日本の税金には何がある?日本の税金の種類と税率一覧を解説

[取材/文責]長谷川よう

所得税や法人税、消費税、固定資産税など、日本にはさまざまな税金があります。多くの種類の税金があるため、知っておかないと予定外の税金の納付が発生することもあります。

 

そこでここでは、日本にはどのような税金があるのか、またそれぞれの税金の税率はいくらかなど、日本の税金について詳しく解説します。

日本の税金の体系とは

日本にはさまざまな税金がありますが、それらはバラバラに存在するのではなく、一定の体系にまとめることができます。

 

よく用いられる日本の税金の体系には、直接税と間接税国税と地方税があります。ここでは、直接税と間接税の違いと国税と地方税の違いについて見ていきましょう。

直接税と間接税の違いとは

税金の徴収方法の違いに着目して分類する方法が、直接税と間接税です。直接税とは、国や自治体に対して、納税者が、直接、納める税金のことです。例えば、所得税や法人税、固定資産税などは、個人や法人が直接、国に税金を納めるため、直接税に該当します。
そのほかにも、住民税や自動車税などが直接税になります。

 

間接税とは、国や自治体に対して本来、税金を負担する人が、間接的に納める税金のことです。例えば、消費税は、消費者(本来、税金を負担する人)から預かった消費税を、預かった事業者が消費者に代わって国に納めます。本来、税金を負担する人が、間接的に税金を納めているため間接税に該当します。そのほかにも、酒税やたばこ税などが間接税になります。

国税と地方税の違いとは

税金の納付先の違いに着目して分類する方法が、国税と地方税です。国税は、国に対して納める税金のことです。地方税は国以外の都道府県や市町村などの自治体に納める税金のことです。所得税や法人税、贈与税などが国税に該当し、住民税や固定資産税などが地方税に該当します。

 

直接税と間接税、国税と地方税の違いをひとつにした代表的な税金・税率一覧は次のようになります。

 

税の種類 税率
(令和4年1月現在)
国税 直接税 所得税 5%~45%
復興特別所得税 基準所得税額×2.1%
相続税 10%~55%
贈与税 10%~55%
法人税 普通法人の場合
15%~23.20%
間接税 消費税 標準税率7.8%
軽減税率6.24%
酒税 種類やアルコール分などで異なる
たばこ税 1000本当たり15,244円(地方税も含む)
関税 輸入品により異なる
登録免許税 登記や登録の目的や対象で異なる
印紙税 課税文書の種類で異なる
地方税 直接税 住民税 10%
自動車税 自動車の種別、排気量等ごとに異なる
固定資産税 標準税率1.4%
法人事業税 資本金や所得金額などで異なる
間接税 地方消費税 標準税率2.2%
軽減税率1.76%
ゴルフ場利用税 1人1日につき
標準税率:800円
制限税率:1,200円
入湯税 標準税率:1人1日150円

主な国税と地方税の直接税

ここからは、主な国税と地方税の直接税について見ていきましょう。

国税の代表的な直接税

国税の代表的な直接税には、所得税、復興特別所得税、相続税、贈与税、法人税などがあります。それぞれ、次のような特徴があります。

 

・所得税
所得税は、個人の1年間の所得金額に対して課される税金のことです。自分で確定申告をして国に納税することが原則(会社員の場合は年末調整)のため、直接税になります。

 

わが国の所得税では、累進課税制度を採用しており、所得金額が高くなるほど、税率も高くなります。所得税の税率は所得金額に応じて5%~45%の7区分ありますが、それぞれ一定の控除額があります。

 

・復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興支援の財源を確保するために導入された税金です。平成25年から令和19年までの時限的な税金になります。復興特別所得税の税率は、所得税額の2.1%です。

 

復興特別所得税は、自分で確定申告をして、所得税とともに国に納税することが原則(会社員の場合は年末調整)のため、直接税になります。

 

・相続税
相続税とは、相続時に死亡した人が所有している財産に課される税金です。相続人が実際に相続した財産に税率を乗じて税額を計算するのではなく、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算した基礎控除額を差し引いた残りの財産額を、法定相続分によりあん分した額に対して税率を乗じて税額を計算します。

 

わが国の相続税では、累進課税制度を採用しており、所得金額が高くなるほど、税率も高くなります。相続税の税率は財産の金額に応じて10%~55%の8区分ありますが、一定の控除額があります。

 

・贈与税
贈与税とは、個人から贈与された財産に課される税金です。基礎控除額110万円を差し引いた金額に、税率を乗じて税額を計算します。に応じて10%~55%の8区分ありますが、一定の控除額がありま贈与税は「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されます。贈与税の税率は財産の金額す。

 

・法人税
法人税は、法人の所得金額に対して課される税金です。所得税などと違い、累進課税制度はとっておらず、一定の税額を乗じて計算します。法人税率は、普通法人や公益法人など法人の種類によって異なります。普通法人の場合は、資本金の金額などに応じて15%または19%または23.20%になります。

地方税の代表的な直接税

地方税の代表的な直接税には、住民税、自動車税、固定資産税、法人事業税などがあります。それぞれ、次のような特徴があります。

 

・住民税
住民税とは、個人が都道府県に納める都道府県民税と市区町村に納める市区町村民税のことです。所得金額に応じて課される「所得割」と所得金額に関係なく課される「均等割」の2つがあります。所得割は都道府県民税と市区町村民税の合計で一律10%になっています。

 

・自動車税
自動車税とは、自動車の所有者に課される直接税です。自動車の種別、排気量等ごとに税額が設定されています。例えば、排気量1,500cc超2,000cc以下の自家用車の税額は、36,000円です。

 

・固定資産税
固定資産税は1月1日に固定資産を所有している人に課される直接税です。各自治体が決定した課税標準額に税率を乗じて税額を計算します。固定資産税の標準税率は1.4%です(自治体により異なることがあります)。

 

・法人事業税
法人事業税とは、法人が、その地域で事業活動を行う際に行政サービスを利用してることにかんがみ所得金額などに課される直接税です。法人事業税は、付加価値割、資本割、所得割、収入割から成り立っており、それぞれ資本金や所得金額などにより税額が異なります。

主な国税と地方税の間接税

次に、主な国税と地方税の間接税について見ていきましょう。

国税の代表的な間接税

国税の代表的な間接税には、消費税、酒税、たばこ税、関税、登録免許税、印紙税などがあります。それぞれ、次のような特徴があります。

 

・消費税
消費税は、物やサービスの消費に課される間接税です。消費税は、国に納める消費税と地方消費税から構成されています。消費税10%の場合、国に納める消費税率は7.8%、消費税8%の場合(軽減税率)の場合、国に納める消費税率は6.24%です。

 

・酒税
酒税とは、酒類に対して課される間接税です。税額は、酒類やアルコール分などで異なります。例えば、ビールは1キロリットルあたり200,000円の税額です。

 

・たばこ税
たばこ税は、たばこにかかる間接税です。たばこ税は、たばこ税、たばこ特別税、道府県たばこ税、市町村たばこ税の合計金額から構成され、合計金額で1,000本当たり15,244円の税額となります。

 

・関税
関税とは、自国の産業の保護などの目的で、輸入品に課される間接税です。輸入品の種類により税額が異なります。

 

・登録免許税
登録免許税は、登記や登録について課税される税金です。登録免許税は、登記や登録の種類によって直接税になることも間接税になることもあります。

 

・印紙税
印紙税は、経済取引により発生する契約書や領収書などの文書に課税される税金です。

不動産や一般的な物品の販売、金銭貸借など、課税文書の種類で税率が異なり、直接税にも間接税にもなる税金です。

地方税の代表的な間接税

地方税の代表的な間接税には地方消費税、ゴルフ場利用税、入湯税などがあります。

 

地方消費税は消費税のうち、地方に納める(国から地方に配分)ものです。消費税10%の場合、地方に納める消費税率は2.2%、消費税8%の場合(軽減税率)、地方に納める消費税率は1.76%です。

まとめ

日本には、所得税や住民税など多くの人が知ってるものから、あまり知られていないものまで、さまざまな税金があります。今回ご紹介したものは、その中でよく使う税金の一例です。

 

どのような税金があるかを知っておくことで、思わぬ支出を防ぐこともできます。よく使う税金は、ぜひ把握しておきましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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