2021年2月から9月までに、みずほフィナンシャルグループは計8回ものシステム障害に見舞われ、その結果、金融庁から業務改善の指示を受けました。しかしながら、最新の通知によれば、金融庁は改善が認められたことから、報告書の提出を事実上求めない旨を通知し、約3年ぶりに事態が安定化したとの報告があります。
金融庁の改善命令を受けて進む、みずほ銀行の新たな一歩
みずほフィナンシャルグループの本社がある東京・大手町タワーの15階には、システム障害に関する展示室が設置されています。社員が入室可能なこの広い空間には、時系列で障害の経緯が振り返られるボードが掲げられています。この展示室は、障害の記憶が風化しないように、2023年2月に設けられたものです。
2021年2月28日に発生したATMの障害では、みずほ銀行は7割強のATMが一時動かなくなり、約5,200件ものキャッシュカードや預金通帳がATMに取り込まれ、返却されない事態に直面しました。展示室では、ATMに備え付けられた電話から問い合わせた関西弁の利用者がオペレーターに詰め寄る様子の音声も流れています。みずほ幹部は、「生々しいやり取りを聞くたびに二度と障害を起こしてはならないと気が引き締まる」と述べています。
みずほ銀行は2021年に3回も大規模な障害を経験し、それぞれに金融庁から改善命令を受け、再発防止策を進めてきました。2019年7月に稼働を始めた基幹システムMINORI(みのり)は、過去の経験を考慮して慎重に設計・開発されましたが、最新のシステムでも障害が発生しました。金融庁は2021年11月の改善命令で、システムの運用だけでなく、企業体質にも批判を向けています。「専門性や実態の軽視」「感度の欠如」などが指摘され、金融庁からの批判では、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」が問題視されました。
みずほ銀行はそれ以降、障害防止策や実際の障害発生時の対応策、システムの保守・運用に携わる人材や組織の強化など、約200項目にわたる改善策に取り組んできたようです。
2023年10月には、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)において障害が発生し、他行宛てに振り込みができない事態が生じました。みずほ銀行は直接の当事者ではありませんでしたが、障害の一報から約1時間後に関係者を集め、迅速な初動を示しました。
今後、MINORIには1,500億円以上の投資が行われ、3年間の更新期に入ります。改善命令の解除はゴールではなく、当たり前の状態へ戻るためのスタートに過ぎず、利用者の信頼を得るには時間がかかるでしょう。
特に金融取引の環境変化は急速であり、システムのアップデートが常に求められています。