不動産を売ることになったら、もちろん少しでも高く売りたいですよね。とはいえ、具体的にどうすれば高く売れるのかよく分からない人は一定数いるのではないでしょうか。
本記事では、不動産の売却の仕組みを簡単に説明しつつ、高く売るためのポイントについて詳しく解説します。また、不動産売却で調べていくとヒットする「不動産一括査定サイト」に関しても、概要から有効な活用方法まで、詳しく解説していきます。
不動産の売却方法は「仲介」と「買取」の2種類
まず、事前知識として、不動産の売却方法には主に不動産会社による「仲介」と「買取」の2種類があります。
- 仲介:不動産会社が買い主を代わりに探して売却する
- 買取:不動産会社自身が買い主となって購入する
仲介を選ぶと、買い主が見つかるまで時間はかかりますが、希望の金額で売れる可能性が高まります。一方、買取の場合は、不動産会社がすぐに買ってくれるので売却スピードは早いですが、市場価格より安くなってしまうのがデメリットです。
「買取ではなく仲介を選択する」の章で解説していますが、不動産を高く売りたいのであれば、仲介での売却を選ぶのが鉄則となっています。
不動産の売却の流れ
仲介による不動産売却を選んだ場合、基本的な流れは以下のとおりです。
工程 | かかる期間 |
---|---|
不動産会社に査定依頼 | 1~2週間ほど |
媒介契約の締結 | 3~5日ほど |
売却活動 | 売れるまで(3~6カ月が目安) |
売買契約の締結 | 1~3週間ほど |
不動産の引き渡しと決済 | 1~2か月ほど |
まずは不動産の売却予想額が分かる「査定」を行いましょう。査定だけなら費用はかからないので安心してください。また、複数の査定額を比べた方が適正な判断ができるので、一括査定サイトを利用するのがおすすめです。
不動産一括査定サイトに関しては「不動産を高く売るなら一括査定サイトが便利」の章で詳しく解説しています。
仲介業者による売却活動が始まってから成約するまでの期間はおおよそ3カ月〜半年ほどかかります。ただ、あくまでも目安なので、不動産の状態や立地など、条件によっては売却活動が長引く可能性もあります。できるだけ余裕を持って早めに動き出すようにしましょう。
不動産の売却にかかる税金や費用
不動産の売却には、様々なお金がかかります。ここでは、不動産売却にかかる主な費用や税金を簡単に解説していきます。
税金・費用 | 内容 |
---|---|
印紙税 | 不動産の売却時に発行する売買契約書に課される税金 |
登録免許税 | 不動産の名義変更にかかる税金 |
譲渡所得税 | 不動産の売却で得た利益に対してかかる税金 |
仲介手数料 | 仲介契約で売却が成約した場合に不動産会社へ支払う手数料 |
相続登記費用 | 相続登記を司法書士に依頼した場合の報酬 |
測量費用 | 売却のために土地の測量を行う場合の費用 |
解体費用 | 土地の上にある建物を解体してから売却する場合にかかる費用 |
ハウスクリーニング費用 | 不動産のクリーニングを外部に依頼した場合の費用 |
各種書類の発行費用 | 自治体などで発行する各種手続きに必要な書類 |
不動産の売却時に発生する税金については「不動産の売却時の税金は?計算方法や納付時期、確定申告など詳しく解説!」で解説しているので、詳しく確認したい方は参考にしてみてください。
不動産を高く売る5つのポイント
ここまでは、不動産売却の流れや費用など、事前知識とも言える基礎的な内容を解説してきました。ここからは本題の不動産を高く売るためのポイントについて解説していきます。
本記事では、不動産を高く売るポイントを5つにまとめました。
- 事前に売却相場を調べておく
- 買取ではなく仲介を選択する
- 査定は必ず複数社に依頼する
- 依頼する不動産会社を見極める
- 内覧はきちんと準備して臨む
上記のポイントは高く売るために必ず抑えておきたいポイントなので、しっかりと理解しておきましょう。ひとつずつ、解説をしていきます。
事前に売却相場を調べておく
まずは売却予定の不動産が、おおよそいくらで売れるのかという相場を査定前に把握しましょう。相場を知っていれば、査定結果の良し悪しの判断基準ができるため、安く売ってしまうリスクを最大限減らせます。
相場を調べる際は、自分自身で行うことが大切です。安易に人に相談したり、不動産会社に行って直接相談したりすると、適正な相場が分からない可能性があります。
相場を調べる方法は、自分の不動産の条件に近いものの売り出し価格をインターネットで調べるのがおすすめです。手間がかからないうえに、客観的な市場価格が把握できます。
ちなみに、調査するなかで目にする売り出し価格と、実際に成約する際の成約価格では乖離が発生することも理解しておきましょう。不動産を売り出してから成約するまでの間に値引き交渉が少なからず発生するためです。
実際に東日本不動産流通機構が行っている調査によると、上記グラフのとおり、2022年の首都圏中古マンションでは、売り出し価格に対して成約価格がおおよそ6%前後低くなっていることが分かります。
買取ではなく仲介を選択する
不動産の売却方法は、買取ではなく仲介を選びましょう。買取を選ぶと、仲介での売却と比べて7~8割ほどの売却価格となってしまいます。
買取の仕組み上、買い取った不動産会社には下記の負担が発生します。
- 仲介手数料が発生しない
- 買い取った不動産のクリーニング費用などがかかる
- 買い主を探すための広告費や人件費などがかかる
さらに、仮に不動産会社が買い取った不動産を再販しようとしても、買い手が見つかるとは限りません。もし買い手が見つからなければ、損失となってしまいます。
これらのリスクを負ったうえで不動産会社は買い取るので、相場より安くなってしまいます。不動産を少しでも高く売却したいなら、仲介を選びましょう。
必ず複数社に査定依頼をする
不動産の査定を行う際は、必ず複数社に依頼して比較しましょう。査定額は不動産会社によって異なるので、納得できる価格で売るためにも、複数の査定結果を見比べることは大切です。
不動産会社によっては、買取もしくは仲介契約を結ぶために、査定額をあえて高くみせていることがあります。その場合、成約のために大幅に値下げする必要がでてきたり、売却までの期間が長くなってしまったりします。そのような事態を避けるためにも、複数の査定結果をみて、目安を知るのは重要です。
とはいえ、いくつもの不動産会社に直接連絡して、査定依頼を出すのは面倒でしょう。そのため不動産の一括査定サイトを使うのがおすすめです。一括査定サイトを使えば、一度に複数社の査定結果を調べられます。
おすすめの一括査定サイトは「不動産を高く売るなら一括査定サイトが便利」で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
信頼できる不動産会社か見極める
仲介契約を結ぶ不動産会社を決める際は、査定価格だけでなく、信頼できる会社かどうかも見極めることが大切です。
真摯な態度や売却実績がない会社に頼んでしまうと、スムーズに売却が進まず、売却時期が遅くなったり、相場より安い価格で売ることになったりする可能性があります。
信頼できる不動産会社かどうかは、主に以下に着目するとよいでしょう。
- 売却実績が多いか
- やり取りから担当者の熱意が感じられるか
- 売却する不動産のエリアにある会社か
- 不動産会社に対する口コミが良いか
実績や口コミも大事であるうえ、担当者の熱意が感じられるかも大切です。担当者に熱意がないと、親身に相談にのってくれなかったり、良い提案やアドバイスがもらえなかったりします。結果、不動産売却がスムーズに進まない可能性があります。
依頼する不動産会社は売却までのパートナーなので、しっかりと見極めましょう。
内覧はきちんと準備して臨む
不動産を少しでも高く売るためには、内覧に向けてきちんと準備することが大切です。内覧に来た買い手の方に魅力的に思ってもらえれば、希望の売り出し価格で売れる可能性が高まります。
具体的な内覧の準備は、例えば室内外の清掃や物品の整理整頓が挙げられます。特にトイレやキッチン、風呂場などの水回りの汚れがひどいと、印象が下がってしまうので入念に掃除しましょう。綺麗にしきれない場所があれば、有料のハウスクリーニングを利用を検討してみてもいいでしょう。ハウスクリーニングには費用も発生するので不動産会社とも相談しながらベストを尽くしていきましょう。
また、物件だけでなく、売り主自身の身だしなみも整え、買い主に丁寧な対応を心がけましょう。売り主に不安を抱いてしまうと、物件が良くてもその後のやり取りを心配してしまい、購入してくれなくなるかもしれません。
内覧に向けて、物件の清掃をしたうえで、自身の身だしなみを整えて万全の準備をしましょう。
不動産を高く売るなら一括査定サイトが便利
前述の通り、不動産売却において、不動産会社選びはとても重要です。必ず複数の不動産会社の話を聞いて、相性がいい不動産会社に出会うことが売却成功の鍵となります。そこで、不動産一括査定サイトが力を発揮します。
不動産一括査定とは?
不動産査定サイトとは、サイト内で物件情報を入力して申し込むだけで、サイトと提携している不動産会社、複数社に一括で査定依頼ができるサービスです。
闇雲に自分で不動産会社を探して査定依頼するよりも効率的に、自分にあった不動産会社に出会うことが可能になります。
不動産会社からみた一括査定サイトは集客ツールになるので、提携している不動産会社は一括査定サイトに紹介料を支払っており、それが一括査定サイトの収益となっています。つまり、不動産売却を検討中のユーザー側は、無料でサービスを利用することができます。
不動産一括査定サイトを選ぶ際のポイント
「不動産一括査定サイト」等で検索すると分かるとおり、現在、不動産一括査定サイト自体が乱立している状況にあります。ただ、一目で信頼できるサイトかどうかを判断することは困難なのが現実です。
そこで、不動産一括査定サイトを選ぶ時に大切なポイントを3つご紹介します。
- 提携している不動産会社の数
- 提携している不動産会社の質・特性
- 運営会社の信頼性
- 税理士・税理士事務所紹介のビスカス
- マネーイズム
- 税金情報
- 不動産を高く売るためのポイント!不動産一括査定は実際するべき?
提携している不動産会社の数
一番、分かりやすい指標として、提携不動産会社数が挙げられます。提携数が少ないと、田舎の物件だった場合などでは査定不能になったり1社しか査定してもらえず比較検討できないケースも起こりえます。
目安としては、2000社以上の不動産会社と提携していると、充実した選択肢を提供してくれるでしょう。実績のある一括査定サイトで、提携会社数が多いサイトを幾つかご紹介します。
サイト名 | 提携会社数 | 特徴 |
---|---|---|
LIFULL HOME’S |
4,526社 | 提携会社4000社超えで守備範囲が広い |
イエウール |
2,300社以上 | 中堅、地域密着型の不動産会社が充実 |
HOME4U |
約2,100社 | 日本で最初の不動産一括査定依頼サイト |
SUUMO |
2,000社以上 | 知名度抜群のSUUMOの一括査定サイト |
提携している不動産会社の特性
不動産会社には、それぞれ得意不得意があります。例えば、マンションに強い不動産会社や、投資物件に強い不動産会社、都心に強い不動産会社などのイメージです。
一括査定サイトの中には、提携する不動産会社に特性を持たせた特化型サイトもあるので、うまく活用できると、ピッタリの不動産会社に出会える可能性が高められます。
ここでは、ご自身の不動産とマッチすれば、おすすめできる特化型の一括査定サイトを幾つかご紹介します。
サイト名 | 特徴 |
---|---|
すまいvalue |
超大手6社に依頼できる唯一の一括査定サイト。田舎の不動産以外であれば、まずは、使っておきたいサイト |
リガイド |
投資用物件に特化。投資用マンション等、投資用不動産の売却であれば、使っておきたいサイト |
マンションナビ |
マンション売却に特化。買取査定や賃料査定にも対応。マンションの売却であれば、使っておきたいサイト |
いえカツ |
専門知識が必要な不動産にも対応可能。再建築不可物件などの訳アリ物件の売却時に活用したいサイト |
運営会社の信頼性
滅多に関わることのない不動産業界に対して、怖い印象を持っている方もいるかもしれません。また、一括査定サイトは個人情報を入力するサービスなので、信頼のおけるサイトを選ぶことは安心感につながります。
前述のサイトも実績充分のサイトに絞って紹介していますが、ここでは特に安心できるサイトをご紹介します。
サイト名 | ポイント |
---|---|
HOME4U |
セキュリティ対策に力を入れるNTTデータグループ(株式会社NTTデータ・スマートソーシング)が運営。 |
すまいvalue |
超大手不動産会社の6社で共同運営。全国900店舗の窓口と電話での問い合わせにも対応。 |
SUUMO |
賃貸サイトで有名な株式会社リクルートのSUUMOの一括査定サイト。利用者数も多く安心。 |
賢い不動産一括査定サイトの使い方
売却したい不動産のエリアに応じて、一括査定サイトを2~3サイト使って、大手から中小まで幅広い不動産会社10社以上に机上査定(不動産に訪問せずにデータのみで行う簡易査定)をお願いするのがおすすめです。
エリア別のおすすめの一括査定サイトの選び方は下記の通りです。
人口の多いエリアでの一括査定サイトの選び方
都心や地方都市、郊外のエリアなど、繁華街や住宅街として形成されたような街であれば、大手不動産会社を抑える意味で、「すまいvalue」を使いつつ、その他の不動産会社も幅広く比較検討する為に「SUUMO」や「HOME4U」を併用するのがおすすめです。
また、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県であれば、一括査定サイトと合わせて、「SRE不動産」への査定も併せて検討をおすすめします。
ソニーグループの「SRE不動産」は、両手取引・囲い込みを行わないと明言している不動産会社で、高く売ることに特化した体制となっている珍しい不動産会社です。一括査定サイト経由で査定してもらった内容と「SRE不動産」からの査定結果を見比べて適正価格での売却を目指しましょう。
人口の少ないエリアや不動産会社が見つかりづらいエリアでの一括査定サイトの選び方
不動産会社を自分で探してみても選択肢が少ないようなエリアでは、提携会社の多い一括査定サイトを中心に活用していくことをおすすします。
「LIFULL HOME’S」は不動産会社4,500社以上と提携しており、業界トップクラスのネットワークを保持しており、おすすめできます。上場企業で提携会社の審査もしっかり行っているので安心感も十分です。
また、「LIFULL HOME’S」には個人情報の入力が不要な匿名査定という選択肢が用意されており、大きな特徴のひとつと言えます。匿名査定では、一括査定後に各社から営業電話を受ける心配もなく自分のペースで進めることができます。査定結果だけでなく各不動産会社の様々なデータも確認できるので、しっかりと検討した上で訪問査定を頼む不動産会社を選んでいくことができます。
「LIFULL HOME’S」を活用してみて、満足いく不動産会社と巡り会えなかった場合は「HOME4U」や「SUUMO」などの他の一括査定も試しながら、自分にあった不動産会社を探していきましょう。
一括査定サイトで査定を受けてからの流れ
複数の査定額を比べ、明らかに大きく乖離した査定額を提示してきた不動産会社に関しては、候補から外してよいでしょう。
あなたの不動産とマッチしていない不動産会社か、実際よりも釣り上げた査定額を提示して、とりあえず専任媒介契約を結ぼうとする業者の可能性もあります。
残った幾つかの不動産会社には、訪問査定をお願いして、更に精度の高い査定額を算出してもらいます。訪問査定を経て、最終的にお世話になる不動産会社は、査定額だけでなく、担当者との相性など、総合的に判断しましょう。
専任媒介契約と一般媒介契約に関しては、それぞれメリット・デメリットがありますが、一般媒介契約であれば、複数の不動産会社と売却活動に入れるので、一般媒介契約がおすすめです。
よほど特定の一社にお願いしたいという思い入れがあるケースや、売却の苦戦が想定されている場合。既に、一般媒介契約で進めたが全く上手くいかなかった場合などは、専任媒介契約や専属専任媒介契約も選択肢に入れて考えてもよいでしょう。
まとめ
不動産を高く売るためには、意識すべきポイントがいくつかあります。今回解説したポイントを意識せずに売却まで進んでしまうと、不当に安い価格で売ることになってしまう可能性があるので注意してください。
不動産は決して安いものではないので、高く売る努力を少しするだけでも、大きな差につながります。
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