2023年8月21日、各省庁から財務省へ提出される一般会計の概算要求において、2024年度の予算要求額が110兆円を超える見通しとなったことが明らかとなりました。
財務省が31日に締め切る概算要求の総額は、2023年度における110兆484億円や、2022年度における過去最高額の111兆6,559億円を上回る可能性も考えられています。
財務省への概算要求の総額は過去最高額を更新する可能性も
最初に、これまでの一般会計の予算要求額推移を見てみましょう。
予算要求額(2015年~2023年) | |
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2015年度 | 101兆円ほど |
2016年度 | 102兆円ほど |
2017年度 | 101兆円ほど |
2018年度 | 100兆円ほど |
2019年度 | 102兆円ほど |
2020年度 | 105兆円ほど |
2021年度 | 105兆円ほど |
2022年度 | 112兆円ほど |
2023年度 | 110兆円ほど |
これまでの予算要求額推移を確認すると、2020年度以降から予算要求額は大きく上昇し、2022年度・2023年度では110兆円を超える額が提示されています。そして、2024年度の予算要求も110兆円を超える見込みで、その背景には「防衛費」「国債費」「社会保障費」の増加が影響しています。
「防衛費」では、中国が台湾への軍事的圧力を強めている沖縄本島に近い南西諸島周辺へ自衛隊部隊や物資を迅速に展開するため「機動舟艇」3隻や輸送ヘリコプターおよそ30機の取得費用など「防衛費」として過去最大の7兆7,385億円が求められました。
また、日銀の大規模金融緩和政策の修正にともなう金利上昇により、国債の利払い費を計算する際の想定金利が1.1%から1.5%に引き上げられる見通しとなったことで「国債費」が増加しています。
国債の利払い費とは、国が抱えている借金に対する利息のことで、国が抱えている借金の残高は年々増加しており、利払い費が増加すると大きな負担となります。
2000年から2023年までの普通国債残高推移は、以下のとおりです。
普通国債残高推移(2000年~2023年) | |
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2020年 | 368兆円 |
2005年 | 527兆円 |
2010年 | 636兆円 |
2015年 | 368兆円 |
2005年 | 805兆円 |
2020年 | 947兆円 |
2023年度 | 1,068兆円 |
他にも、「社会保障費」では、高齢化社会にともなう年金給付や医療費、介護給付などの増大が影響しています。
また、今回の概算要求額に「事項要求」として現時点で金額が明示されていない項目に物価上昇対策や少子化対策などの自然増が含まれていることから、年末の予算総額は過去最高額である2023年度の114兆3,812億円を超える可能性があると考えられています。
なお、「事項要求」とは、政府・与党の調整を待つ際に用いられる手段で、12月に翌年度の正式な予算案を決める際に決定される項目です。
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