新型コロナウイルスは、日本の経済に大きな影響をもたらしました。しかし、緊急事態宣言が解除されるなど、少しずつではありますが、日常の生活が戻りつつあります。
そこで気になるのが、新型コロナウイルスの流行が終息した後の景気のことです。ここでは、アフターコロナに伸びる業種と落ち込む業種について解説します。
アフターコロナの世界はどうなる? 社会の変化とは
まず、アフターコロナで日本の社会や会社がどう変わるのか見ていきましょう。
アフターコロナで社会はこう変わる
新型コロナウイルスの流行は、社会生活に大きな変化をもたらしました。例えば、外出の自粛です。外出自粛の影響で、企業は時差出勤やテレワークを推進し、多くの人は休日であっても、外に遊びに行かなくなりました。
その結果、飲食店や観光業などは大きな打撃を受けました。政府の入国制限などの施策やコロナへの不安感などが原因でインバウンドが減り、旅行業界は大きく業績を落としています。その一方、巣ごもり消費が増えたため、ネット販売や物流などの業界では、大きく業績を伸ばしています。
では、アフターコロナの社会は、どうなるのでしょうか。新型コロナウイルスの完全な終息というものは、なかなか見えてきません。むしろ、人と新型コロナウイルスとの共存する社会が来ると考えている専門家や学者は少なくありません。
少なくとも、アフターコロナ初期の段階では、新型コロナウイルス終息前と大きくは変わらない社会となると考えられます。つまり、グローバルな世界からブロック経済が主流になる可能性があります。そうなると、アフターコロナの社会であっても、観光業や旅行業など、人が集まったり、移動したりすることにかかわる業種は厳しくなる可能性があるでしょう。
アフターコロナで会社はこう変わる
つぎに、アフターコロナで会社がどう変わるのかを見ていきましょう。上述したとおり、新型コロナウイルスの影響で、企業は時差出勤やテレワークを推進しました。特に、大手企業を中心に、今までテレワークを取り入れてこなかった企業においても、その多くがテレワークを実施しました。
第二波が来るなど、新型コロナウイルスの影響が長引けば、テレワークや時差出勤などが会社に定着化する可能性は高いでしょう。また、このまま新型コロナウイルスが終息しても、多くの企業では、災害時のリスクヘッジとして、テレワークや時差出勤の重要性に気付き始めており、この流れは続くと考えられます。
さらに、新型コロナウイルスの影響による賃金カットなどの影響で、アフターコロナでは副業が一般化するなど、働き方の変化はますます顕著になると考えられます。
アフターコロナで景気が良くなる業種とは
ここまでは、アフターコロナで日本の社会や会社がどう変わるのかを見てきました。では、その変化により景気が良くなる業種にはどのようなものがあるのでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で業績を伸ばした企業は、巣ごもり消費、リモート、コロナ対策に関係する業種です。実際に、巣ごもり消費、リモート、コロナ対策に関係する業種の株価は高騰しています。
例えば、マスクメーカーのユニ・チャーム株式会社では、年初の終値が3,655円であったのに対し、4月7日には年初来高値4,268円となっています。
テレワーク関連の会社である株式会社ブイキューブでは、年初の終値が683円であったのに対し、4月1日には年初来高値1,483円となっています。
では、それぞれに関係する業種を具体的に見ていきましょう。
①巣ごもり消費に関係する業種
・スーパーマーケット
外出自粛により、家庭内で消費する食品などの需要が伸びました。
・家電業界
巣ごもり需要の増大でテレビやDVDプレイヤー、料理機器などの家電の需要が伸びています。
・物流
巣ごもり需要の増大により、ネットショップやデリバリーサービスなどでの商品購入が増えたため、宅配便など、物流の需要が伸びています。
・インターネットメディア、ゲーム
家で楽しむインターネットメディアやゲーム業界も好調です。
②リモートに関係する業種
テレワーク機器のメーカーや、オンライン教育のメーカーなど、リモートで仕事や授業を行う商品、サービスを取り扱う業種です。
③コロナ対策
マスクやアルコール消毒液、医薬品、医療機器を製造するメーカーや、それらを販売するドラッグストアなどの業種も好調です。
アフターコロナ初期については、新型コロナウイルスの流行期と同じ社会の変化となることが考えられるため、好調な業種も、新型コロナウイルスの流行期とあまり変化はないと考えられます。しかし、マスクやアルコール消毒液など、すでに供給が需要に追い付いてきている業種については、業績が落ち着いてくるでしょう。
アフターコロナで景気が悪くなる業種とは
つぎに、アフターコロナで景気が悪くなる業種について見ていきましょう。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した業種、外出自粛の影響を受けたものが多いです。例えば、次のような業種です。
・観光関係
航空、交通、バス、タクシー、観光地にある飲食店など、観光関係の仕事をしている企業は、軒並み業績を落としています。
・飲食店、百貨店
店舗での買い物や飲食は、休業要請が出たり自粛が行われたりしたため、業績を落としています。
・サービス業
テーマパークやアミューズメント関係などのサービス業についても、休業要請や自粛のため、業績を落としています。
・自動車
中国からの部品が届かず製造ができないことに加え、世界でコロナウイルス禍のために自動車の需要が減少していることなどが影響し、自動車関係の企業は業績を落としています。
・不動産
建物の建設が止まるなどの影響で、予定通り完成しない物件などが出る、モデルハウスに人が集まらないなどの影響で、今までに比べて、不動産売買の動きが鈍くなる状況が続いています。
・鉱業、鉄鋼業、製造業
鉱業、鉄鋼業、製造業についても、原料の調達が難しくなったり、自動車や建築関係の需要が減ったりするなどの影響で業績を落としています。実際に、これらに関係する業種の株価は値を下げています。
アフターコロナ初期については、新型コロナウイルスの流行期と同じ社会の変化となることが考えられるため、外出自粛などが続き、業績の悪化している業種も、新型コロナウイルスの流行期とあまり変化はないと考えられます。
しかし、観光業、飲食店などを支援するための施策を政府が行うことを検討しており、その施策次第によっては、観光業や飲食店などは持ち直す可能性があります。
まとめ
新型コロナウイルスは、日本の社会や会社の在り方に大きな影響を与えました。政府や専門家が促した行動変容は、新型コロナウイルス終息後のアフターコロナの社会においても、変わらず続いていくことが考えられます。
今後、第二波が来るなど新型コロナウイルスの影響が長引けば、私たちの生活にさらに大きな影響をもたらす可能性もあります。今後も経済の状況や政府の講じる施策の影響など、さまざまな情報に注意を払っておく必要があるでしょう。