コロナ禍で中小企業に対して行われた実質無利子・無担保で貸し付けをしていた「ゼロゼロ融資」と言われる特別貸付について、会計検査院が調査した結果、697億円の融資分が「償却」として回収の見込みのないことが分かりました。
実質的な回収不能債権は1,943億円まで上る
「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナの影響で売上が減少した中小企業に対して、実質無利子・無担保で融資する仕組みのことです。
感染拡大当初は「日本政策金融公庫」や「商工組合中央金庫」などが対応していましたが、融資の申し込みが殺到したことから、2020年5月からは民間金融機関も融資を実施しています。
条件を満たすことで、零細企業や個人事業主に対して最大6,000万円、中小企業には最大3億円の融資を受け付けしていました。また、利子は各都道府県が補填しており、設備資金で20年、運転資金であれば最長15年間の返済猶予が設定されていました。
「ゼロゼロ融資」の貸付額は、昨年度末までで118万件ほどとなり、総額は19兆4,365億円とされています。そして、会計検査院の調査では、昨年度末までに5兆582億円が返済されている状況です。
また、残りの債権状況は、以下のとおりです。
正常債権 | 13兆5,064億円 |
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リスク管理債権 | 8,785億円 |
部分直接償却 | 1,246億円 |
償却 | 697億円 |
参考:日本政策金融公庫が実施した新型コロナ特別貸付等の状況(特定)|会計検査院
※リスク管理債権:債務者の財政状況が不安定で倒産リスクのある債権のこと
※部分直接償却:債務者の財政状況が悪く、回収見込みがないとされている債権のこと
※償却:回収不能とされている債権のこと
債権状況からは、回収不能とされる「償却」の697億円と、回収見込みがないとされている「部分直接償却」の合わせて1,943億円が、実質的に回収不能な債権であると分かります。
なお、回収不能となる背景には、コロナ禍で受けた大きな打撃から十分に回復できない状態で返済のタイミングが始まったことから、経営悪化に追い打ちをかけることとなり、倒産の危機に陥る企業が増えていることなどが挙げられます。
これに対して、会計検査院は政府系の金融機関2社に対して、債務者の状況把握を適切に実施するように求めました。
他にも、会計検査院は岸田総理に対して、2022年度の決算検査報告を提出し、国が行った事業344件(うち4割弱が新型コロナの関連の事業)でおよそ580億2,000万円の税金の無駄遣いがあることを指摘し、改善を求めています。
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【ゼロゼロ融資】これから倒産する会社が急増する?
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