自民党は2月14日、「派閥の政治資金パーティー収入」におけるキックバック(還流)などを政治資金収支報告書に記載していなかった政治家に対し、対応策を検討していることを明らかにしました。
具体的には、使用用途が不明な金額を課税対象とし、議員個人の「雑所得」とみなして「所得税」などの課税をすることを想定しています。
パーティー資金の政治資金収支報告書の不記載額は10億近くに上る
政界を大きく揺るがしている自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件。発端となったのは、2023年11月に自民党の最大派閥である安倍派などで政治資金パーティーでの裏金疑惑が発覚したことにあります。
東京地検特捜部の捜査では、自民党の安倍派、二階派、岸田派のパーティー収入で、2022年までの5年間で合わせて9億7,000万円余りの収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかとになっています。
各派閥の政治資金収支報告書の未記載額は、以下のとおりです。
∟6億円以上(5年間で不記載の疑い)
二階派
∟2億円以上(5年間で不記載の疑い)
岸田派
∟およそ3,000万円(3年間で不記載の疑い)
本来、政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は、政治活動の公益性を保つため、非課税とされています。
しかし、未記載分に関して、政治活動に使用したかどうか、具体的な使い道を説明できていない議員が多く、問題視されているのです。
なお、本事件を受けて実施された党のアンケート調査によると、議員ら85人が2018〜2022年の収支報告書に記載漏れがあったとされている額は、およそ5億8,000万円に上るとされています。
特に不記載額が多かった議員は、以下のとおりです。
∟3,526万円
三ツ林裕巳 衆院議員
∟2,954万円
萩生田光一 前政調会長
∟2,728万円
山谷えり子 元拉致問題担当相
∟2,403万円
堀井学 衆院議員
∟2,196万円
X(旧Twitter)などのSNSでは、2月15日に確定申告の受け付けが開始したこともあり、「#確定申告ボイコット」などのハッシュタグを付けて不平不満を投稿するなど、まじめに確定申告を行い、納税をしている国民からは怒りの声が上がっています。
また、一連の政治資金をめぐる問題を背景に、大手報道機関が実施した世論調査では、12月時点の内閣支持率が2012年に自民党が政権復帰して以降、最低となっています。
最新の1月は、12月の調査より3ポイント上がって26%でしたが、低迷は続いている状況です。
政治全体への不信感が高まっているなか、今後どのようになっていくのか注目が集まっています。