アフィリエイト広告に規制強化を検討!アフィリエイト広告と税金の関係

[取材/文責]長谷川よう

SNSなどでよく見かけるアフィリエイト広告では、さまざまな商品やサービスが紹介されており、便利な反面、問題も多く生じています。そのため、アフィリエイト広告の規制強化を検討するというニュースも聞こえています。
ここでは、アフィリエイト広告の規制強化に関するニュースや、税金との関係について解説します。

アフィリエイト広告の誇大防止に規制強化を検討へ

アフィリエイト広告では、商品やサービスの効果などを誇大に宣伝している場合があり、問題となっています。そこで、アフィリエイト広告の誇大防止に対して、規制強化が検討されることになりました。

 

ここでは、アフィリエイト広告のしくみや、アフィリエイト広告の誇大防止について見ていきましょう。

アフィリエイト広告のしくみ

まず、アフィリエイト広告のしくみを見ていきます。アフィリエイト広告では、一般的に「広告主」「仲介業者」「アフィリエイター」「消費者」の4人が登場します。

 

アフィリエイト広告は、名前のとおり広告です。広告主の企業は、自社の商品やサービスをさまざまなサイトやSNSで宣伝しますが、自社で広告を作成しているわけではありません。仲介業者に広告費を支払い、その仲介業者に登録した広告制作者、いわゆるアフィリエイターが広告の作成を行います。

 

広告を作成したアフィリエイターは、サイトやSNSで商品などを紹介し、消費者が広告を見て商品を購入すると、成果報酬を受け取れるしくみとなっています。

誇大防止 消費者庁が検討へ

アフィリエイト広告のしくみを見てみると、しくみ自体には何も問題がありません。しかし、アフィリエイト広告には次の2つの問題点があります。

 

・誇大な広告が多い
アフィリエイト広告では、化粧品など、品質や効果を誇大に広告するものが多くあります。広告を信じて商品を購入した人が、広告どおりの効果が得られないため、企業と消費者の間でトラブルが多発していました。

 

・アフィリエイターに規制がない
実は、広告の不当表示の責任は原則、アフィリエイターにはありません。そのため、誇大広告のまま放置していても、アフィリエイターに不利益が生じることはなく、利益を得るためにわざと誇大広告のまま放置し、トラブル発生の原因のひとつとなっています。

 

これらの問題を解消するため、消費者庁では、6月10日検討会を開きました。この検討会では、今後、悪質なアフィリエイターを排除するための取り組みなど、被害防止のためのしくみ作りについて話し合い、年内に取りまとめを行う方針が定められました。

 

まだ、具体的な規制内容などは決まっていませんが、今後の規制強化の取り組みについては注視していく必要があるでしょう。

アフィリエイト広告と税金、確定申告

アフィリエイト広告の誇大広告が問題となっている背景のひとつに、アフィリエイト広告の市場規模の拡大があります。アフィリエイターは、全国に数十万人程度はいると考えられ、2020年度の市場規模は3,000億円を超えるとの試算もあります。

 

では、アフィリエイターに対する税金はどうなっているのでしょうか。ここでは、アフィリエイターに対する税金や確定申告について解説します。

アフィリエイト広告の収入はどの所得?

アフィリエイターは個人が行っているケースが多く、その場合、所得に対して所得税などの税金がかかります。所得税では、所得金額や税金の計算時に、収入の種類に応じて10の所得に区分する必要があります。では、アフィリエイト広告の収入はどの所得になるのでしょうか。

 

アフィリエイト広告の収入は、「事業所得」または「雑所得」になります。事業所得とは、事業で得た収入に対する所得です。雑所得は、他の所得に区分できない収入に対する所得です。

 

一般的には、継続してアフィリエイト広告を作成し、収入を得ているのであれば「事業所得」になり、それ以外、例えば副業として単発でアフィリエイト広告を作成し、収入を得た場合などは「雑所得」になります。多くの場合は、事業所得に該当すると考えられます。

 

事業所得も雑所得も、所得金額(もうけ)に対して税金がかかります。いずれの場合も、所得金額の計算式は次のとおりです。

 

所得金額=収入金額-必要経費(-青色申告特別控除※)

 

※事業所得で青色申告をしている場合は、さらに青色申告特別控除を差し引けます。

 

例えば、1年間のアフィリエイト収入が100万円、必要経費が40万円だった場合は、100万円-40万円=60万円が所得金額となります。

アフィリエイト広告の収入と確定申告

次に、アフィリエイト収入と確定申告の関係について見ていきましょう。アフィリエイト収入がある場合は、原則、確定申告が必要です。原則、毎年翌2月16日から3月15日までの間に確定申告書を作成して、税務署に提出する必要があります。また同時に、税金も納めます。ただし、事業所得と雑所得で作成する書類が次のように異なります。

 

・事業所得
確定申告書B(第一表、第二表)、収支内訳書(白色申告の場合)または青色申告決算書(青色申告の場合)

 

・雑所得
確定申告書A(第一表、第二表)

 

事業所得のほうが収入などの規模が大きいため、より複雑な書類を作成する必要があります。

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確定申告する場合の注意点

ここからは、アフィリエイト収入がある場合で確定申告する場合の注意点について見ていきましょう。

確定申告が必要なケースと不要なケース

アフィリエイト収入がある場合は原則、確定申告が必要です。しかし、次のようなケースでは、確定申告が不要となります。

 

・事業所得の場合
事業所得で確定申告が不要なケースは、納める税金がない場合です。納める税金がない場合とは、所得金額よりも控除が大きい場合や、収入よりも経費が大きく赤字の場合などです。

 

ただし、青色申告をしていて赤字の場合は確定申告をすることで、翌年以降3年間赤字を繰越すことができます。

 

・雑所得の場合
雑所得で確定申告が不要なケースは、アフィリエイトが副業である場合です。会社員の副業としてアフィリエイトをしている場合は、アフィリエイトによる所得金額が20万円以下の場合は、確定申告する必要がありません。

 

ただし、収入ではなく、所得金額20万円以下が基準となるので、注意が必要です。

経費になるもの

アフィリエイト収入で確定申告をする場合は、必ず必要経費を計上します。アフィリエイト収入の経費になるものには、次のようなものがあります。

 

・サーバー代、ドメイン代
広告を載せるサイトやSNSを管理するためのサーバー代やドメイン代

 

・外注費
広告内の記事を作成するために、外注先に支払った費用

 

・商材の購入費
アフィリエイトの情報商材などの購入費用

 

・セミナー代や書籍代
アフィリエイト広告をうまく運営するためのセミナー代や書籍代

 

・事務所の家賃や水道光熱費など
仕事場として事務所を構えている場合、その家賃や水道光熱費などは経費になります。自宅を仕事場にしている場合は、仕事にかかる割合分だけ案分し、経費にすることができます。仕事にかかる割合は、仕事をしている部屋の面積や作業時間等をもとに、割り出します。

 

・その他
そのほか、仕事仲間との打合せの食事会など、仕事に関係するものは経費になります。

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アフィリエイターで広告収入を得ている場合、確定申告はどんな場合に必要?,3分でわかる!税金チャンネル

アフィリエイター必見、確定申告の経費計上で見逃しやすい経費とは?,3分でわかる!税金チャンネル

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まとめ

アフィリエイト広告は、誇大な広告などが多く、今後、今まで以上に規制の強化がされていきます。一方、アフィリエイト市場の規模は大きく、今後さらに市場規模が拡大します。そのため、アフィリエイトの収入を得る人も増えてくることが予想されます。

 

アフィリエイトの収入を得た場合は、原則、確定申告が必要です。収入や経費、所得の計算方法などを理解し、正しく確定申告を行いましょう。

会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。

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