海外に移住しても国民年金はもらえる!|海外生活で知っておくべき国民年金の知識を解説 | MONEYIZM
 

海外に移住しても国民年金はもらえる!|海外生活で知っておくべき国民年金の知識を解説

これから海外生活をする方の中には、次のように国民年金に関してさまざまな疑問を抱く方もいるでしょう。

「これまで支払ってきた国民年金はもらえる?」
「海外に移住しても国民年金を支払える?」
 

本記事では、海外生活をする際の国民年金について、国民年金の受け取り方や納め方、知っておくべき知識などを解説します。

海外生活でも国民年金はもらえる

結論から言うと、海外生活でも国民年金はもらえます。具体的には、国民年金を支払うことで、海外生活中でも「老齢基礎年金」が受け取れます。
 

しかし、「老齢基礎年金」を受け取るためには、国民年金を一定期間、納める必要があるため、国民年金の制度を確認しておきましょう。

そもそも国民年金とはどんな制度?

そもそも国民年金とは、老後を支える保障制度のことです。日本に在住している20歳以上60歳未満の方が加入者となり、保険料を毎月納める必要があります。
 

また、国民年金を支払うことで65歳から受け取れる「老齢基礎年金」は、国民年金の納付期間と免除期間を合算して10年以上ある場合に受け取れる年金です。
 

「老齢基礎年金」の支給月は毎年6回に分けられており、偶数月の15日に支払われます。

海外移住しても国民年金は受け取れる

前述したように、国民年金の納付期間と免除期間を合算して10年以上ある場合は、海外移住しても国民年金を受け取れます。
 

しかし、海外に移住して国民年金を受け取る際は、所定の手続きが必要です。手続きを行わないと、受け取ることができないので注意が必要です。
 

次の章では、海外移住後に国民年金を受け取るための方法を解説しますので、確認しておきましょう。

海外に移住して国民年金を受け取る際は所定の手続きが必要

海外生活で国民年金を受け取る際は、「年金請求書」の提出が必要です。
 

「年金請求書」は『日本年金機構のホームページ』からダウンロードできます。また、「年金請求書」を提出するタイミングと提出先についても確認しておきましょう。
 

「年金請求書」を提出するタイミング 老齢年金の受給開始年齢に到達した日以降(誕生日の前日以降)
「年金請求書」の提出先 ・日本に住んでいた最後の住所を管轄している年金事務所
・街角の年金相談センター

国民年金は原則65歳から受け取れるため、65歳の誕生日をむかえたら、年金請求書を「年金事務所」か「年金相談センター」のどちらかに提出してください。

海外生活中に国民年金を納める方法

海外に移住することで、国民年金の加入義務はなくなります。ただし、日本国籍であれば国民年金に任意加入できます。
 

こちらでは、海外生活中に国民年金を納める方法を見ていきましょう。
 

海外生活中に国民年金を納める方法は、以下のとおりです。
 

現在の状況 手続きする場所

これから海外生活をする方 お住まいの市区町村
すでに海外生活をしている方 日本に住んでいた最後の住所を管轄している年金事務所か市区町村

日本国内に住所を持ったことがない方 千代田年金事務所

 

そして、該当の手続き場所で国民年金の任意加入手続きを済ませた後は、保険料を納付します。
 

保険料の納付方法は、以下のとおりです。
 

  • 日本国内にいる親戚などに代わりに納めてもらう
  • 日本国内に開設している預貯金口座から引き落としてもらう

海外生活で知っておくべき国民年金の知識

次に、海外生活をする方が知っておくべき国民年金の知識を紹介します。国民年金に対して間違った認識をしないためにも、確認しておいてください。

海外生活中はカラ期間に算入される

海外生活中の期間はカラ期間に算入されます。
 

カラ期間とは、年金額には反映されないが、受給資格期間には反映される合算対象期間のことです。
 

そのため、日本で国民年金を支払っていた期間が10年未満だとしても海外生活での「カラ期間」を合算することで、国民年金を受け取れる可能性がある、ということです。

移住先によっては社会保障協定が適用できる

海外の移住先によっては、社会保障協定が適用されます。
 

社会保障協定とは、日本から海外に派遣される方の社会保障制度の二重加入を防ぐために、1カ国分の社会保障制度のみ加入する制度のことです。
 

例えば、日本からアメリカへ移住した場合、派遣期間が5年未満であればアメリカの社会保障制度が免除され、派遣期間が5年以上であれば日本の社会保障制度が免除されます。
 

つまり、社会保障協定が結ばれている国で生活する場合は、海外で納めた分の年金加入期間が通算されて保険料の掛け捨てを防止できます。
 

社会保障協定を結んでいる国は、以下のとおりです。(2023年6月時点)
 

  • ドイツ
  • イギリス
  • 韓国
  • アメリカ
  • ベルギー
  • フランス
  • カナダ
  • オーストラリア
  • オランダ
  • チェコ
  • スペイン
  • アイルランド
  • ブラジル
  • スイス
  • ハンガリー
  • インド
  • ルクセンブルク
  • フィリピン
  • スロバキア
  • 中国
  • フィンランド
  • スウェーデン

 

また、社会保障協定は国によって制度の内容や手続き方法が異なるため、『日本年金機構のホームページ』から確認しておきましょう。

国民年金を払えば海外生活でも障害基礎年金を請求できる

海外生活中に国民年金に任意加入すると、老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金も請求できます。
 

障害基礎年金とは、病気やケガが原因で生活や仕事に支障が出る場合に支給される年金のことです。
 

障害基礎年金は、以下のどちらかに該当した場合に受け取れます。
 

  • 初診日月の前々月までに国民年金の加入期間が3分の2以上保険料が納付か免除されている場合
  • 初診日が65歳未満で、初診日月の前々月まで1年間の間に保険料の未納がない場合

 

したがって、海外生活中に国民年金に任意加入しておくことは、病気やケガに備える手段の1つだと言えるでしょう。

海外生活の国民年金に関するよくある質問

最後に、海外生活の国民年金に関するよくある質問を紹介します。気になる質問があれば、確認してみてください。

海外に移住したら国民年金は免除される?

海外に移住すると、日本国内に住所がなくなるため、国民年金の支払い義務はなくなります。そのため、国民年金を払う必要はありません。
 

また、海外で生活をしている期間は、65歳以上から受け取れる老齢基礎年金の受給資格期間に算入されます。
 

しかし、海外生活中に国民年金を納付しない場合は、受け取れる年金額には反映されないため注意しましょう。

海外で働く場合でも国民年金に加入する必要はある?

海外で働く際に、国民年金に加入しなければならない場合があります。
 

海外勤務で国民年金に加入する必要がある場合は、以下のとおりです。

勤務地が社会保障協定を結んでいない場合 ・日本国内で雇われていて海外に派遣される場合
・日本国内の自営業者が海外で自営活動をする場合
勤務地が社会保障協定を結んでいる場合 日本国内で雇われていて海外に派遣される期間が5年以内(一時派遣)の場合

 

上記に該当する方は、国民年金に加入しなければなりません。
 

また、社会保障協定を結んでいる国以外で働く場合は、国民年金に加えて海外の社会保障制度に加入する必要があります。
 

一方で、社会保障協定を結んでいる国で働く場合は、その国の社会保障制度の加入は免除されます。

まとめ

今回は海外生活での国民年金について、受け取り方法や納め方などを解説しました。
 

結論としては、海外に移住しても国民年金の受給資格があれば受け取れます。しかし、海外で国民年金を受け取る際は、「年金請求書」を提出する必要があります。
 

「年金請求書」の提出先は、65歳の誕生日をむかえたら次のどちらかに提出しましょう。
 

  • ・日本に住んでいた最後の住所を管轄している年金事務所
  • ・街角の年金相談センター

 

これまでに納めてきた国民年金を無駄にしないためにも、本記事を参考に海外生活でも国民年金を受け取ってください。

澤田泰弥
神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。
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