総務省が7月21日に発表した2022年の就業構造基本調査によると、25〜39歳の女性のうち働く人の割合が81.5%と初めて8割を超えたことがわかりました。
M字カーブの改善と共働き世帯の増加
女性の有業率とは、15歳以上の女性のうち働いている人の割合を指します。これは、女性の教育水準の向上や、結婚・出産後の就業継続率の向上、育児をしながら働ける環境整備が一定程度進んだことなど、さまざまな要因が関係していると見られています。
総務省が5年ごとに実施している就業構造基本調査は、全国およそ54万世帯の15歳以上の108万人ほどを対象とした結果を基に推計。7月21日に発表された最新の調査結果によると、2022年10月1日時点の有業者は6706万人、無業者は4313万人となっており、5年前の2015年に比べ、有業者は85万人の増加、無業者は163万人の減少となっています。男女別にみると、男性は3671万人、女性は3035万人となっており、5年前に比べ、男性は37万人の減少、女性は122万人の増加となり最多となっています。
働き盛りにあたる25〜39歳の女性の有業率は5.8ポイント高まり、働く人の割合が81.5%と初めて8割を超えたことがわかり、20代後半から30代にかけて落ち込む「M字カーブ」は改善したとみられています。
引用元:女性有業率、25〜39歳で初の8割超え 2022年❘ 日本経済新聞社
M字カーブとは、年齢層別に見た女性労働率のグラフで特徴的な曲線のことです。女性の25歳〜39歳までの働き盛りの年代は、結婚や出産を機にいったん離職し、育児が一段落したら再び働きだす女性が多いという日本の特徴を反映したグラフです。
人手不足を背景とした共働き世帯の増加など、女性の職への定着が進んだことでM字カーブは改善傾向にあります。しかし、他の先進国では、早くからM字カーブのくぼみを解消する取り組みが行われているのに比べ、日本は女性が継続的に勤務できる体制作りに関して出遅れていると言えます。近年は欧州各国のようなくぼみのない「台形」に近づきつつあるようです。
今回の調査で改めて浮き彫りとなったのは「年収の壁」を巡る実態のようです。年収が一定水準を超えると社会保険料などが発生して手取りが減る。それを避けるために就業時間を減らして年収を調整している人が増えています。
政府は人手不足対策で、働く時間を延ばして「年収の壁」を超えても手取りが減らないよう企業に助成金を配る検討をしていますが、先行きが不透明となっています。
「年収の壁」に関係なく長く働きたい人が働きやすい環境づくりは不可欠となります。女性の就業による労働力の確保にも頭打ち感が出ており、非正規を含めた就業時間の延長が重要になる。