政府は、2024年4月から個人が自家用車を駆使して有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」に関する大幅な解禁の方針を固めました。今年度内に導入される新たな制度では、タクシー会社の運行管理のもとで、タクシーが不足する特定の地域や時間帯において、個人が有料での乗客輸送を認める方針が見込まれています。
一般ドライバーの教育や運送責任はタクシー会社が担う方針
政府はこの方針を12月20日に開催する「デジタル行財政改革会議」(議長・岸田首相)で公表する予定です。現在、タクシー会社は人手不足に悩まされており、導入を予定している新制度では普通免許を持つ一般ドライバーをタクシー会社が活用できるようにし、タクシー不足の解消を目指します。
新制度では、タクシー会社の配車アプリのデータを駆使し、具体的にタクシーが不足している地域や時間帯を把握します。そして、運転手が不足している地域や時間帯において、一般ドライバーが補完的にサービス提供できるようになります。この対象は地方だけでなく、都市部にも広がる見通しです。
たとえば雨の日になると、タクシー乗り場には非常に長い列ができます。傘をさして待つ乗客たちは、何十分もの間、車に乗るのを待たされます。この長蛇の列は、タクシー会社が急激な需要増に対応できないことが原因です。
もしもライドシェアが利用可能になると、このような待ち時間の解消が期待されます。
乗客たちは順次車に乗り込んでいくことで、待ち時間を大幅に短縮できます。また、雨の日にはライドシェアを活用して、「今日は雨だから2時間だけライドシェアで稼ごう」といった具体的な需要に応じた運転を行うドライバーが増えるはずです。
このように、ライドシェアが柔軟に需給の調整を行う役割を果たすことが見込まれています。
とはいえ、運転などの安全面への懸念に対処するため、新制度ではタクシー会社が運転手の教育や運行管理、車両整備の管理、運送責任などを担う方針です。一般ドライバーとタクシー会社の労働関係については、雇用契約にとどまらず、様々な働き方が検討されます。
一方で、タクシー会社以外がライドシェアに全面的に参入する「全面解禁」については、年明けからの議論を経て、2024年6月までに具体的な方針が示される見込みです。
現行制度ではタクシー運転手になるには2種免許が必要で、2種免許を持たない個人が有料で客を運ぶことは「白タク」と呼び、道路運送法で原則禁止されています。しかしこの制約により、タクシー運転手の数が減少しており、コロナ禍による需要減が影響しているため、政府は新しい取り組みを積極的に進めています。
特に、観光地を抱える自治体からはライドシェアの解禁を求める声が強まっています。
新たな制度の導入により、個人のドライバーが積極的に参加し、地域や時間帯における交通の利便性が向上する期待が高まっています。これにより、利用者は柔軟で手軽な移動手段を享受できる一方で、地域経済への活性化も期待されます。
日本版ライドシェアの今後の展開が注目されるところです。