フリーランスとして独立した方や、開業届を提出した個人事業主の中には、会社員に戻ろうかと考えている方もいるかと思います。
本記事では、フリーランスと会社員の違いや会社員に戻る際の注意点、再就職を成功させるコツなどを紹介します。
フリーランスから会社員に戻れる!独立経験は選考の強い武器になる
結論から言うと、フリーランスから会社員に戻ることは自身をしっかりとアピールすることで実現できる可能性が高いと言えます。
なぜなら、フリーランスとして活動していた経験は、企業の採用選考において強い武器となるからです。
フリーランスが採用選考でアピールできる主なポイントは、以下のとおりです。
- これまでの実績や成果物
- 経営感覚や損益計算が身についていること
- 会社員から独立した行動力や積極性
- スケジュール管理やタスク管理
- 即戦力として活躍できるスキル
フリーランスは、自分が抱えている仕事のスケジュール管理やタスク管理などをすべて自分自身で決める必要があります。また、その分野に特化したスキルがないと仕事の依頼がなくなり、生活ができなくなります。
したがって、フリーランスとしての何年もの間活動していた方は、仕事のスケジュール管理に優れていることや、その分野に特化したスキルを持っていることをアピールできるでしょう。
フリーランスから会社員に戻る理由はさまざま
フリーランスから会社員に戻る主な理由は、以下のとおりです。
- 仕事をこなすことだけで精一杯になったから
- すべての仕事を自分ひとりでするのに疲れたから
- 収入が不安定で将来的な不安があるから
- 一人で仕事をすることに寂しさを感じたから
- スキルアップを目指したいから
このように、フリーランスとして活動していると、フリーランスならではの悩みが出てくるため、会社員に戻りたいと考えることも珍しくはありません。
実際に、フリーランス1,000人を対象に実施された調査でも、フリーランスとしての働き方に満足していない方が一定数いることがわかります。
非常に満足している/満足している | どちらともいえない | あまり満足していない/まったく満足していない | |
---|---|---|---|
仕事内容・質 | 53.6% | 32.4% | 14% |
就業時間 | 55.4% | 31.3% | 13.3% |
収入 | 20.9% | 28.2% | 50.9% |
働きがい・やりがい | 61.6% | 28.3% | 10.1% |
働きやすさ | 67.5% | 24.5% | 8.0% |
プライベート | 65.3% | 25.1% | 9.6% |
参照:フリーランスとして働く人の意識・実態調査2021|日本労働組合総連合会
アンケート調査によると、「働きがい・やりがい」「働きやすさ」「プライベート」では、多くの方が満足していますが、「収入」ではおよそ半数の方が満足していないという結果です。
そのため、フリーランスをしている方の中には、収入の安定を求めて会社員に戻る方が多いと言えるでしょう。
フリーランスと会社員の違い
フリーランスと会社員には、さまざまな点で違いがあります。こちらで違いを理解し、フリーランスから会社員に戻ることに後悔しないようにしましょう。
人間関係
フリーランスの場合、仕事を一緒に進める仲間や取引先を自分で選べるため、人間関係に悩まずに仕事を進められる環境を構築できます。
一方で会社員の場合は、同じ職場に苦手な人がいたとしても、仕事上の付き合いが必要となります。
人間関係で気を遣ってしまう方は、会社員に戻る際に苦手だと感じる人と人間関係を構築する必要があることを念頭に置いておきましょう。
労働時間
フリーランスの場合、労働時間を自分で決められるため、プライベートと仕事の両立がしやすく、自分のスキルアップや趣味などの時間を確保できます。
しかし、会社員の場合は、基本的に1日8時間労働の週5日勤務であるため、プライベートと仕事の両立には工夫が必要です。
フリーランスから会社員に戻ってもプライベートと仕事を両立させたい方は、働く時間を選べる「フレックスタイム制」や「時短勤務」「リモートワーク」などを導入している企業へ就職することをおすすめします。
世間の目
フリーランスの場合、収入が不安定であることから、「将来性がない」と世間から思われがちです。人によっては、「フリーター」などの非正規雇用と同じように感じる人もいます。
一方で会社員の場合、収入が安定していることから「将来は安泰」だと思われる可能性が高いです。したがって、フリーランスであることを周りから心配されている方は、会社員に戻ることで、家族や親戚、友人を安心させられます。
年収
フリーランスの場合、努力して成功すれば、一般的な社会人の2倍以上の年収になることもあります。ただし、毎年安定して報酬をもらえるわけではないため、年によって年収は大きく変動します。
一方で会社員の場合は、勤める企業にもよりますが、どんなに努力して昇進したとしても年収はある程度のレンジに収まることが多いです。
そのため、社会人では得られない高年収を目指したい方は、会社員に戻ることを考えなおしてみるのも良いかもしれません。
フリーランスから会社員に戻る際の注意点
フリーランスから会社員に戻る際は、いくつかの注意点があります。会社員に戻る決心がついた方は、こちらで注意点を確認しておきましょう。
フリーランスから会社員に戻る際の注意点は、以下のとおりです。
- 就職先で年末調整をされても確定申告が必要な場合もある
- 「廃業届」や「事業廃止届出書」などの書類を税務署に提出する
- 「住民税」は変わらずに納付する
就職先で年末調整をされても確定申告が必要な場合もある
フリーランスから会社員に戻る際は、その年の所得が20万円以上であれば、確定申告が必要です。
基本的に会社員は、所属している会社が年末調整をしてくれるため、確定申告をする必要はありません。しかし、所属している企業からの収入以外に20万円以上の所得がある場合は、翌年の2月16日~3月15日までに確定申告が必要となります。
「廃業届」や「事業廃止届出書」などの書類を税務署に提出する
フリーランスの中には、開業届を提出して個人事業主として活動している方もいるでしょう。そんな方は、会社員に戻る際に「廃業届」や「事業廃止届出書」を忘れずに提出しましょう。
なぜなら、廃業する際に国や都道府県に対して、個人事業税などの納税義務が不要となった旨を通知する必要があるからです。なお、「事業廃止届出書」は消費税を納税しているフリーランスが提出する書類で、それ以外のフリーランスは「廃業届」を提出します。
「住民税」は変わらずに納付する
フリーランスから会社員に戻る際も、「住民税」は変わらずに納付しましょう。
会社員に戻ったからといって自宅に送られてくる納付書を無視すると、最悪の場合、銀行口座や財産を差し押さえられる可能性があります。
しかし、就職先の会社が住民税を給料から差し引く「特別徴収」をしている場合は、特別徴収に切り替える手続きを会社のほうでする必要があるため、会社の給料担当に相談してください。
フリーランスから会社員への就職を成功させるコツ
フリーランスから会社員への就職を成功させるには、いくつかのコツがあります。こちらでは、会社員への就職成功率を高められるコツを3つ紹介しますので、参考にしてください。
フリーランスから会社員への就職を成功させるコツは、以下のとおりです。
- 就職先の探し方を把握する
- 応募先企業が求める人材像を把握する
- フリーランスならではの経験をアピールする
就職先の探し方を把握する
さまざまな就職先の探し方を把握しておくことで、自分に合った企業を見つけやすくなります。
就職先の主な探し方は、以下のとおりです。
- SNS
- フリーランス時代のつながり
- ハローワーク
- 転職サイト
フリーランスを経験していると、会社の代表者と知り合いになる機会もあるでしょう。そのため、フリーランス時代のコネを活用して就職することも1つの手段です。
他にも、SNSやハローワーク、転職サイトなどで就職先を探す手段もあります。
応募先企業が求める人材像を把握する
採用選考を通過するフリーランスは、応募先企業が求める人材像をしっかりと把握しています。
例えば、ベンチャー企業に就職するのであれば、会社を成長させるために積極的に行動できる人材を採用したいと考えるでしょう。
このように、応募先企業がどのような人材を求めているのかを会社のホームページやSNS、採用ページなどを参考にして考えてみましょう。
フリーランスならではの経験をアピールする
フリーランスとして活動していると、フリーランスでしか経験できないこともあるでしょう。
例えば、企業への営業や業務委託の雇用、マーケティングなどの経験が挙げられます。前述したとおり、フリーランスは最初から最後まで自分自身で仕事をこなす必要があるため、フリーランスならではの経験や考え方をしっかりとアピールしてみてください。
まとめ
今回はフリーランスから会社員に戻ろうと考えている方に向けて、フリーランスと会社員の違いや注意点などを紹介しました。
結論としては、これまでの経験やスキルをしっかりと伝えることで、フリーランスから会社員に戻れる可能性は高いです。そのため、会社員に戻りたいと考えている方は、企業の選考に挑戦してみると良いでしょう。
本記事で紹介した注意点やコツなどを意識し、自分に合った企業への就職を実現してください。