証券会社ってどんな会社?その仕組みや業務内容を解説します

[取材/文責]長谷川よう

株式を売買する場合には証券会社を利用する人がほとんどです。しかし、そもそも証券会社とはどのような会社なのか、説明できる人は少ないのではないでしょうか。インターネットが普及している現在では、昔に比べて証券会社も大きく変わってきました。ここでは、証券会社の仕組みや業務内容などを詳しく解説します。

証券会社とはどんな会社?

証券会社とは、株の発行元の会社と投資家、または投資家と投資家の間に立って、株式の売買の取次ぎや引受けなどを行う会社のことです。開業にあたっては、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

 

証券会社は大きく分けて、店舗証券とネット証券の2つがあります。店舗証券とはお店を構えて、窓口や営業マンなどと実際に会って、株の取引きを行うことができる会社のことです。

 

一方のネット証券は実店舗を持たず、インターネットを通して株の取引きを行うことができる会社のことです。ネット証券はインターネットが普及し始めた1990年代後半に誕生し、ネット証券によって株取引が多くの人の身近なものになりました。

 

店舗証券とネット証券には、それぞれメリットがあります。店舗証券のメリットは、専門家のアドバイスを受けることができることです。初めて株式の売買をするときは、不明な点が多く不安です。そのような場合は、専門知識のある証券会社のスタッフのアドバイスを受けることで、安心して株取引を行うことができます。

 

ネット証券のメリットは、手軽さと手数料の低さです。証券会社に行かなくても、インターネット環境があれば家で株の取引ができるため、手軽で手間がかかりません。また、ネット証券は店舗証券のように、店舗を構えたり営業職の人間を抱えたりする費用がかかりません。そのため、売買手数料を低くすることができます。

株式とは何かを理解しよう

証券会社では、株式の売買の取次ぎや引受けなどを行います。ネット証券が誕生したおかげで、株式の取引が多くの人に身近になりました。しかし、株式の取引をうまく行うためには、株式とは何かを理解しておく必要があります。そこで、ここでは株についての基礎知識を見ていきましょう。

株についての基礎知識

まず、株とは何かを見ていきましょう。株式会社を設立するには、最初に一定の資金が必要です。この一定の資金のことを資本金といいます。会社法では、資本金は1円でも株式会社を設立できますが、取引先や金融機関などの対外的な信用を高めるためには、ある程度の資本金が必要となります。

 

そこで、株式会社の発起人は外部の人に出資をしてもらいます。その際、出資金と引き換えに渡すのが株です。株式会社を設立する際だけでなく、事業をしている中で資金が必要になった場合なども、株を発行し、外部から資金を調達します。

 

企業にとって、株式発行による資金調達は、金融機関からの融資による資金調達と違い、返済の必要のないものです。そのため、会社の発展に大きな役割を果たします。出資者は、出資した会社が利益を出すと、所有している株式数に応じて、配当を得ることができます。また、株の保有率が高くなると、経営に参画できるようになります。

 

このように、株の発行は企業にも出資者にもメリットがあります。

なぜ、株の価格は変動するのか

株の基本的な仕組みは、会社が設立や資金調達の際に株式を発行し、出資者が出資の対価として、その株式を受け取るというものです。この状況では、会社が倒産して株式の価値が0円にならない限り、発行価格のまま金額の変動がありません。

 

では、なぜ株の価格は変動するのでしょうか。それは、株式は売買することが可能だからです。上場会社など、株式市場で取引が可能な会社の株式は通常、誰でも売買することが可能です。

 

利益の出ている会社は、株主に支払う配当の金額が大きくなります。そのため、多くの人がその株式を手に入れたいと考えます。また、株主に対して優待制度を導入している会社もあり、良い優待制度がある会社の株式にも人気が集まります。

 

需要が高まれば、株主はできるだけ高く保有している株式を売却したいと考えるため、どんどん株価は上昇していきます。反対に、損失ばかり出している企業の株は、持っていても配当がでないため、株主はできるだけ早く、保有している株式を売却したいと考えます。しかし、買い手は中々現れないため、どんどん株価は下落していきます。

 

このように、株式の保有者と購入者の思惑により、株式の価格は変動していきます。

証券会社の業務と投資の仕組み

ここまでは、株式とはどのようなものなのかを見てきました。ここからは、いよいよ証券会社の業務と投資の仕組みを見ていきましょう。

証券会社による投資の仕組み

証券会社は、株式の売買の取次ぎや引受けなどを行いますが、証券会社自体が株式の取引の場を開いているわけではありません。あくまで、顧客の注文を受けて、市場で売買を行っているにすぎません。これは、店舗証券であってもネット証券であっても同じです。

 

株式の取引の場である証券取引所は全国に東京、名古屋、福岡、札幌の4つがあります。以前は大阪にも証券取引所がありましたが、東京証券取引所との経営統合に伴い、大阪では株式を取り扱わず、デリバティブ市場(※)を中心とした取引所となっています。

 

また、1つの証券取引所であっても、市場は1つではありません。一般市場である一部や二部、新興市場であるマザーズやジャスダックなど、上場の基準や取り扱い銘柄などが違う複数の市場が開かれています。

 

それぞれの市場では、値動きも大きく異なることがあります。証券会社は顧客から注文を受けたら、これら証券会社や市場の相場を確認し、顧客のニーズにあった取引を行っていきます。

 

※デリバティブ市場…株や外国為替の派生商品(先物取引やオプション取引など)を取引する市場のこと。「派生商品」とは、将来売買を行うことをあらかじめ約束する取引を指す。

証券会社の業務の種類

証券会社の業務は、基本的には株式の売買の仲介ですが、それ以外にも多くの業務を行っています。証券会社の業務の主なものは、次の4つです。

①ブローカー業務

証券会社の業務として、一般的に知られているのがブローカー業務です。ブローカー業務とは、投資家から受けた売買注文を証券取引所に伝える業務のことです。株式の売買の仲介業務で、投資家から手数料を得ることを目的としています。

②ディーラー業務

配当ではなく、株の売買により利益を得ることを目的としている個人投資家は多いです。実は、証券会社も自ら株の売買を行い、利益を得ています。これをディーラー業務といいます。

③アンダーライター業務

アンダーライター業務とは、発行済の証券を買い取って投資家に売る業務のことです。企業だけでなく国の債券なども取り扱います。

④セリング業務

株式の発行者から発行証券を一時的に預かって、不特定多数の投資家に売却するのがセリング業務です。アンダーライター業務との違いは、アンダーライター業務の場合は売れ残った株式を証券会社が引き取りますが、セリング業務は売れ残った株式を引き取る必要がないということです。

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まとめ

ネット証券などが普及しているため、今は、誰でも株式の取引を行うことができます。手軽にできるため、あまり株のことや証券会社のこと、投資の仕組みなどを知らずに、株式の取引を始めてしまう人も多いです。

 

しかし、株取引で利益を上げたり、資産形成をするためには、証券会社のことなどを理解しておく必要があります。株の取引きをしたことがない人も、ぜひこの機会に、株や証券会社の業務、投資の仕組みを理解し、株取引を始めてはいかがでしょうか。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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