「ボーナスは平均いくらもらえるのだろうか?」「ボーナスから天引きされているものが知りたい」という方は多いのではないでしょうか。
ボーナスの平均額は厚生労働省の「毎月勤労統計調査」「賃金構造基本統計調査」、国税庁「民間給与実態統計調査」から把握できます。年齢や地域・職種によって差がありますが、差し引かれる税金と社会保険料の計算式は共通しています。
3つの調査から分かるボーナスの平均額、新入社員や公務員のボーナス、差し引かれる税金と社会保険料・シミュレーションなどを解説していきます。
ボーナスの平均額とは?
3つの調査を平均した年間ボーナスの平均額は774,602円
ボーナス(賞与)の平均額は厚生労働省の「毎月勤労統計調査」「賃金構造基本統計調査」、国税庁「民間給与実態統計調査」などのデータがあります。
上記3つの調査におけるボーナスの年間平均額は、774,602円です。
毎月勤労統計調査 (厚生労働省) |
賃金構造基本統計調査 (厚生労働省) |
民間給与実態統計調査 (国税庁) |
平均値 |
---|---|---|---|
2022年夏季賞与平均額 389,331円 2022年冬季賞与平均額 392,975円 年間合計782,306円 |
2021年度の年間賞与その他特別給与額の平均 875,500円 |
2021年平均賞与 666,000円 年収のうち賞与が占める割合は17.7% |
3つの調査の年間賞与額の平均値 774,602円 |
まずは厚生労働省が発表する「毎月勤労統計調査」の2022年9月と2023年2月分の夏季・冬季賞与の平均額を見ていきましょう。
1人あたりの賞与平均額は夏季389,331円、冬季392,975円という結果でした。
ただしこの金額は「賞与を支給した事業所」における労働者1人あたりの平均賞与額です。
賞与を支給する事業者は全体のおよそ6~7割ですので、支給されていない事業所もあります。
支給されていない事業所を含む全ての事業所における労働者1人あたりの平均賞与額は夏季313,022円、冬季324,597円となっています。
厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」によると、2021年度の年間賞与その他特別給与額の平均は全産業で875,500円でした。
国税庁が毎年実施している「民間給与実態統計調査結果」の2021年度調査結果報告では、平均賞与は666,000円で年収のうち賞与が占める割合は17.7%でした。
年代別のボーナスの金額とは
ボーナスの金額は年代によって差があります。
「賃金構造基本統計調査」2021年度の年齢階級別の平均賞与額を見ていきましょう。
年齢 | 年間賞与の平均額 |
---|---|
~19歳 | 143,600 |
20~24歳 | 376,100 |
25~29歳 | 648,100 |
30~34歳 | 778,400 |
35~39歳 | 910,200 |
40~44歳 | 1,006,100 |
45~49歳 | 1,068,500 |
50~54歳 | 1,172,300 |
55~59歳 | 1,146,700 |
60~64歳 | 661,300 |
65~69歳 | 360,100 |
70歳~ | 252,100 |
30代後半あたりから、管理職になる人が増え平均賞与は上昇します。
50~54歳にピークを迎え、60歳以降は下降していきます。
都道府県別でも差があり、最も平均額が高い都道府県は東京都で年間1,147,700円です。一方で最も低い沖縄県は484,900円です。
新卒社会人のボーナスの平均額
新社会人のボーナスはいくらなのでしょうか?
産労総合研究所の「2021年度 決定初任給調査」によると、4 月入社の新入社員に対する夏季賞与の支給状況に関して「何らかの夏季賞与を支給する」と答えた企業は 83.3%でした。
平均支給額は大学卒 91,117 円、高校卒 73,276 円です。
国家公務員のボーナスはいくら?
国家公務員のボーナスは、第三者機関の人事院の「人事院勧告」により決定します。
人事院の給与勧告は、国家公務員の給与水準を民間企業における従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。
よって不景気で民間企業の賞与が下がると、国家公務員の賞与も下がる仕組みになっています。
2022年冬季の国家公務員(管理職を除く一般行政職)の平均賞与額は652,100円でした。平均年齢は33.8歳です。
2022年の毎月勤労統計調査における冬季賞与平均額は392,975円ですので、およそ1.7倍の金額となっています。
最も額が多いのは最高裁判所長官の569万円です。
ボーナスから差し引かれるものとは?
所得税・社会保険料が天引きされる
賞与から差し引かれるものは、所得税と社会保険料です。
住民税は前年の所得に基づき地方自治体が税額を計算します。前年の所得を12で割った額が住民税の額で、会社員の場合は企業が毎月の給与から天引き(特別徴収)します。
賞与も前年の所得に含まれますが、賞与が支給される際には住民税が徴収されません。
賞与から源泉徴収する所得税と復興特別所得税は、原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算します。
ボーナスの総支給額から社会保険料を差し引いた後、所得税率をかけて計算します。
差し引かれる税額は、賞与の額や扶養している親族の数によって異なり、賞与の額が大きくなると税額も多くなります。一方で、扶養している親族が多いと税率が低くなります。
社会保険料には健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料があります。
厚生年金保険料率は18.3%で事業主が半分を負担します。健康保険料の保険料率は、加入する健康保険組合によって異なります。
雇用保険料率は、2023年4月1日から2024年3月31日までは一般の事業における労働者負担は0.6%です。
平均の賞与で差し引かれる税金・社会保険料をシミュレーション
厚生労働省「毎月勤労統計調査」の2022年冬季賞与平均額392,975円で、差し引かれる社会保険料と税金をシミュレーションしてみましょう。
40歳未満の扶養親族が1人の会社員で健康保険組合は、多くの給与所得者が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)と仮定します。
社会保険料は、賞与の1,000円未満を切り捨てた額392,000円で計算します。
賞与:392,975円(社会保険料は1,000円未満を切り捨てた額で計算)
前月の社会保険料控除後の給与:300,000円
厚生年金保険料:35,868円
健康保険料(協会けんぽ・東京都・40歳未満の場合):19,600円
雇用保険料:2,352円
社会保険料合計:57,820円
協会けんぽでは、賞与と給与で天引きされる保険料の計算式が異なります。
所得税・復興特別所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算します。
算出率の表では前月の社会保険料控除後の給与を含めて計算しますが、控除後の給与が30万円と仮定し扶養親族が1人の場合の税率は6.126%です。
392,975円―57,820円(社会保険料)×6.126%=20,531円(1円未満の端数切り捨て)
57,820円(社会保険料)+20,531円(所得税・復興特別所得税)=78,351円
天引きされる税金・社会保険料の合計は78,351円で、賞与の19.9%です。
まとめ
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」「賃金構造基本統計調査」と国税庁「民間給与実態統計調査」、3つの調査結果のボーナスの平均額は774,602円です。
賞与をもらう時には、社会保険料と所得税が差し引かれます。賞与の額にもよりますが、2~3割前後が差し引かれるでしょう。
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