9月28日に大手電力会社である北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の8社は、11月請求分(10月使用分)の家庭向け電気代を値下げすると発表しました。8社が前月比で電気料金を下げることとなり、平均的な使用量で59〜151円の値下げが見込まれます。政府が予定していた補助の終了を3カ月延長したことにより、値上がりの予定が一転、値下がりに転じた形となりそうです。
寒冷な冬が迫る中、電気代への影響と今後の動向はどうなる?
東京電力ホールディングスでは、電気料金が前月比で62円安い7,511円となる予定です。政府は2023年の2月請求分から電気代の負担軽減策を実施しており、平均的な使用量の世帯では毎月約1,820円の割引が適用されていました。この補助は、本来10月に910円まで減少し、11月からは終了する予定でしたが、政府は同額の補助を2024年1月請求分まで続けることを決定しました。
電気代の設定は、3〜5カ月前の資源価格の変動に基づいて調整されています。石炭や液化天然ガス(LNG)など、火力発電の燃料の輸入価格が下落傾向にあるため、補助なしでは電気代が大幅に値上がりする可能性が高かった中、今回の補助延長により、値上がりは避けられる見通しです。
一方、関西電力と九州電力の2社は原発が稼働している企業であるということもあり、6月に値上げを実施していませんでした。資源安でも規制料金で定められている転嫁額の上限を超えているため、今回は料金に反映できず横ばいとなる見込みです。
しかし、足元で原油価格が急騰しており、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は28日には一時1バレル95ドル台に上昇しています。この原油価格の上昇が本格的に反映されるのは年明け以降の電気代とみられています。
政府は今後、電気代の補助の再延長を検討する予定です。しかし、具体的な補助の水準は未定であり、補助が2024年2月以降も続くかは不明です。政府補助の今後の動向によっては、家計の負担が増える可能性もあります。
寒冷な冬のシーズンに向け、消費者は電気代の増加に備え、省エネ機器の購入などの家計防衛策が必要となりそうです。