免税店で高級ブランド品などを購入した中国人男性3人に対し、福岡国税局が2022年6月までの1年間の税務調査で、消費税約2,500万円の徴収処分の決定をしたことがわかりました。
免税購入を巡る同局の徴収処分は初めてで、国税当局は免税店制度を悪用した事案に警戒しています。
免税品の転売による消費税法違反、国税当局が厳しい対応
免税購入の対象は、入国後6カ月未満の訪日客であり、消費税は通常国内で消費される商品やサービスにかかりますが、土産物や帰国後に本人が使う生活用品の購入などは免税となります。
今回、処分を受けた中国人男性3人は10~20代の留学生やフリーターで、入国後6カ月未満の間に福岡県内の百貨店や家電量販店などで、高級ブランドのバッグ、腕時計、スマートフォン、化粧品など、約2億5,000万円相当を繰り返し購入していました。
中国人男性3人が購入した商品を転売していたかどうかは不明ですが、購入した免税品を国外に持ち出した形跡がなく、免税購入の要件を満たしていないと判断され、消費税法の規定に基づき、徴収処分とされました。
そもそも免税品は、輸入時に徴収される税金や消費税が適用されず、税金のかからない価格で入手できる商品を指します。
免税品を購入し、国外に持ち出すことで、免税価格で購入することができますが、免税品を国内で転売して、消費税分の利ざやを得る転売目的の不正購入が相次いでいます。
こうした転売目的の対策として、国税当局は不正な購入に対して積極的な調査を行っています。
実際、免税販売を監視するため、免税店はパスポート情報と購入記録の電子データを国税庁に提供する制度を2020年4月に開始し、2021年10月にすべての免税店で義務化されました。
国税庁は2022年11月、免税店制度の悪用事案に対する調査状況を初めて公表し、2022年6月までの1年間に30件の調査を実施し、徴収対象となった税額は計12億円に上りました。
訪日客は新型コロナウイルス感染症関連の制限が緩和されたあと、回復傾向にあります。
日本政府観光局によると、2023年8月の訪日客数は約216万人で、感染拡大前の2019年8月と比べて85.6%まで回復しました。
国・地域別では、韓国が約57万人と最多であり、台湾が約40万人、中国が約36万人と続きます。
こうした需要に応じるように、免税店も増加しており、観光庁によると、2023年3月末現在で全国に5万3650店あり、半年で1,423店増加しました。
日本百貨店協会によると、2023年8月の全国百貨店の免税売上高は、調査開始以来4番目に高い約317億円で、2019年8月と比べて24.1%増加しました。
円安で割安感のある高級ブランド品などが訪日客に人気です。
同協会の担当者は、「為替動向も関与していますが、訪日客の回復が続けば、免税売上高はさらに増加するでしょう」と述べています。
免税店の増加はインバウンドの回復による国内経済にプラスの影響を与えます。
今後も訪日客を歓迎しながら、より安心できる免税店の運用が期待されます。
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