2023年の訪日消費額が初の5兆円超え一方で北海道・ニセコでは東京より時給アップも人手不足解消せず

2023年の訪日外国人(インバウンド)の旅行消費額が初めて5兆円を突破し、その影響が地方にも及んでいます。特に、北海道の人気観光地であるニセコでは、ホテルや旅館で深刻な人手不足が生じています。
インバウンド需要と観光業界が直面する人材確保の課題
ニセコの宿泊施設では、新型コロナウイルス禍前の需要を上回る状況が続いており、人材不足が懸念されています。人手不足が潜在的な観光需要を取り逃す可能性があるともいわれているようです。人材関連サービスのフロッグ社が大手求人サイトを調査したところ、ホテルや旅館の求人件数は2023年以降、新型コロナ禍前の水準を上回り、11月と12月には2万8000件を超えるなど、増加傾向が続いています。
地方の旅館では、人手不足の影響で需要を取り込めなかったというケースも出ています。たとえば、静岡県沼津市の旅館では年末年始に通常の7割しか稼働できなかったという例もあります。
また、地方の観光地では、東京を上回る時給の待遇で人手を確保する動きが広がっています。北海道ニセコ町の求人平均時給は1,524円と、東京よりも高い水準となっており、他の地域でも同様の傾向が見られています。
これに対応するため、企業は待遇改善を急いでおり、長野県白馬村のエイブル白馬五竜スキー場では時給の引き上げや手当の支給を行い、冬季スタッフの確保に努めています。ニッセイ基礎研究所の試算によれば、宿泊業の人手不足が10万人に達すると、月間で約700万人・泊の宿泊需要を取り逃す可能性があるとされてるからです。
また大手ホテルも賃上げなどの待遇改善で人手を確保しようとしており、星野リゾートは大卒新入社員の初任給を11.7%引き上げる一方で、東急ホテルズ&リゾーツは特別手当の支給などで従業員のモチベーション向上に努めています。
賃上げを行う企業は、優秀な人材を引き寄せ、モチベーションを向上させる可能性があります。
また同業他社や他の産業も同様に賃上げに追随することにより、一定の労働市場の均衡が形成され、企業の経営環境が変動することがあります。
しかし、賃上げにはコストがかかります。
大手企業が賃上げを行いやすい一方で、中小企業などの資源が限られた企業は、その負担が大きくなる可能性があります。
これが淘汰の要因となることも考えられます。
観光立国を目指すなかで、人手確保には賃上げなどの待遇改善が必要ですが、同時に人手を省いて労働力を節約して運営するための省人化投資も必要になってくるでしょう。
なにより、人手不足や賃上げという課題を解決していく過程で、さらに効率的な運営が実現され、観光業全体の発展に寄与することが期待されます。
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