【保証人不要!】「スタートアップ創出促進保証制度」の注意点や流れを紹介
起業して間もない方や、起業したいと考えている方の中には、「スタートアップ創出促進保証制度」について興味を抱いている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、起業したい方や起業したばかりの方に向けて、スタートアップ創出促進保証制度について解説します。ぜひ、本記事を参考にしてください。
スタートアップ創出促進保証制度とは
スタートアップ創出促進保証制度とは、会社の設立を予定している方や、創業後5年未満の会社を経営している方を対象とした制度のことです。
本制度を活用すると、金融機関から融資を受ける際に経営者保証が不要になります。
そもそも経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が融資の連帯保証人として扱われることです。万が一、経営者保証で金融機関への返済が滞った場合、個人財産の差し押さえなどが発生します。
しかし、スタートアップ創出促進保証制度を利用することで信用保証協会が保証人の代わりとなってくれるため、融資時に担保や保証人が不要となるのです。
保証対象者
スタートアップ創出促進保証制度の対象者は、以下のとおりです。
保証対象者
- 2カ月以内(認定特定創業支援などの事業である場合は6カ月以内)に事業を開始し、具体的な計画がある方
- 中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある方
- 創業後5年未満の法人
- 分社化後5年未満の法人
- 創業後5年未満の法人成り企業
本制度を利用できる方は、原則創業後5年未満の方や数カ月以内に起業を考えている方です。また、中小企業にあたる会社を経営し、新しく会社を設立する場合も本制度の対象となります。
ただし、スタートアップ創出促進保証制度を利用する際は、具体的な事業計画である「創業計画書」や、収支計画や資金調達などの具体的な起業計画を提出する必要があるため注意しましょう。
保証範囲
スタートアップ創出促進保証制度の保証範囲は、以下のとおりです。
保証範囲
- 運転資金
- 設備資金
本制度の融資範囲は、基本的に事業を営む上での運転資金や設備資金です。そのため、これらの資金が必要であれば利用できます。
また、保証限度額は、以下のとおりです。
保証限度額
・3,500万円
運転資金や設備資金に対して、3,500万円までであれば本制度を利用して金融機関から融資を受けられます。
保証期間
スタートアップ創出促進保証制度の保証期間は、10年以内となっています。
本制度を利用して融資を受ける場合、原則10年以内には返済する必要があります。
ただし、本制度には1年間の据置期間が設定されているため、1年間の間は元本の返済が猶予されます。つまり、据置期間については、利息だけを支払えば良いということです。
また、以下の項目に該当する方は、据置期間が3年間に延長されます。
- 本保証付借入と原則同時に、申込金融機関からプロパー借入をする
- 保証申込時にプロパー借入の残高がある
「新創業融資制度」の違い
「新創業融資制度」とは、日本政策金融公庫が実施しており、最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円分)を担保・保証人不要で融資してくれる制度のことです。また、事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象です。
したがって、スタートアップ創出促進保証制度と新創業融資制度の違いには、融資限度額や対象者の要件などが挙げられます。
融資限度額 | 対象者 | |
---|---|---|
新創業融資制度 | 3,000万円(うち運転資金は1,500万円分) | ・新たに事業を始める方 ・事業開始後税務申告を2期終えていない方 |
スタートアップ創出促進保証制度 | 3,500万円 | ・新たに事業を始める方 ・事業開始後5年未満の方 など |
スタートアップ創出促進保証制度の注意点
スタートアップ創出促進保証制度を利用する際は、最初にある程度の自己資金が必要であったり、定期的なガバナンスチェックが必要であったりなどの注意点があります。
これから本制度の申し込みを考えている方は、事前に確認しておきましょう。
スタートアップ創出促進保証制度の注意点は、以下のとおりです。
- 税務申告1期未終了の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要
- 「創業計画書」を提出して審査に通過する必要がある
- 融資を受けた事業者は3年目・5年目にガバナンスチェックを受ける
税務申告1期未終了の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要
スタートアップ創出促進保証制度の申込受付時点で「税務申告1期未終了の創業者」である場合は、創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要です。
例えば、2,000万円の創業資金を必要とする場合、最低でも200万は自己資金として確保しておく必要があるということです。
「創業計画書」を提出して審査に通過する必要がある
スタートアップ創出促進保証制度を利用する際は、「創業計画書」を提出します。
創業計画書とは、事業を始めるにあたっての「事業の概略」「資金調達の方法」などをまとめた計画書のことです。
創業計画書の記入項目は、以下のとおりです。
- 事業概要
- 創業準備の着手状況
- 必要な資金及び調達の方法
- 収支計画
- 販売・仕入先
- 借入金等状況
- その他(補足説明がある場合に記入)
創業計画書は、融資をする上で重視される書類です。そのため、具体的な事業計画を記載できるように事前に準備しておきましょう。
融資を受けた事業者は3年目・5年目にガバナンスチェックを受ける
スタートアップ創出促進保証制度を利用すると、会社を設立してから3年目と5年目にガバナンスチェックを受けることになります。
ガバナンスチェックとは、健全な企業経営ができているかを確認するための調査のことです。
ガバナンスチェックシートの項目は、以下のとおりです。
- 経営者へのアクセス
- 情報開示
- 内容の正確性
- 資金の流れ
- 事業資産の所有権
- 債務償還力
- 安定的な収益性
- 資本の健全性
- 事業承認計画書
また、中小企業活性化協議会の窓口でガバナンスチェックを受けた方は、チェック結果の写しを金融機関に提出する必要があります。
スタートアップ創出促進保証制度を利用する際の流れ
最後にスタートアップ創出促進保証制度を利用する際の流れを紹介します。本制度の利用を考えている場合は、参考にしてください。
スタートアップ創出促進保証制度の流れは、以下のとおりです。
- 「創業計画書」を提出して融資に申し込む
- 与信審査と書類の準備
- 信用保証協会での保証審査・保証承諾・融資実行
ステップ①「創業計画書」を提出して融資に申し込む
スタートアップ創出促進保証制度を受ける際は、まず「創業計画書」を作成して金融機関に融資の申し込みをします。
創業計画書は、中小企業庁のホームページからダウンロードできます。
ステップ②与信審査と書類の準備
次に、融資をする金融機関が創業計画書を基に与信審査を実施し、融資を実施しても問題がないかを確認します。
金融機関の与信審査を通過すると、次は信用保証協会による保証審査です。
保証審査の際も創業計画書の提出が必要となるため、金融機関に必要書類を確認しておきましょう。
ステッ
プ③信用保証協会での保証審査・保証承諾・融資実
信用保証協会による保証審査が開始されて承諾されると、金融機関に連絡がいき、融資が実行されます。
まとめ
今回はスタートアップ創出促進保証制度について解説しました。
スタートアップ創出促進保証制度とは、数カ月以内に起業をする方や、創業後5年以内の会社を経営している方を対象とした制度のことです。
制度を利用することで、金融機関からの融資に対して保証人・担保が不要となります。
会社経営をして間もない時期に運転資金や設備資金を確保したい場合は、本記事で紹介した注意点などを参考に、スタートアップ創出促進保証制度を利用してみてください。
神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。
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