損害保険各社は洪水や土砂崩れなどの水害を補償する水災保険の保険料を、水害リスクに応じて、2024年から地域ごとに5段階へ細分化すると発表しました。その結果、住宅が多い都市部の河川付近では、保険料が最大30%(年額約6,000円)の負担増となる場合があります。
水害リスクに応じて保険料が5段階に分けられる
現在、水災保険の保険料は地域に関わらず一定ですが、2024年以降から水害リスクに応じて市区町村を5段階に分けて決められます。リスクが最も低いグループを「1等地」、逆に最も高いグループ「5等地」と分類するようです。最も水害リスクが高い地域と低い地域の料率差は、約1.5倍開く計算とのことです。
損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構が、6月28日に公表したデータによると5等地は全体の9%弱で、東京都荒川区や足立区、福島県いわき市、名古屋市中村区、など。全体の約22%を占める1等地には宮城県仙台市青葉区、東京都世田谷区や杉並区、神奈川県川崎市宮前区などが分類されました。
<区分が高いほどリスクが大きく、保険料も上がる>
区分 | 市区町村 |
---|---|
5 | 福島県いわき市、東京都荒川区・葛飾区・足立区、愛知県名古屋市中村区、徳島県徳島市 |
4 | 東京都中央区、山梨県甲府市、千葉県市川市、滋賀県彦根市、岡山県岡山市北区、宮崎県宮崎市 |
3 | 宮城県仙台市若林区、神奈川県横浜市中区、石川県金沢市、静岡県清水区、広島県広島市中区、福岡県福岡市博多区 |
2 | 北海道札幌市中央区、さいたま市大宮区、長野県長野市、大阪府堺市堺区、兵庫県神戸市中央区、福岡県北九州市小倉北区 |
1 | 宮城県仙台市青葉区、東京都世田谷区・杉並区、神奈川県川崎市宮前区、京都府京都市中京区、大阪府大阪市天王寺区 |
出所:損害保険料率算出機構
また、損害保険料率算出機構が、住宅向け火災保険料を決める目安となる「参考純率」を13%引き上げると、6月21日に金融庁へ届け出ました。2021年5月に10.9%引き上げたばかりにもかかわらず、再び過去最大の引き上げとなります。水災保険は火災保険と共に契約するため、水災保険の保険料も値上がりします。水災保険の参考純率は、一般的な戸建ての場合、最大で東京都が25%、大阪府が30%、愛知県が25%ほど引き上がる見通しです。
今回の保険料改定の背景には、大規模な水害が相次いだことによる損害保険会社の収支悪化があります。特に2018年以降から自然災害による保険金額が大幅な増加傾向にあり、損害保険各社の負担が増えているのです。
水害リスクを知る有効な方法は、国土交通省が提供しているハザードマップを見ることです。ハザードマップでは、地域ごとに洪水や津波、土砂災害などの災害リスクを色で分かりやすく判断できます。住所入力や現在地から簡単に検索できるようになっており、非常に便利です。また、音声による読み上げもしてくれるため、目が不自由な人でも安心して調べられます。一度、自宅付近を調べ、水災保険に加入すべきか検討してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、水害リスクが高い地域であれば、水災保険に加入すべきです。もし加入するのであれば、補償範囲や保険金などが十分かしっかりと確認しましょう。
▼参照サイト
水災保険、24年度最大3割超上げ 都市部は年6000円増も【日本経済新聞】
火災保険料、平均13%引き上げへ 損保各社24年度から【日本経済新聞】
水災保険の料率、24年度から市区町村で差 まず1.5倍に【日本経済新聞】
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