経済産業省は、電気自動車(EV)向けの充電設備について、低価格充電器の申請を優先して補助すると発表しました。高速道路やガソリンスタンド、マンション・旅館などに設置するEV向け充電設備の拡大を目指しており、設置費用の半額から全額を支援するとしています。
低価格充電器を優先的に補助することで、充電器メーカーや販売事業者の価格競争を活発化させ、設置コストを抑える見通しです。
2030年までにEV向け充電設備数30万基を目標に
2024年のEV充電器の導入支援の設定予算は、総額360億円を確保しており、3月中旬から正式に募集が始まります。
補助の対象となるのは、急速充電器と普通充電器で、急速充電器の場合は、出力が50キロワット以上のタイプに限定。
一方で、普通充電器の補助については、マンションへの設置で1申請当たり20口まで、旅館やショッピングモールなどへの設置では2口までと制限し、より多くの事業者が補助を受けられるようにするとしています。
これまで、EV向けの充電器に対する補助を申請順で決めていたことから、機器や工事の費用を複数の業者と比較しない設置業者がおり、割高な充電器が設置されていたことが課題とされていました。
これを受けて、出力1キロワットあたりの機器や工事費において安価な申請を優先して設置業者の間で価格競争を促すことで、市場の導入コストを下げるとのことです。
また、2018年から日本における充電器の台数はほとんど増えておらず、日本のEV普及が遅れている要因と考えられています。
マークラインズの調査によると、2022年における日本のEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の販売数は9万台で、新車販売に占める割合は2%にとどまっているとされています。一方で、EVの普及が進んでいる米国ではおよそ100万台で7%、ドイツでは81万台で28%であるとのことです。
消費者がEVの購入に踏み切れない理由の1つに、EVはガソリン車の一度の給油よりも充電による走行距離が短い場合が多く、充電設備が整っていないことによる充電切れへの懸念があげられます。
政府は、2022年の2.9万基から2030年にかけて充電器の設置数を30万基まで拡大することを目標としており、EVを使いやすい環境を早期に整える必要があるとしています。