民間の信用調査会社「帝国データバンク」によると、2023年に倒産した企業が8,497件となり、コロナ前の水準に戻ったことが明らかになりました。
2023年に倒産した企業の数は、前年と比べて2,121件増加しており、率にすると33.3%増加したことになります。
ゼロゼロ融資の返済期限ピークは4月!倒産リスク高まる可能性も
2023年に倒産した企業の中で前年と比べて増加率が高かった業種は、以下の3業種です。
- サービス業:前年比31.1%増加で「2,099件」
- 小売業:前年比47.7%増加で「1,783件」
- 建設業:前年比38.8%増加で「1,671件」
2023年に倒産企業数が増加した背景には、新型コロナ対策の支援策で持ちこたえていた中小企業の財政状況が、支援策の終了などで崩壊したからと考えられます。
具体的には、一定の期間で実質無利子・無担保で個人事業主や中小企業に向けて融資する「ゼロゼロ融資」の免除期間終了や、社会保険料の支払い猶予終了などです。
ゼロゼロ融資は、2023年7月に返済開始を迫られた企業が増加し、2024年4月には最後のピークを迎える予定です。こうした中、物価上昇による仕入れ値の上昇や人材不足によって、2024年もさらに多くの企業が倒産に追い込まれる可能性が高いと考えられています。
中小企業庁は、このような事態を防ぐために、中小企業の倒産を防ぐさまざまな事業や制度を実施しています。
2024年1月時点で、中小企業の倒産を防ぐために行っている事業や制度は、以下のとおりです。
∟倒産のおそれのある中小企業者に対し、金融あっせんや民事再生法などの倒産関係の法律に関する相談を無料で行っている
●「緊急経営安定対応貸付制度」
∟関連企業の倒産で経営に困窮している中小企業や、一時的な業況悪化により資金繰りに支障をきたしている中小企業に向けて、緊急に必要とされる運転資金などを一般貸付に加え別枠で融資している
●「経営安定関連保証制度」
∟売掛金債権の回収難などで経営の安定に支障をきたしている場合、所在地の市町村長の認定を受けることで、金融機関からの借入に対し、信用保証協会からの保証が一般保証に加え別枠で利用できる
●「中小企業倒産防止共済制度」
∟取引先企業の倒産により、売掛金債権などの回収が困難となった場合、回収が困難となった売掛金債権などを、最高3,200万円として無担保、無保証人、無利子で償還期間5年(うち据置期間6カ月)で貸付が受けられる
現在、さまざまな業種で困難に直面している中小企業ですが、倒産の危機に直面することが想定されたら、このように政府が行っている事業や制度をうまく活用し、事業存続の方法を試行錯誤していく必要があると言えます。