2023年8月7日、東京地方最低賃金審議会は東京労働局長に対し、東京都の最低賃金を41円引き上げることを要求しました。その結果、審議会で示した引き上げ額41円を考慮した「1,113円」が東京都の最低賃金として2023年10月に適用される予定です。
今回の最低賃金の見直しは過去最大の引き上げ額
8月7日に開かれた東京地方最低賃金審議会の結果、東京都の最低賃金が1,072円から1,113円へ41円引き上げられる見通しとなりました。
東京都の最低賃金の引き上げ額は2022年10月に実施された31円が過去最高でしたが、2023年10月に41円引き上げられると過去最大の引き上げ額となります。
2013〜2022年の東京都における最低賃金の推移は、以下のとおりです。
最低賃金 | 調整額 | |
---|---|---|
2013年10月 | 869円 | 19円引き上げ |
2014年10月 | 888円 | 19円引き上げ |
2015年10月 | 907円 | 19円引き上げ |
2016年10月 | 932円 | 25円引き上げ |
2017年10月 | 958円 | 26円引き上げ |
2018年10月 | 985円 | 27円引き上げ |
2019年10月 | 1,013円 | 28円引き上げ |
2020年10月 | 1,013円 | 変動なし |
2021年10月 | 1,041円 | 28円引き上げ |
2022年10月 | 1,072円 | 31円引き上げ |
今回、最低賃金が大幅に引き上げられた背景には、東京都での物価高騰や労働組合が賃上げを要求する「春闘」などがあります。
また、今回の東京都最低賃金の引き上げには会長を除く委員17人のうち13人が賛成しましたが、企業側の委員4人は反対しました。反対派の意見としては、「企業の支払い能力が十分に考慮された結果ではない。物価高騰が続くなか人件費の上昇は中小零細企業の経営を直撃し、先行きに不安感がある」などが挙げられています。
今回実施された東京都最低賃金の引き上げについて、東京地方最低賃金審議会の都留康会長は「最低賃金の水準で働く人たちの生活を考慮する必要があった。負担が増える企業への支援を労働局に要望したい」とコメントしています。
そんな中、今回の東京都の最低賃金引き上げによって、首都圏である神奈川や埼玉では41円の引き上げ、千葉県では42円の引き上げを申し出ています。
他にも、東京都の最低賃金は引き上げ後も全国で最も高い賃金であり、地域ごとの賃金格差を減らすために、厚生労働省の中央最低賃金審議会は全国の平均最低賃金額を41円増額し、1,002円とする目安を申し立てている現状です。
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- 東京都の最低賃金が10月から引き上げ、過去最大の41円増額で1,113円へ