政府は、2024年度から電気自動車(EV)の補助金制度「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を見直す方針であるとしています。
日本では、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げており、2035年までには国内で販売される新車をすべてEVやハイブリッド車にするとしています。
今回の補助金制度の見直しは、これら目標の実現に向けた取り組みだと言えます。
制度の見直しには「EV車の環境整備」も含まれている
2023年時点でのEVに対する補助金制度「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の概要は、以下のとおりです。
ベース | 条件付き | |
---|---|---|
EV | 最大65万円 | 最大85万円 |
小型・軽EV | 最大45万円 | 最大55万円 |
※参考:令和4年度補正予算・令和5年度当初予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」|経済産業省
2023年時点でのEV購入に対する補助金上限額は、原則65万円です。
しかし、「外部給電機能」としてのV2X(※)に対応していたり、1500Wのコンセントを装備していたりする車は、例外として85万円まで補助金がでます。
他にも、現行の補助金制度では、さまざまな車を補助金の対象としています。
例えば、ハイブリッド車よりも電気の力で走れる走行距離が長い「プラグインハイブリッドカー(PHEV)」には最大55万円の補助、水素やエタノールなどを燃料としている「燃料電池自動車(FCV)」は最大255万円の補助などもあります。
そして、2024年度からの具体的な補助金額については、今後も話し合いが展開されていく見通しです。
また、制度の見直しには、電気自動車を販売している各メーカーの取り組み内容について、以下の評価項目を追加するとしています。
- ・充電施設の設置規模
- ・管理や修理の対応力
- ・自治体との災害時協定
- ・使用済み電池の回収状況
- ・車両データ保護の取り組み など
2022年度のEV販売の実績は、およそ7.7万台と、乗用車の2%ほどしか普及しておらず、その要因には、車両価格の高さや、充電設備が充実していないなどが挙げられていました。
2024年度からの見直しにはこのような背景があります。
評価項目を追加することで、評価項目に基づき同じ種類でもメーカーごとに補助額に差が出る可能性があるため、各社の取り組み内容が製品の競争力に直結することが見込まれます。
政府は、1台あたりの最大の補助額など基準の詳細については今後詰めるとしています。
2024年度からの「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の見直しによって、日本のEV普及が促進し、業界全体の底上げにつながると期待されています。