「勘定奉行」はどんな会計ソフト?機能や特徴を徹底解説

[取材/文責]長谷川よう

会社を経営する中で日々の取引を記帳し、決算を行います。その場合、多くの企業では会計ソフトを使用しています。会計ソフトは多くの会社から発売されており、自社に合ったものを導入する必要があります。そこで今回は、会計ソフトのひとつ「勘定奉行」の特徴や種類、それぞれのソフトでできることを解説します。

会計ソフト「勘定奉行」シリーズの特徴とは

まずは、会計ソフト「勘定奉行」がどのようなソフトなのか、その特徴から見ていきましょう。「勘定奉行」は、1980年の創業以来、コンピュータの販売業務やコンピュータプログラムの製作などを手掛けている株式会社オービックビジネスコンサルタントが開発・販売する会計ソフトです。

 

「勘定奉行」の特徴は、顧客の声を製品に反映し、直感的でわかりやすい画面や操作、業務にフィットする機能性を追求していることです。見やすい画面で、マニュアルを見なくても、直感的な操作を可能にするなど、使いやすさを重視しているので、会計初心者から上級者までレベルを問わず使用できます。

 

また、導入時はもちろん、運用しているときも、業務に精通した専任スタッフに何でも相談できます。さらに、充実した永年サポート体制、制度改正やIT環境の変化への対応など安心して使えます。

会計ソフト「勘定奉行」シリーズの種類と機能

会計ソフト「勘定奉行」シリーズの種類と機能

会計ソフト「勘定奉行」は、大きく分けてパソコンにインストールして使うパッケージ版とインターネット上で起動して使うクラウド対応版があります。また、複数の料金プランが用意されており、それぞれのソフトで使える機能が異なります。

 

さらに、「勘定奉行」シリーズのパッケージ版製品には、別途サポートメニューがあります。新製品のプログラム提供など、すべてのサポートを受けられる「OMSS Long Lifecycle Support(LLS)」と新製品のプログラム提供のない「OMSS」の2種類です。製品ごと、サポートメニューごとに価格が異なります。「勘定奉行」のラインナップとサポート内容は下記のとおりです。

 

会計ソフト・サポート

製品名 機能・特徴 基本料金
勘定奉行10
  • 中小法人向け
  • パッケージ版
  • 使いやすさを追求した画面
  • 自動起票機能搭載
  • 自社独自の会計帳票作成可能
  • 予算管理・配布処理
  • Office連携機能
  • 債権・債務管理
  • クラウドへも移行可能
  • 税率自動判定
  • 消費税申告書
  • 勘定奉行の他製品と連携可能
220,000円〜
電債・支払(受取)手形管理などの各種オプションやNETWORK Editionは、別料金
 
サポート
OMSS LLS
50,000円
OMSS
47,000円
勘定奉行クラウド
  • 中小法人向け
  • クラウド対応版
  • 領収書や入出金明細データを学習し、入力を自動化
  • 「専門家ライセンス」を標準提供
  • さまざまなシステム・データと連携
  • 使いやすさを追求した画面
  • 自動起票機能搭載
  • 会計帳票、分析資料を自動作成
  • 消費税申告書
  • 電子申告対応
年額 160,000円~
別途、初期費用が必要な場合あり
奉行J-会計編-
  • 小規模法人向け
  • パッケージ版とクラウド対応版を選択
  • 直感的に操作できる入力画面
  • 多彩な入力画面搭載
  • ふせん機能や入力忘れお知らせ機能などの入力支援機能搭載
  • 会計帳票、分析資料を自動作成
  • Office連携機能
  • 消費税申告書
  • 会計事務所連携可能
購入型(パッケージ)
80,000円
サポート
OMSS
40,000円
 
利用型(年間利用ライセンス)
年間利用料40,000円
初期登録費用20,000円(初年度のみ)

「勘定奉行」シリーズのどの会計ソフトを選ぶべき?

上述したとおり、会計ソフト「勘定奉行」は、パッケージ版とクラウド対応版があり、それぞれ複数の料金プランがあります。一般的に、中小企業の場合「勘定奉行10」もしくは「勘定奉行クラウド」を、小規模法人の場合は初心者でも操作しやすいような設計・機能が搭載された「奉行J-会計編-」を使用します。ただし、顧問税理士が「勘定奉行」のいずれかのソフトを使っている場合は、互換性の観点より、注意が必要です。「勘定奉行」のラインナップからどのソフトを選ぶかは原則、顧問税理士と相談になります。

 

パッケージ版とクラウド対応版を比較すると、購入初年度では、クラウド対応版の方がコスト面で優遇されています。クラウドに抵抗がなく、初期導入費用を抑えるのであれば、クラウド対応版がおすすめです。もしもクラウドに抵抗がある場合は、パッケージ版を選んだ方が良いでしょう。

 

「勘定奉行10」を継続で使用する場合のサポートは、「OMSS LLS」を選びましょう。「OMSS LLS」は、新製品が出た場合に無償で提供を受けられるので、長期的にみるとコスト面で優れています。顧問税理士がいる場合は、サポートの要不要についても相談しましょう。

会計ソフト「勘定奉行」のメリットとデメリット

会計ソフト「勘定奉行」の導入を検討する際には、メリットとデメリットをしっかり把握する必要があります。そこで、会計ソフト「勘定奉行」のメリットとデメリットを見ていきましょう。

会計ソフト「勘定奉行」のメリット

会計ソフト「勘定奉行」のメリットには、次のようなものがあります。

初心者でも簡単に入力できる

「勘定奉行」では、使いやすさを追求した画面や「ふせん機能」「入力忘れお知らせ機能」などの入力支援機能が充実しています。そのため、会計初心者の人でも簡単に入力可能です。また、クラウド対応版では、自動で仕訳を作成する機能も付いているので、会計業務にかける時間を大幅に短縮できるメリットもあります。

会計事務所と簡単に連携可能

クラウド対応版なら、クラウド経由で会計事務所とのデータ受け渡しが可能です。場所にとらわれずタイムラグのないやり取りができるので、入力間違いなどをすぐに発見できたり、現在の経営成績などをすぐに確認できたりします。

会計ソフト「勘定奉行」のデメリット

会計ソフト「勘定奉行」のデメリットには、以下のようなものがあります。

①ランニングコストがかかる

「勘定奉行10」や「勘定奉行クラウド」については、機能面が優れている分、他社の会計ソフトよりも高めの価格設定になっています。一方で、「奉行J-会計編-」は機能面が個人事業主や小規模法人向けではありますが、低めの価格設定となっています。導入の際には費用対効果をよく考え、どの製品にするのかを決める必要があります。

②小規模法人にとっては機能が多すぎる

会計ソフト「勘定奉行」のシリーズは、どちらかというと中小企業向けのソフトです。そのため、「勘定奉行10」「勘定奉行クラウド」には多くの機能が付いていますが、個人事業主や小規模法人にとっては逆に機能が多すぎ、使いこなせない可能性があります。そうしたデメリットを解決するソフトとして、シンプルに必要機能を絞り込んだ「奉行J-会計編-」が用意されています。

まとめ

会計ソフト「勘定奉行」シリーズには、中小法人向けのものと小規模法人や個人事業主向けのものがあり、それぞれパッケージ版とクラウド対応版があります。企業の規模に加え、機能や価格面、サポートの手厚さなどの観点から、自社に合った使いやすいものを選ぶことが大切です。

 

中小法人向けの「勘定奉行10」「勘定奉行クラウド」は、さまざまなオプション機能を加えて自社の環境に適したものにできます。一方「奉行J—会計編—」は会計ソフト初心者でも簡単に操作ができ、価格も他の2ソフトに比べて抑えられるのが魅力です。データのやり取りを行う顧問税理士とも相談しながら、まずは購入前に無料体験版などを利用し、自社に合うソフトがどれかを見極めましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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