こんなにある!中小機構の補助金・給付金制度や融資制度について解説
「中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)」は経済産業大臣を主務大臣として運営される独立行政法人です。国が実施する中小企業向けの各種政策の実施機関として実に様々な支援メニューを用意しています。今回は、この「中小機構」の補助金・給付金制度や融資制度について紹介します。
国や地方公共団体が行う企業支援制度
コロナ渦における各種の企業支援制度
世界中の経済を混乱させた新型コロナウイルス感染症の蔓延は、やや落ち着きを取り戻したものの今なお終息する気配がありません。日本経済も例外ではなく、2020年通期での国内総生産(GDP)が▲4.8%になるなど、大きな打撃を受けることになります。
アメリカのインフレ抑制政策である「高金利政策」に対し、日本ではコロナ渦での経済回復、投資促進を優先した「低金利政策」をとります。その結果、石油資源をはじめとした輸入資材が軒並み高騰し、国内においては値上げラッシュにより私たちの生活に少なからぬダメージを与えています。
そのような経済情勢のなかでも、国や地方公共団体は国内の中小企業の起業や成長、事業継続などを幅広くサポートする政策を次々に打ち出しています。
例えば「持続化給付金」から始まった支援策が「家賃支援給付金」「月次支援金」から「事業復活支援金」「事業再構築補助金」へと繋がっているように、支援策は現在でも継続しています。
「中小機構」とは何か?
このように国が次々と打ち出す、中小企業に対する支援策を実施するための実務機関が「中小企業基盤整備機構」です。一般的には「中小機構」と訳されるケースが多いですが、国や地方公共団体と全国300万社以上ある中小企業とを繋ぐ重要なポジションにある組織です。
「中小機構」は政府系金融機関ではありませんが、中小機構自らが直接給付金や補助金を給付したり、資金を貸し付けたりするケースもあります。小規模企業共済や倒産防止共済(セーフティネット共済)の契約者貸付がよい例です。
政府の中小企業政策を誰にでも理解できるような形で紹介しつつ、資金面や実務面で中小企業をバックアップする役割を担っているわけです。
「中小機構」による企業支援制度を紹介
企業向けの各種支援制度
では「中小機構」のHPを見てみましょう。トップページに「経営者向け」「起業家向け」と2つのメニューが用意されています。
「経営者向け」メニューでは、経営基盤の強化や販路開拓、海外展開や事業承継など、中小企業が経済活動を継続していくうえで必要とする支援メニューが数多く用意されています。
特に、給付金・補助金の給付や資金調達といった会社の資金面でのサポートが充実しています。
1.ものづくり支援
製造業のようなものづくりをする中小企業者を支援するメニューです。
経済産業大臣からものづくりにかかる研究開発計画の認定を受けることで、研究開発にかかる費用を公的資金で支援してもらう、金融機関から低金利で融資を受けることができる等の支援を受けることができます。
2.事業承継対策
後継者不足に悩む高齢の事業者の事業承継を支援するために、相談窓口を設けたり事業承継計画の作成、後継者育成セミナーの開催など、事業承継を円滑に進めるための支援を受けることができます。
現在、中小企業の後継者不足は深刻であり、経営者の年齢が60代の企業では約半数が後継者不在という状況です。今後、この傾向が続けば国内の中小企業者は激減し経済全体に大きな影響を与えるのは必至です。国や中小機構が事業承継対策に力を入れているのはこのような背景があるためです。
企業向けの融資制度
まず「経営者向け」メニューの中から融資制度にかかる支援をピックアップしてみましょう。
1.新型コロナウイルス感染症特別利子補給事業
新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めた当初、中小企業の運転資金を支援するために国民生活金融公庫などが「新型コロナ特別貸付」を実施しました。
その際、3年間の利息を実質無利子化する支援を実施しています。
公庫からコロナ融資をすでに受けている事業者の方であれば、特別利子補給制度事務局から支払った借入利息に相当する補給を受けているのではないでしょうか。
特別利子補給事業は中小機構が窓口となって支援を行っています。
2.小規模企業共済の特例制度
小規模企業共済に加入している事業者で、直近の売上高が前年あるいは前々年対比で5%以上減少している場合に受けられる特別貸付です。特別利子補給事業と違い、特例制度による貸し付けは初めから金利が0%に設定されています。
起業家向けの補助金制度、融資制度について紹介
起業家向けの各種支援制度
「起業家向け」メニューでは、起業相談や支援情報といった起業から事業が軌道に乗るまでに必要な各種支援メニューが用意されています。資金面での支援はもちろんのこと、起業するにあたってのノウハウの提供まで、実に幅広い支援メニューがあります。
1.アクセラレーション
新たに起業する方が、スタートアップする際に必要な資金調達や技術のノウハウを専門家が同伴して1年間サポートしてくれる実務的な支援メニューです。起業当初から手に入れることは難しい実務的なノウハウを持った専門家を社内に迎え入れることができます。
2.ベンチャーリブート支援事業
一度起業したものの、経済状況の変化により再度起業し直すことを検討しているベンチャー企業の方を支援する事業です。再出発にあたって必要な資金や課題について専門家によるアドバイスを受けることができます。
起業家向けの融資制度
1.創業転業時・新規事業展開等貸付け
創業後に小規模企業共済の共済契約を締結することを条件に、低金利にて融資を受けることができる制度です。資金繰りに余裕がない起業直後に低金利で融資を受けられる有利な制度です。
2.地域中小企業応援ファンド(スタートアップ応援型)
中小機構と金融機関、地方公共団体が共同出資する官民一体ファンドの運用益から事業にかかる資金の助成を受けることができる制度です。対象となる事業が、ファンドの運営会社に採択される必要があります。
まとめ
「中小機構」と聞いても、どんなサービス・支援を行っているのか詳しく知らなかった方も多いと思います。「特別利子補填事業」「セーフティネット事業」といったように、制度の名称を聞けば中小機構の制度だったのかと気が付くはずです。中小企業を応援する「中小機構」の支援メニューを一度調べてみてはいかがでしょうか。
▼参照サイト
年金の併給または選択【日本年金機構】
ものづくり支援【中小機構】
事業承継対策【中小機構】
利子補給【中小機構】
共済制度【中小機構】
FASTAR 中小機構のアクセラレーション事業【中小機構】
ベンチャーリブート支援事業【中小機構】
創業転業時・新規事業展開等貸付け【中小機構】
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)【中小機構】
2020年版「中小企業白書」 第1部第3章第2節 経営者の高齢化と事業承継【中小企業庁】
中小企業オーナー、個人事業主、フリーランス向けのお金に関する情報を発信しています。
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