あなたは「30万円の”コロナ給付金”」を受けられるのか?“超”わかりやすく解説します(4/17追記あり)

[取材/文責]マネーイズム編集部

4/17追記

2020年4月16日に政府発表があり、本記事で説明していた減収世帯への30万円の現金給付(「生活支援臨時給付金(仮称)」)は撤回されました。所得制限は設けず、国民1人あたり10万円を給付することを決定しました。
新たに発表された案についても、マネーイズムで取り上げています。
 

新型コロナウイルス関連の経済対策の「目玉」である、世帯への30万円の現金給付(「生活支援臨時給付金(仮称)」)の支給要件の概要が固まり、4月9日付で総務省から市区町村に通知されました。従来の「収入が住民税非課税レベルまで落ち込んだ場合」といった厳格な要件の適用は、「自治体ごとに支給対象がばらつく」といった批判を踏まえて見直され、支給基準は「全国一律」とされました。とはいえ、自分がもらえるのかどうかについては、やはりチェックポイントを1つひとつ確認する必要があります。最新情報を基にできるだけわかりやすく説明しましょう。(4月14日現在)

基準になるのは原則として「世帯主の収入」です

具体的な要件を見ていく前に、前提として次の点を確認しておきましょう。

 

  • (1) 「1世帯当たり1回」の支給給付金は、「世帯」に支給されます。同じ世帯の複数人が受給することはできません。
  • (2) 「要件を満たして30万円もらえる」か、「満たさないから0円」かの“2択”
    さらに細かな要件によって、「この世帯には10万円支給される」というようなことはありません。
  • (3) 給付対象かどうかの判定基準になるのは、原則として「世帯主」の収入
    政府の当初の発表では、支給対象の判定は「世帯主の月間収入」によって行うことになっていました。つまり、世帯主以外の、例えば共働きの妻の収入などについては考慮されない仕組みだったのですが、報道(4月13日付「デジタル毎日」)によれば、以下のようなケースも対象に含める方向で検討が進んでいる、ということです。

    • 世帯主が病気などで収入が乏しく、妻の収入で生計を維持する
    • 3世代同居で高齢の世帯主が年金収入しかなく、子の稼ぎが世帯収入の大半を占める
    • 家庭内暴力の被害者らが本来の住所とは別の場所にやむを得ず暮らし、住民票上の世帯主を厳格に適用できない
    • 感染拡大で業績不振になった企業から採用内定を取り消され、4月からの勤務先を失った人
  • (4) 判定基準は「収入」
    対象になるかどうかは、「収入=売上」で判定されます。そこから経費などを差し引いた「所得」ではありません。言うまでもなく、支給対象になるのは、新型コロナウイルスで経済的なダメージを受けた人です。どうダメージを被ったのかは、「かつてと今の収入同士の比較」で判断されることに注意してください。
  • (5) 判定基準になるのは、「2020年2月~6月」の収入
    この期間のうちの「任意の月」の月収をベースに、給付の可否が判断されます。「任意」ですから、どの月を選ぶこともできます。「最も収入が低かった月」でOK、ということです。
  • (6) 収入の基準は、世帯人数で変わる
    扶養家族の人数が多いほど、判定の基準額は高く設定されます(具体的には、以下で説明します)。
  • (7) 判定基準は2つある(以下の【パターンⅠ】と【パターンⅡ】)
    この「どちらか」に該当すれば、受給対象になります。

 

では、具体的に見ていきましょう。

【パターンⅠ】
「扶養が妻と子ども1人の世帯で、夫の月収が20万円以下になった」

第1の要件=原則として世帯主の月収(今年2月~6月の任意の月)が、新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少していること(※)。

 

なおかつ

第2の要件=その月収が、次の金額になる世帯。

 

  • ◆単身世帯:10万円以下
  • ◆2人世帯(扶養家族1人):15万円以下
  • ◆3人世帯(同2人):20万円以下
  • ◆4人世帯(同3人):25万円以下
  • 以後、扶養家族が1人増えるごとに5万円を加算する

 

以上の2要件を満たせば、給付金の支給対象です。

 

これに該当しない場合には、次の【パターンⅡ】を検討します。

 

※「収入の減少」について、具体的に「いつの収入同士を比べるのか」について、総務省はホームページで次のように説明しています。

 

  • 本年2~6月の任意の月間収入が、昨年に比べて減少していることをお示しいただく予定です。
  • 比較の方法については、詳細が決まり次第、政府(総務省)のホームページ等においてお知らせいたします。

【パターンⅡ】
「扶養が妻と子ども1人の世帯で、夫の収入が半減以下になり、40万円以下になった」

第1の要件=原則として世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が、新型コロナウイルス感染症発生前に比べて1/2以下に減少していること。Ⅰと違い、「収入が半減以下」になっていることが条件です。

 

なおかつ

第2の要件=その月収が、次の金額になる世帯。

 

  • ◆単身世帯:20万円以下
  • ◆2人世帯(扶養家族1人):30万円以下
  • ◆3人世帯(同2人):40万円以下
  • ◆4人世帯(同3人):50万円以下
  • 以後、1人増えるごとに10万円を加算する

 

以上の2要件を満たせば、給付金の支給対象です。

 

いかがでしょうか? パターンⅠはもともと比較的収入が低かった世帯、ⅡはⅠに比べて収入があったものの、新型コロナウイルスの影響で大幅に減収になった世帯――を想定していると言えるでしょう。

 

これらの要件に照らすと、例えば
 

  • ①単身者で、月収が20万円から15万円に減った→×給付対象にならない
  • ②単身者で、月収が30万円から15万円に減った→〇Ⅱに該当する
  • ③3人世帯で、世帯主の月収が25万円から20万円に減った→〇Ⅰに該当する
  • ④3人世帯で、世帯主の月収が45万円から25万円に減った→×給付対象にならない
  • ⑤3人世帯で、世帯主の月収が80万円から40万円に減った→〇Ⅱに該当する

 

ということになります。

申請の方法や給付時期などは、これから決まる

ようやく形になった給付金ですが、さきほどの※も含めて、「これから決めること」もあります。それらも含めて、注意点を挙げておきましょう。

 

  • 収入の減少を証明するためには、給与明細や雇い主からの証明書、帳簿の一部の写しなどの提出を原則としつつ、そのほか簡便に収入状況を確認する方法についても検討する予定だ、としています。
  • 受給のためには、必要な書類を添付して、市町村に提出することが必要。必要書類は、本人確認書類や上の収入状況を確認するための書類になります。なお、申請手続きも極力簡便なものとし、郵送やオンライン申請など、窓口以外の方法を基本として受け付ける、としています。
  • 申請の受付開始時期については、今のところ未定。可能な限り速やかに行えるよう準備を進める、としています。
  • 給付金は、原則として本人名義の銀行口座に振り込まれます。時期は未定です。

 

なお、詳しくは、総務省のWebサイトをご覧ください。

総務省の関連ホームページ:
https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/index.html

まとめ

新型コロナウイルス感染症の「生活支援臨時給付金(仮称)」の概要は、説明した通りです。ただ、今回の施策に対しては、「不十分だ」「公平感を欠く」といった批判も強く、今後さらに要件などの見直しが行われる可能性もあります。事態の推移によっては、別に新たな給付金制度などが設けられるかもしれませんから、最新の情報に注意してください。

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