中古車販売大手のビッグモーターに「保険金水増し請求」発覚!修理ノルマ1台当たり14万円が影響か | MONEYIZM
 

中古車販売大手のビッグモーターに「保険金水増し請求」発覚!修理ノルマ1台当たり14万円が影響か

「車を売るならビッグモーター」のCMで知られる、中古車販売大手・ビッグモーターが事故車修理における保険金を不正に水増し請求していたことが明らかになった問題で、7月17日に事故車両の修理による収益として全国の工場に1台当たり14万円前後のノルマを課していたことが新たに分かりました。
 

※記事の内容は2023年7月31日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。

全国の工場で水増し請求の疑い

ビッグモーターは、1978年に設立された中古車販売大手で全国に約300店舗以上を展開し、年間約15万台の中古車を販売しています。ビッグモーターの業績は好調で、売上高約7000億円、従業員数約6000名を有し、中古車の売買、車検、整備、修理まで、ワンストップで行えることを売りに全国に店舗を拡大していきました。帝国データバンクの情報によると、2017年度が1738億円で直近では5200億円となっており、わずか5年で、3倍近い急成長を遂げています。しかしその裏では、保険金の不正請求が行われていたようです。
 

ビッグモーターの複数の関係者によると、水増し請求が表面化したのは2022年3月頃のこと。損保の業界団体にビッグモーターの従業員から「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」という旨の内部通報があったことがきっかけのようです。
内部通報を受けて、ビッグモーターと取引のある損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は2022年2月以降、修理費の請求書類を各社それぞれ数百件抽出してサンプル調査を実施。すると、全国に33ある整備工場のうち25の工場で、水増し請求が疑われる案件が合計80件超見つかったそうです。
 

不正請求を巡り、同社は外部の弁護士らによる調査委員会を設置。調査報告書によると、2018年ごろから板金や塗装部門の元本部長が、修理の工賃や部品から得る粗利の合計金額を上げるよう、各工場長に要求。工場長や複数の従業員がそれに従い、「サンドペーパー(やすり)で車の側面にすり傷と見せかける傷」「ゴルフボールを靴下に入れて車体を叩く」など故意に車を傷つけて、修理代を水増し請求する不正行為に加担していたといいます。元本部長は行為を認めており、強要した理由として“アット”と呼ばれる「営業ノルマ」の存在があったといいます。“アット”とは、修理車両1台当たりの工賃と部品の粗利の合計金額のことを指します。具体的な不正行為としては、不必要な部品交換をしたり、塗装の品質を実際より高く偽ったりしたなどの悪質なケースも発覚。そもそも車の修理費用は損傷の程度によって決まるものですが、同社で設定されていたノルマは、1台、約14万円。仮にドアを修理した場合、車種によりますが、擦り傷の場合は4万円、ドアにへこみなどの損傷があった場合は6万円が平均的な金額となる場合が多いため、かなり水増し感があります。報告書には不正の背景として、修理を担う現場に無理な目標を押しつけていたことなど不適切な組織運営が指摘されていたようです。「コンプライアンス(法令順守)意識の鈍麻」や「経営陣にそんたくするいびつな企業風土」といった厳しい批判も盛り込まれたとしている。
 

保険金不正請求問題の報道後、ビッグモーターは7月25日午前11時から会見を開き、兼重宏行社長と兼重宏一副社長がそろって辞任することを発表しました。
 

この問題は、ビックモーターだけでなく、中古車販売業界全体への信頼を失墜させる可能性があるため、早期の解決が求められています。

マネーイズム編集部
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