯をいいます。
・生活保護法の規定による生活扶助の対象である
・障がい者・未成年者・寡婦(夫)ひとり親で前年の合計所得が135万円以下
・前年の総所得金額の合計が自治体で定める基準以下の場合に所得割額が非課税

小・中学校の給食費無償化

自民党は、小・中学校の給食費の無償化についての提言をまとめ、政府に提出しました。ただし、その財源には踏み込んでおらず、いつどのような形で実現するのかは見通せない、と報じられています。
 

一方で、例えば東京23区では、葛飾区や品川区など9つの区で、今年の春から独自の財源を用意して、無償化が実施されます。自治体間格差が生じることになりますが、財源が乏しく、無償化が困難な自治体からは、「国の制度としてやってもらわなければ困る」という声も上がっています。

まとめ

4年に1度の統一地方選挙が始まっています。今回の選挙では、少子化の進行が“レッドライン”に迫る中で、政府の子育て支援策の中身、実効性が問われています。関心を持って見守りたいと思います。
 

マネーイズム編集部
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