POSレジアプリとはメリット・デメリットや会計ソフトとの連携について解説

[取材/文責]長谷川よう

飲食店や小売業などの業種では、商品や顧客、販売についてさまざまな管理や分析をすることが重要です。管理や分析を簡単にできるのが、POSレジアプリです。導入を考えている人も多いと思いますが、導入前にPOSレジアプリのメリットやデメリットを知っておく必要があります。そこで、ここではPOSレジアプリがどのようなものか詳しく説明します。

POSレジアプリとはどんなもの?

POSレジアプリのメリットとデメリットを確認する前に、まずは、POSレジアプリがどのようなものか見ていきましょう。

 

POSレジとは、その名の通りPOSとレジを組み合わせたものです。POSとは「Point Of Sales」の略で、販売が行われた時点、金銭のやり取りが発生した時点で販売情報を管理することを指します。レジとはレジスターのことなので、POSレジは販売情報管理システムを搭載したレジスターのことです。

 

POSレジについている機能は、種類にもよりますが、大きく分けて商品(在庫)管理や入出金管理、顧客管理などの「情報管理機能」と、どのような商品がどの年代に売れているのかなどの「分析機能」の2つです。POSレジには、通常のPOSレジとタブレットPOSレジの2つがあります。

 

通常のPOSレジは、レジスターとPOS機能が一体化しているもので、主に専用システムを使い、細かい販売分析や在庫管理を行うことができるものです。タブレットPOSレジは、タブレットにPOSレジアプリをインストールして利用するものです。クラウドを通じてデータ管理を行うため、持ち運びができ、ネットワーク環境があればどこからでも確認可能なため、シェアを拡大し続けています。

POSレジアプリのメリット・デメリット

POSレジアプリは利便性が高いため、多くの人が利用したり、導入を考えていたりいますが、デメリットもあります。ここでは、POSレジアプリのメリットとデメリットを確認しましょう。

POSレジアプリのメリット

①導入が手軽である

POSレジアプリは、通常のPOSレジのように、独自のネットワークを構築する必要がありません。Wi-Fi環境とタブレット端末、別売りの付属品(レシートプリンター、キャッシュドロワーなど)を用意するだけで、クラウドを使って利用することが可能です。そのため、導入しやすいメリットがあります。

②操作性が高い

POSレジアプリには多くの種類があり、他社との競争の中で、日々より良くなるように改良されています。多くのアプリは、画面を見るだけで使うことができる操作性の高いものになっていて、普段からスマホやタブレットを使っていれば、簡単に使いこなせることができます。

③コスト面

POSレジアプリの多くは、月額制となっていますが、中には無料で使えるものもあります。高いレジスターを購入する必要がありません。また、導入後のカスタマイズも楽にできるので、導入費用やランニングコスト(カスタマイズの費用)などが安くなります。

④顧客満足度の上昇

POSレジアプリは、通常のレジスターに比べ、設置に場所をとることがありません。レジの設置スペースを設ける必要がないので、お店のデザインを自由にできたり、お客がレジに並ぶ手間を削減できたりするため、顧客満足度の上昇が見込めます。

⑤販売情報の管理や分析により、会社や店舗の成長ができる

POSレジアプリでは、リアルタイムで、販売情報の管理や売上分析をすることができます。

どの商品が売れているのか、どの客層に注力すれば良いのかなどが、リアルタイムで分かるため、すばやい経営戦略が実行しやすく、会社や店舗の成長が可能です。

POSレジアプリのデメリット

①ネットワークの整備が必要

POSレジアプリを利用するためには、Wi-Fi環境などネットワークの整備が必須です。導入を考えている店舗などにWi-Fi環境がない場合は、まず、ネットワークの整備をする必要があります。その分、導入が遅れたりコストがかかったりする可能性があります。

②サポート面

業者などが販売する専用のポスレジの場合、数十万~数百万程度かかるものがありますが、その分、サポートは手厚くなっています。POSレジアプリの場合もサポートはありますし、そもそもサポートを受けなくても使えるように設計されていますが、無料で使えるPOSレジアプリなどでは、手厚いサポートは期待することはできないケースもあるでしょう。

③OSとの相性

POSレジアプリは、あくまでアプリケーションです。タブレットのOSのアップデートが行われた場合に、対応していないことがあるかもしれません。アップデートの情報には気を配る必要があります。

POSレジアプリは会計ソフトと連携できる

POSレジアプリと会計ソフトで連携でできること

POSレジアプリの利点の1つに、会計ソフトと連携できることがあります。会計ソフトと連携することで、会計業務が簡単になります。会計ソフトと連携することでできることには、主に次のようなものがあります。

①売上データの自動取得

POSレジアプリを会計ソフトと連携すると、会計ソフトが自動で売上データを取得します。

最初に連携する時に、初期設定を行う必要がありますが、1度設定をすれば、次からは設定せずに売上データを取得してくれるので、大幅に手間を省くことができます。

②売上データを自動で仕訳

POSレジアプリを会計ソフトと連携すると、自動で売上データを取得しますが、実はそれだけではありません。多くの会計ソフトでは、売上の仕訳を自動作成し、帳簿付けします。

そのため、売上データを会計ソフトに入力する手間が省けます。

 

また、POSレジアプリと連携している会計ソフトでは、クレジットなどの明細も自動で取得し、仕訳ができます。クレジット販売が多く、クレジットでの入金が多い店舗の場合でも、十分対応できます。仕事が忙しく、なかなか記帳の時間が取れない人には、とても役に立つ機能です。

各種POSレジアプリと連携できる会計ソフトの比較

POSレジアプリには、多くのものがありますが、代表的なものとして「Airレジ」「スマレジ」「ユビレジ」があります

①Airレジ

「Airレジ」は、リクルート社が提供するPOSレジアプリです。基本的なレジ機能が0円で使え、コスト面で優れています。メールやオンラインチャットなどでのサポートもしっかりしているので、初心者でも簡単に使えます。

②スマレジ

「スマレジ」は、株式会社スマレジが提供するPOSレジアプリです。レジ機能はもちろんのこと、予算管理やスタッフ管理などの様々な機能があります。0円から使えるスタンダートプランから有料のプランまで、ニーズに合わせた5つのプランがあります。

③ユビレジ

「ユビレジ」は、株式会社ユビレジが提供するPOSレジアプリです。ユビレジの特徴は、業種に特化したプランがあることです。0円で基本的な機能が使える無料プランや、有料のプレミアムプランのほかに、飲食店向けプランや小売店向けプラン、独自にカスタマイズできるカスタマイズプランがあります。

 

3つのPOSレジアプリとも、会計ソフトと連携が可能です。連携が可能な会計ソフトは次のとおりです。

 

  Airレジ スマレジ ユビレジ
連携できる会計ソフト freee
MFクラウド
弥生会計シリーズ
FXシリーズ(TKC)
freee
MFクラウド
弥生会計シリーズ
FXシリーズ(TKC)
勘定奉行クラウド
freee
MFクラウド
弥生会計シリーズ
FXシリーズ(TKC)

まとめ

POSレジアプリは、タブレットなどにダウンロードして、すぐに使えるソフトです。簡単に情報管理や分析ができたり、会計ソフトと連携できたりと、お店の成長にかかせないものになっています。しかし、POSレジアプリには、ネットワークの整備が必要などのデメリットもあります。メリット・デメリットをしっかりと理解し、自分に合ったPOSレジアプリを導入しましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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